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ゾッフィ帝国の逆襲

作者: ビヨンド裕P

  その日、世界はある帝国に支配された。世界の総軍事力の約6割を占めると言われる『ゾッフィ帝国』が、この世界の支配者となった。支配者となるためゾッフィ帝国は、あらゆる国と戦争し勝利した。そして敗戦国の多くの人が故郷を焼かれて殺された。「ゾッフィ帝国のやつら全員殺してやる」少年は叫んだ。この物語はゾッフィ帝国に、すべてを奪われた少年の復讐の物語である。


  第一話 無情


  俺は禁断の森の中を走っていた。後ろには帝国の殺人マシーンが追ってくる。


「ハアハア」


 息が苦しくて走るのも限界だ。だめだ追い付かれて俺は殺される。息ができなくなり走るのをやめ、後ろを振り返るとすでに3体に囲まれていた。俺はあきらめて両手を挙げた。その瞬間、殺人マシーンからレーザー光線が発射され俺の左胸を貫いた。


 ズガアアーーーアン!!!!


 爆音が森の中に響き渡った。血が吹き出し俺の倒れた周りが赤く染まる。俺、死んだのか。自分が死を意識した瞬間ふわりと浮かんだ。魂が天に昇るなか目の前には走馬灯がみえる。


「本当にあるんだなこれ」


 俺は呟いた。走馬灯には幼なじみのミサがみえる。ミサは性別:女 歳:11 一人称:あたし

 恰好:亜麻色のポニーテールでエメラルドグリーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。両耳にハートのピアス、首にはハートのネックレス。

 服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手に革の黒いグローブを嵌めている。下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。靴は黒いショートブーツ。

 キャラ説明:カイトとネロの幼馴染。

 明るく活発で勝気な性格。ゾッフィ帝国総合学校の魔法科で魔法を習い、おばばの元で魔法の修行をしている。ネロにぞっこん。


「カイト、あたしに協力しなさいよ。いいわね? ネロに振り向いて欲しいの」


 ていう感じの女だ。走馬灯のミサはなぜか裸になっている。これからシャワーでも浴びるのかな?俺はまさか死んで始めて幼なじみの裸をみることができて若干、興奮している。しかし、何で寝室で裸なんだよ!頭おかしなるでホンマ。


 バン!


 扉が開く。なんだよ誰か来たぞミサ裸なのに。俺は最初、家族かなと思った。しかし次の瞬間、生きていた頃には受けたことがない衝撃が身体を貫いた。なんと寝室に入って来たのはネロではないか。ネロは性別:男 歳:11 一人称:ボク

 恰好:黒いハットを斜めに被り、黒ぶち眼鏡を掛け、左耳にピアス。服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。武器:改良した武器

 キャラ説明:カイトの幼馴染

 クールで冷静沈着。武器を改良するのが趣味。


「カイト。お前は後先考えずに行動するな。いつか大切なモノを失くすぞ」


 というムカつく男だ。


「遅いよ、いつまでシャワー浴びてるの」


 ミサは俺が聞いたこともない甘えた声でネロに言った。


「今日は始めて、二人だけの夜だからね。念入りに洗ってたのさ」


 ネロがニヤつきながら言った。そのまま二人はベッドに潜りこんで、何かモゾモゾとやっている。うわっキスしてるぞこいつら。俺は大好きだったミサが、一番ムカつく男と淫らな行為をしていることに怒りが頂点に達した。そしてあまりにも怒りが強すぎて俺は憤死した。まさか走馬灯をみて死ぬとは思わなかった。俺は今までにないぐらい強く思った。生きてネロを殺したい、そして俺と家族を殺したゾッフィ帝国もついでに倒したい。その時、強い光が俺の魂を包みこんだ。


  第二話 享受


 気付いたら俺はカラオケボックスの中にいた。目の前には、俺よりもかなりデカイオッサンがいた。Tシャツにはプロレスリングシ〇ターと書いてある。


「なんだここは。てかオッサン誰だ?」


 俺はオッサンに聞いてみた。ここが死後の世界なのか?こんなカラオケボックスがそうなのか?俺は少し混乱した。


「どうも、シーバー〇ーで~す」


 オッサンは唐突に叫んだ。なんだよコイツ、見た目も不快だし本当に意味がわからない。俺が目を丸くしているとシバターは話しかけてきた。


「お前はsyamuさんに選ばれた。syamuさんはお前にチャンスを与えてくれる、生き返る、チャンスを」


 誰だよ、知らないぞ。


「syamuさんはYoutuber、小説家、作曲家として知られているお方だ。そしてこの世界を創造した神でもある。あとはsyamuさんが話す」


 シバターが呼びかけると、男が1人入って来た。


「どうも、syamuです」


 男が話し始めた。なんだよこの小さいオッサン、11歳の俺と同じぐらいだぞ。グラサンから時々みえるもぐらみたいな目が、何ともいえない気持ちにさせる。syamuと名乗る男はそれから40分くらい話したが内容を要約すると、俺にYoutuberとなって人気者になれ、そうすれば愛する女の気持ちを取り戻せるし恋に発展するかもしれないという内容の話だった。


