「遺書」
頭のなかに溜まっていたモヤモヤを言葉に書き起こしたら、あたしのなかで何かが終わった。
満足したというか、なんて言うのだろう。
糸が切れたような感覚。
虚しさとは違う空っぽな感じ。
冬の晴れた日に青空の下で冷たい空気に包まれながらお日様をぼーっと浴びてるのを思い出す。
そんな感じ。
心のなかで解けなかった毒を言葉にして吐き出した。
そしたら、もうすべてがどうでも良くなった。
何もかもが馬鹿馬鹿しくなってしまった。
生きているとか、生きていくとか、死んでしまうとか。
もうわからなくなってしまった。
文豪はこんな感じで自殺したのかなって、
自分勝手に親近感を募らせてみたり。
剃刀は使わない。
ホントにするときは5年前に逃げ出すように卒業した高校の屋上からって決めている。
入れなかったら仕方ないからマンションでいいや。
良く晴れた日。
青空の日。
冷たいけれど清々しい平日の午前中。
こんな日が良い。
条件ももう決めてるの。
一度だけでも幸せになりたかったけれど、
そんなものはあたしに相応しくなかったらしい。
そんなものをあたしは求めてはいけなかったらしい。
どれだけ頑張っても殴られる人生に変わりはないみたい。
なら、もういいや。
頑張って生きる必要なんてないじゃん。
殴られて捨てられて泣いて、苦しい思いばかりするのだし、
これからもどうせずっとそうなのだから。
人間どうせ死ぬんだから、今死んでも一緒。
人間どうせ死ぬんだから、頑張っても一緒。
痛い思いにもう耐えられない。
癒してくれる人がいれば良かったのだけれど、
あたしは今までそんな人に会えなかったから。
だから、もういいや。
心のモヤモヤを言葉にしたらすっきりしたし。
決心だとか、覚悟なんてたいそうなものではなかったけれど。
未練みたいなものを消せたから。
だから、もういいや。
死んじゃえ。
あたしのなかで声がした。
うん。きみの言うとおりだと思う。
そうだね。
さよなら。
ばいばい。