34話
僕が話すことになった。
絶えず涙が溢れて、もはや誰にも止められない。
お久しぶりです。
何も言わずにlemonを脱退してすみませんでした。
少しだけ、理由を言わせてください。
僕には妹がいます。
その妹に緊急事態が起こり、僕は妹の傍に居たい、と思いました。
しかし、そのためにはlemonを離れざるを得ませんでした。
僕は今でもずっとlemonが好きです。
嫌いになったことは一度もありません。
ずっと、現在進行形で大好きです。
だから、離れたくなかった。
匠海、秋、真宙、祐稀と僕の5人。
そしてファンの皆さんとスタッフさん、演出などの全てにおいての関係者さん。
優しい人ばかり。
本当に大好きです。
だからずっと後悔していました。
どうしてあんな決断をしてしまったのだろうか、と。
それから何か月もしたある日、1本の電話がありました。
「lemonに戻らないか」とのことでした。
正直僕は、戻っていいのか分かりませんでした。
戻りたいということに嘘はなかった。
でも、何も言わずに脱退した僕をみんなは受け入れてくれないだろう、という思いに縛られました。
そんな時、助けてくれたのは匠海でした。
『戻って来いよ。lemonには光輝が必要なんだよ』
少しの言葉かもしれない。
でも、その言葉が確かに僕を救ってくれた。
だから決めたんです。
もう一度みんなと歌いたい。
みんなを笑顔にしたい。
夢の場所に行きたい。
僕はたくさんの方に迷惑をかけてしまった。
だから、みんなに何かをしたい。
そう考えたとき、真っ先に思いついたのはたくさんの人を笑顔にすること。
矛盾ばかりで迷惑しかかけていない僕ですが、もう一度歌わせてください。
俺は涙で視界が狭まり、見えにくくなるほど泣いてしまっていた。
『お帰り』
「遅いよ」
『ずっと待ってたんだから』
「お帰り」
メンバーみんながもう一度俺が戻ってきたことを認めてくれた。
会場中から「お帰り」という声が俺には確かに聞こえてきた。