「無茶苦茶言うな!無理に決まっているだろ」


 俺は怒鳴った。だが、もぐらは


「人気Youtuberになればあらゆる力が手に入る。富、名声、女そして力そのすべてだ」


 ふざけてんのか‼俺はもぐらを殴った。


「お前に足りないものがわかるか?」


 もぐらはかまわず聞いてきた。


「俺に足りないもの?」


 俺にはまったくわからなかった。ゾッフィ帝国配下の魔法学校での成績は悪くなかった。不覚にもガラクタに命を奪われ、ミサの不貞行為で怒り狂い俺は二度も死んでしまったが、魔法の実力もクラスの人気もある。可愛い幼なじみもいる。


「俺に足りないものはない」


 大声で言った。だがもぐらは細い声で俺にささやきかけた。


「君に足りないのは、おふざけとお笑いだ」


 俺はハッとなった。今まで何故気づかなかったのか?そう言えばミサにも言われていた。あんたには遊び心がない、つまらない男なんだよ。


「俺に力をください。Youtuberとしての力、そして生き返るチャンスを」


 俺は土下座して頼みこんだ。するとsyamuとシバターは突然千本桜を歌いだした。


「お前も歌え」

「わかりました」


 俺は肩を組む二人の横に並んで肩を組んだ。結局、syamuさんがマイクを離さなかったため俺はまったく歌えなかったが何かとんでもない力が沸いてきている気がしてきた。


「君は生き返る。そしてYoutuberとして多くの敵と戦うことになる。すべての敵を倒すんだで少年よ~」


 気の抜けた声でsyamuさんが言った。俺はやる!このチャンスを無駄にしない。必ず大物Youtuberになってミサを取り戻す。こうして俺はカラオケボックスを出た。すると何故か、禁断の森に立っていた。目の前には俺を殺したあのガラクタどもがいた。


 第三話 変身


  俺の手にはなぜかゾッフィ帝国の兵器開発企業ウォンツが、開発した魔力を増幅させ人間を魔人に変身させるベルト通称[ウォンツドライバー]とYoutuberの力が宿る[Youtubeライドカード]が握られていた。俺はドライバーを腰に巻き、ライドカードを2枚重ねてセットして叫んだ。


「ブンブン!ハローYoutube!」


 するとドライバーから


「フュージョンライド!ヒカキン!syamu!超大物Youtuberフォーム」


 の音声と共に俺の身体を光が包み、爆発した。すると俺は禍禍しい見た目の魔人に変身した。


「これならお前らと戦える」


 そう言うと、俺は思い切り足に力を入れて高くジャンプした。3体の殺人マシーンが一斉に俺に向かってレーザー光線を放つ。俺はそれを空中で真正面から受けたが、まったく効かなかった。


「くらえ!俺の一撃」


 俺はドライバーの左のアップロードスロットにsyamuの和歌山旅行動画カードをセットした。


「ここから見える景色には船がありますね~」


 syamuの声と共に空から極太のレーザーが殺人マシーンに向かって発射された。


「ドーンハンマー」


 俺は必殺技の名前を叫んだ。「ズドーン‼」と爆音が響き渡った。禁断の森の半径3キロが燃えて跡形もなく敵は消え失せていた。


「すごい、この力があれば必ず俺はネロを殺せる。そしてミサを手に入れることができる。」


 俺は手に入れた力に完全に酔っていた。そして早くネロを殺したい気持ちを抑えることができなくなり、ネロにLINEを送った。


「決着をつけようネロ。俺とお前の」


 ネロを殺したら、次はゾッフィ帝国だ。俺はこの力で必ず目的を果たすそう心に誓い禁断の森を抜け、家に帰った。


 第四話 愛憎


 しばらくして、ネロから返信がきた。


「君と僕は友達だ。戦う理由はない」


 友達だア?こいつは俺がミサのこと好きなこと知っていながら、ミサと不貞行為に及んだ最低なゴミ野郎だ。俺はこいつが戦う意志がないこと、そしてどこか自分を見下した態度に頭がきて空中シャボンに乗り込むとネロの家に向かった。ネロの家はオートロックのマンションだ。俺はネロの家の部屋番号を入れ、呼び鈴を鳴らした。


「俺だ、前川祐平だ。」


「急にどうしたんだ?」


「LINEみただろ?決着をつけるんだよ」


「なぜ君と、戦わないといけないんだ⁉」


「ブッ殺すゾ、あくしろよ‼俺はお前とミサがエッチなことしてるのを俺は見たぞ」


 ネロはまさか自分とミサの行為を、見られたとは思っていなかったらしく動揺した声で


「君は何か勘違いしている。僕はミサの執筆活動の相談を受けていただけだ」


「全裸で夜、ベッドの上でキスしながらか?おかしいだろ」


 俺はもう怒りで震えていた。ネロは焦りながら


「今、下に行く。ミサと3人で話し合おうとりあえず落ち着け」


 仕方ないのでネロを待った。しばらくして連絡を受けたミサがきた。


「カイト何してるの?ネロすごく怯えてた。祐平に殺されるって」


 こいつ俺よりネロが心配なのか?どう考えてもおかしいだろ。この場合、普通ネロより俺のこと気にするだろ。俺はまだ11歳のお前の初めてを奪ったネロをこの世から消し去ってやる、つまりお前のために俺はネロを殺そうとしてるのに。


