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15話
外はいい天気だ。
風も心地よい程度に吹いている。
この青空の下を歩くのにはかなり適している。
沙弥の車椅子を押し、病室に戻りながら外を眺める。
『お兄ちゃん』
急に沙弥が声をかけてくる。
急に声をかけてくることが最近はあたりまえになりつつある。
「どした?」
『2人だけで話したい』
「いいよ」
それっきり、病室に帰るまでは一言も言葉を発さなかった。
病室へと戻ると案の定、そこには誰もいなかった。
親戚もいなかった。
そのためホッとした。
沙弥はベッドに寝転ぶと、リクライニングを上げ、話し始めた




