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とある死志望者の日記  作者: 冬真 春
今に至るための過程
9/14

前書き 9

 意識がどこかをさまようなか、遠くで何かが鳴っている音が耳に伝わってくる。


 よく聞いてみれば、この音がいつも目覚ましのアラームとして使っている曲であることに気がついた。


 そして、目を開ける。


 そこはよく知らない天井だった。


 昨日、色々あってこのホテルに泊まったことを思い出した。


 なんだか穏やかな気持ちである。


 だんだん大きくなっていくアラームの音が邪魔になってきたので止めた。


 となりのベットでは母親が寝ていた。


 起こさないようにそっと音をたてずベットから出る。


 そして、ユニットバスに入り、シャワーを浴びる。


 いつも入っているお風呂のシャワーと違い、水が出る勢いが強く、一穴一穴が大きく広がっていて、それぞれの水がその威力を体に示していく。


 勢いを弱くすればうまく洗い流せず、強くすれば痛い、ちょうど良い威力を見つけられないまま、体全体を流し終わった。


 体を拭き、服を着て、ユニットバスを出る。


 母親は起きていた。


「おはよう」


 と挨拶をかわす。


 時間は午前8時だった。


 目的の飛行機が飛ぶまで、あと一時間半。あわてるまでとはいかないが、少し急ぐ必要があった。


 荷物をまとめて、ホテルを出る。歩いて空港に向かう。空港に着くと、購入窓口に向かい航空券を買う。そして、適当にお土産を買い、検査場を越え、飛行機に乗った。




 機内で、アナウンスが始まる。


 現在台風が近づいているので、飛行中、揺れが大きくなる事があるので、シートベルトを絶対にはずさないようにとうことがアナウンスされ、そこから、いつもの機内の説明、非常時の対応の説明が始まる。


 それが終わり少しすると、飛行機が動き出した。


 飛行機はプロペラ機、機内は両端に二席づつの構造だ。


 どんどんと速度をあげ、機体が浮かび上がる。一瞬浮遊感を感じそこから下へと引っ張られるような力が働く。


 そこから飛行機が雲の中に入っていったのか、窓から見える景色は灰色の世界だった。


 機体が揺れる。大きく揺れる。このまま墜落してしまえば、無事に死ねるのでは?と思ったが、飛行機は墜落することなく、上へと上っていく。


 数分後、窓がら見える景色が明るくなった。


 上は青空、下は一面灰色の雲。


 ちょうど中心を境にして上下に分かれていた。


 安全な高度になったのか、シートベルト着用サインが消えた。


 窓から見える景色は、中心を境にして上下の構図は変わらないが、雲の形は様々で、それが、左から右へ流れていっていた。




 気づけば眠っていた。


 シートベルト着用サインの点灯の音と、着陸体制に入ったというアナウンスで目が覚める。


 飛行機が高度を下げていき、機内でも振動が起きる。


 雲を抜け、窓から陸地が見えた。


 それからも高度が下がっていき、空港の滑走路が視界にはいる。飛行機のタイヤが地面に付き、その衝撃が機内に伝わる、そしてブレーキと共に発生する後ろに引っ張られるような力。


 飛行機は無事に空港にたどり着いた。


 飛行機を降り、到着ゲートを通る。


 半年ぶりの地元だった。


 そこから電車に乗って二時間。


 やっと実家に着いた。

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