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18話
『光輝-。会いたかった。』
匠海が嬉しそうに跳びついてきた。
「いつも電話してるじゃん。」
病室に匠海と俺の笑い声が響いた。
何をしている時よりも匠海と沙弥の3人でいれる時が楽しい。
懐かしい3人の時間。
何気ない会話でも楽しかった。
「匠海、ちょっといいかな?」
匠海を連れて病室を出た。
2人で話をしたかった。
「みんな、元気してる?」
『うん。なんだかんだ。』
自動販売機のあるちょっとしたスペース。
長いすに座る。
「沙弥ちゃんの病状は?」
匠海が沙弥のことを聞いてくる。
話そうか迷ったが、話すことにした。
真剣なまなざしで聞いてくれていた。
『幼馴染なんだから、相談してよ。1人で抱え込んでほしくないから。』
「ありがとう。今日も仕事だろ?早く帰りな。みんな待ってるから。」
『うん。また来るから。』
そういうと匠海は俺に背を向け、病院を後にした。
仕事なのに来てくれた匠海に頭が上がらないという思いでいっぱいになった。




