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リアとスキル検証2

「せっかくだからもう少し検証をしてみましょう」


 というリアの提案にシュンはうなずく。


「次はそうね」


 彼女は白い砂を二つまみ彼の手のひらの上に乗せる。


「これでもう一度試してみて」


「はい。スキル発動」


 シュンが指示通りにスキルを発動させると、再びプラスチックが完成した。


「なるほど。素材を問わずに、ぷらすちっくを作り出せるスキルって可能性が高いわね」


「おお……」


 シュンが感心しているとリアは再びプラスチックを叩く。

 今度はヒビが複数入ってしまう。


「同じ強さで叩いたのにこの結果ってことは、さっきより硬度は下がったのね。つまり使う素材次第で硬度に差が出そうよ」


「じゃあ素材選びが重要ってことになりますね」


 リアの予想を聞いてシュンはどうしようか考える。


「ただ、どこにでも手に入る白砂で鉄並みの強度になるなら、コストパフォーマンスはかなりいいスキルよ」


「そうなんですか?」


 続けて放たれたリアの言葉に彼は驚く。


 スキルについて詳しそうな祖父と孫娘の蔵にあるものだから、珍しい素材かと思っていたのだ。


「むしろ反則とか規格外と言うべきかしら」


 リアは言った後にシュンの顔を見て、あわててつけ加える。


「あくまでも今だと『卵』レベルだから。いい気にならないで」


「もちろんです」


 彼は神妙な顔を作って答えたものの、実はすごいスキルの可能性が見えてきただけでもうれしかった。


「じゃあ次はぷらすちっくとやらのサイズや形を変えられるのか、ね」


 とリアは言う。


「サイズと形ですか」


「変えられるのか、変えられなくても加工は可能なのか。それで使い勝手はかなり違ってくるわよ?」


 彼女の言葉にシュンはなるほどと思う。


 作りたいプラスチックのサイズや形を自分の意志で自由で変えられるか、そうでなくても加工できるかどうかは重要かもしれない。


「とりあえずイメージしやすいものを作ってみて」


 白砂を渡しながらリアが指示を出す。


「ええ」


 イメージしやすいならやっぱりロボット系プラモかな──シュンは思いながら返事をし、スキルを発動させる。


 しやすさを重視ということでロボットの完成品を選び、そしてそれが出現する。


「何これ、ゴーレム?」


 ロボットを知らないのか、リアは目を丸くして興味深そうに自分くらいのサイズの物体をながめた。


「まあそんなものです」


 シュンはロボットがどういうものか説明できる自信がなかったので、彼女の言葉を肯定する。


「とりあえず形やサイズはあなたの意志で変えられるのね?」


 リアは確認してきた。


「そうですけど、もうちょっと大きいサイズにしたかったんですよね」


 シュンは自分と同じくらい、一七〇センチくらいのサイズをイメージしたのだが、できなかったのだと告げる。


「それは材料が足りなかったせいでしょうね」


 リアは何でもないことだと答えた。


「あ、そうか」


 シュンが納得すると彼女は金槌でロボットを殴る。

 ロボットはあっさり壊れてしまう。


「素材が少なくてもある程度の大きさになるけど、その分だけ強度が下がるのね」


 とリアは分析する。


「そこまで都合がいいスキルじゃないんですね」


 仕方ないことだなとシュンは思った。


「『神帝』ならともかく、普通のスキルでそこまで規格外なのはありえないわよ」


 リアはころころと笑う。


「『神帝』?」


 聞き覚えのない単語にシュンがきょとんとすると、彼女は笑みを消す。


「全スキルの中でも特にとんでもない一部のスキルの総称よ。超越スキルとも呼ばれているわ」


 そして説明してくれる。


「そんなスキルがあるんですか」


 シュンは雲雀山が「王持ち」と呼ばれていたことを思い出した。


「王持ちとかいうスキルもあるんですよね?」


 彼がたずねるとリアはへえと感心する。


「王持ちはかなり強力スキルよ。『神帝』の次くらいにね。王持ちは知っているのね」


 疑問を抱いたらしい彼女に、彼は簡単に言った。


「なるほど……異世界人の中でまれにいる王持ちが欲しかったのかしら?」


 彼女はラルクという少年の狙いについてそんな予想をする。

 そのせいで巻き込まれたのか──シュンはそう思わざるを得なかった。


 

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