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本当の居場所  作者: 佐野はる
第2の人生
21/36

21話

俺にとって一番辛いことは沙弥の辛い顔を見ている時。

沙弥が泣いているときは俺も泣きたくなる。

最近は沙弥の笑顔でも苦しくなったりする。

沙弥の嗤う回数は明らかに減った。

その笑顔も作り笑顔だし、俺を安心させるための道具としか思っていないだろう。

俺はその笑顔に苦しめられている。

だが、それは沙弥が考えてくれていることだから俺は何も言えない



いろいろと考えていたら病院に到着した。

本来ならば走ってはいけない病院の廊下を小走りで進む。

一秒でもはやく沙弥に会いたかった。


扉をぐいと開けて中に入る。


「沙弥、頑張れよ。」

無理矢理笑顔を作って笑って見せる。

俺が沙弥にしてやれることはこれくらいしかない。

ただ安心させることだけ。


『うん。大丈夫だよ。』


沙弥は『大丈夫』とは言うけど、どこからどう見ても大丈夫そうには見えない。

沙弥の手は震えていた。

それに笑顔はなかった。


辛いに決まっている。

これから移植手術なのだから。

それも心臓の。


俺は沙弥の前で何もできなかった。





俺は無力だった。






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