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本当の居場所  作者: 佐野はる
第2の人生
14/36

14話

面談室は殺風景な部屋だった。

机と椅子、ホワイトボードが置かれているだけだ。


椅子には沙弥と俺が座っている。


『お待たせしました。』


葵さんが扉をぐいと開き、室内に入って言った。

昨日の葵さんとは全くの別人に見えた。


『橘沙弥さんとそのお兄さんですね。担当医の三澄(みすみ)葵です。』


沙弥と俺の顔をざっと見るなり笑顔で言った。


「はい…。あの。」


『今後の治療についての説明でしたよね。』


葵さん?

いや、葵先生の口調は優しく、不安を和らげてくれているようだった。




自分の命に真正面から立ち向かっていく沙弥の姿は、尊敬しなければいけないな、と思う。

それに対して俺は、何もできずにいた。


話を聞いてもまったく耳に入ってこない。


「お兄さん?」


急に呼ばれて驚く。


「お兄ちゃん?」


沙弥が俺の顔を覗き込む。


「お願いします。」


俺は何の話をしていたのか、全く分からなかった。

その場しのぎのために、ただ「お願いします」とだけ言った。


先生の話を聞いていなかったわけではない。

むしろ聞いていた。

そして正面から命と向き合おうとしていた。


それなのに。。。


胸がギューッと絞めつけられて痛かった。

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