「カイトおかしいよ」


「おかしい?おかしいのはお前らだろ‼俺の気持ちも知らないで」


 俺はミサを怒鳴り付けた。するとマンションの管理人と共にネロがきた。ミサはすごい勢いでネロの方に駆けて行った。


「管理人さん、早くゾッフィの憲兵を呼んでください!早く」


 ネロは何と俺のことを憲兵に差し出そうとしてる。


「何?お前俺との決着はどうしたんだ。それにミサ何でその男の横にいる?その汚らわしい男から離れろミサ」


 俺はネロ、そしてミサの裏切りに怒り狂ってドライバーをカバンからだした。


「それは帝国の最新兵器じゃないか。何でお前がそれを?」


「ミサ、これが最後の質問だ。お前は俺よりもネロが好きなのか?」


 俺はミサに聞いた。ミサは顔を上げ息を吸って一呼吸おいて叫んだ。


「そうよ‼あんたみたいなつまらない男、興味な~い」


 今まで見たことないぐらいふざけた顔でミサは俺を見た。そしてネロの口にキスをした。ネロもミサに舌を入れてディープなキスをした。まるで俺に見せつけるように。俺はそれをただ黙ってみていた。やがて2人がお互いの口を離すと糸がひいていた。よほど濃厚なキスだったようだ。ミサは俺に向かって


「これでわかった?私はネロが好きなの。あなたに興味はない」


 この言葉を聞いた瞬間、俺の中でネロやミサへの怒りが完全に殺意に変わった。


 第五話 決着


「これではっきりした。俺の敵はゾッフィじゃない、お前らだ!」


 もう俺は2人を殺すことしか考えていなかった。


「止めてカイト‼」


 ミサはカバンから魔法書取りだして呪文を唱えた。


「ネコワンワンネコワンワンワンワオー」

 すると巨大なバリアが3人を包んだ。


「ブンブン!ハローYoutube!」


「フュージョンライド!はじめしゃちょー!syamu!セックス無縁と全身チ〇コフォーム」


 今度は別の姿になった。


「何だあれは?」


 ネロは恐怖で腰を抜かしている。


「消えろ」


 俺はアップロードスロットにsyamuさんの千本桜カラオケ動画カードをセットした。


「千本桜ビャオ‼」


 syamuさんの奇声と共に手に持った勃起ソードにエネルギーがたまる。


「thousandcherryblossom」


 俺は勃起ソードで思い切りバリアを切りつけた。


「うわわわわわわわああああーーーーー」


 バリアは破壊され3人はぶっ飛んだ。管理人は壁にめり込み内臓が飛び出ている。ネロはバリアの破片が心臓に突き刺さって血まみれで倒れている。ミサは可愛い顔がぐちゃぐちゃになって死んでいる。


「お前らが悪いんだ」


 俺はそう言うと、破壊されたマンションを見上げた。こいつらが身勝手なことをしたせいで関係ない人まで被害を受けた。


 俺はそのままゾッフィ帝国の中心部に乗り込んだ。ついでにゾッフィも倒そうと思ったからだ。しかしゾッフィ帝国の圧倒的な軍事力に敵わず死んでしまった。これが3回目の死だ。


 第六話 真実


 気が付くと俺は座敷牢にいた。目の前にはsyamuさんがいる。


「もう一度生き返らしてくれ!今度こそゾッフィ帝国を潰す」


 俺の必死のお願いにもsyamuさんはまったく反応せずカメラの前でパルムの製造番号を読み上げている。


「ンヴッ」

「おいしいけど、おいしい」


 何で反応しないんだよクソ!俺は何度もsyamuさんの身体を揺すった。揺すった衝撃で明治のチョコを落としてしまったが、また拾って食品レビューを続けている。


「一体どうなってんだ?」


 俺は謎の座敷牢から、延々と同じことを話すsyamuさんを見ながら気が付いた。そっか俺、人殺したから地獄に落ちたのか。どうやら俺に与えられた地獄の苦しみは、延々と繰り返されるsyamuさんの話しを聞くこと。しばらくずっとsyamuさんを見てたら気づいたことがある。きっとsyamuさんはカメラを通して、自分の存在を誰かに認めて欲しかったんだと思う。だからYoutuberにあれだけこだわったんだなぁと。syamuさんはいずれ、注目を浴びる存在になり伝説になる。しかし俺は結局、死んでも誰からも認められることはないようだ。俺にエンディングはこない。あるのは目の前のsyamuさんと共に、この座敷牢で延々と繰り返す話を聞く虚無の時間だけだ。



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[良い点] 警告…100点 ウォンツドライバーPRBNで商品化してほしい
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