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33話
ついにライブが始まった。
大きな歓声でファンに迎えられ、会場中に歌声を響かせている仲間。
その仲間を俺は、心の底から応援することができなかった。
なぜなら俺は疎外感を感じていたからだ。
ただただ悔しかった。
そう感じてしまう俺自身が。
しかし、そんな疎外感を感じている余裕はない。
歌詞や立ち位置を再確認する。
間違えることは許されない。
緊張で生きたような心地がしなかった。
3曲を歌い終わり、ついに俺の出番となった。
登場する扉の前で心を落ち着かせようと必死だった。
『今日は僕たちから重大発表があります。』
匠海がそう言うと曲が流れだし、扉が開いた。
いつか描いた 理想の自分は
どこにいるかなんて 気にしないで
自分が望む 今があるなら
その夢でまた会おう この声届けるよ
歌いながらステージへ向かう。
俺の目には確かに映っていた。
俺の色のペンライトが。
嬉しくて、涙が溢れ出してしまった。




