3年生 大脱出!
そして時は来た。
拠点の構築が終わり、情報も全て集まった。
武器も問題ない。
後は決行するのみである!
俺はさも当たり前のように言った。
「麗君、今夜ここから脱出するよ。」
「え?」
何を言っているのか分からないといった顔で俺を麗君が見ていた。
まあしかたないが、ここは敵地なので麗君に細かい説明ができない・・・
なので今夜の予定だけ簡潔に話した。
「今夜1時に俺の部隊がここを強襲するからその混乱に乗じて俺達は逃げるよ。その時に麗君の身代わりの囮を立てるから服をこちらに貰うことになるからそのつもりで。」
「えっえ?じゃっじゃあ着替えは//」
なぜか麗君が頬を染めながら聞いてくる。
おい、俺にそっちの趣味はないぞ!
「もちろん準備してある。強襲前に潜入部隊が来るからそこで受け取って着替えてもらう。後は潜入部隊と一緒に脱出だ。難しいことはない。俺が背負って逃げるから俺に負ぶさって目を閉じていろ。」
「えっあっその!おっお願いします//」
だからなぜ頬を染めて下を向いてもじもじする!
しかも何気に女顔だから妙な気分になるだろ!
「まぁ任せておけ。なんとしても俺が日本まで連れ帰ってやるから。」
「はっはい!//」
こうして俺の脱出作戦の準備は整った。
sideドッペル襲撃班
いよいよ脱出作戦の時が来た。
この日の為に麗君の傍にいた本体は拠点に移りドッペルとの入れ替えも完了している。
そして潜入班はすでに監禁場所にたどり着いていて、後は俺達襲撃班が突入するだけだ。
「よし、時間だ。準備はいいな?」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
俺達は元は一人の人間なので意思疎通はまさにツーカーである。
一応のリーダー格はいるが、その実は各自の判断を優先することが多い。
何せ考えかたから経験まで一緒の兵隊なのだからまさに『全は一、一は全』で行動できるのである。
そうこうしているうちに突入の時間になった。
「よし!突入!!」
「ひゃっは~!」
「皆殺しじゃ~~~!!」
などと各人注意を引く為に叫びながら突入していく。
普通では考えられない行動ではあるが、所詮俺達はドッペルゲンガーである。
死んでも本体さえ生きていればいつでも復活するので命がけの特攻なんて真似が普通にできるのだ。
さぁ、不幸にも俺をさらってしまった組織には痛い目にあってもらいましょうか!
side end
side 潜入班
作戦開始前に潜入した俺達は何事もなく監禁場所を制圧、そして無事に麗君及び護衛のドッペルと合流した。
「鳳凰院 麗様ですね?お迎えに上がりました。」
そういって俺が代表して挨拶を交わすが、見た目がゲリラにしか見えない俺達に麗君が若干引いているようではあるが・・・
まぁ装備自体がこの組織の武器庫から調達したものなのでしかたないか。
取り合えず作戦に従い麗君に着替えてもらう服を差し出した。
「それでは囮に鳳凰院様の衣服を使用しますのでこちらにお着替えください。」
「わっわかりました。その、あっあちらで着替えてくるね!//」
そういって服を受け取ると麗君が物陰へ隠れてしまった。
まぁ上流階級のお坊ちゃんだからなぁ・・・
でも頬染めながら隠れなくてもいいんじゃないか?
と、思っているうちに服を着替えた麗君が出てきた。
ちなみに渡した服はグリーンの迷彩服と防弾チョッキ、それとヘルメットである。
これでも一番上等な服を盗んできたのだ、これで我慢してほしいものである。
さて、着替えが終わったのとほぼ同時に銃声が聞こえ出した。
予定通り襲撃班が来たようだ。
待機場所に向かうとするか!
「鳳凰院様、襲撃班が戦闘を開始しました。これより此処を離れ待機場所へ向かいます。立花様と一緒に我々の真ん中に入って付いてきてください。」
そういって俺達潜入班は伝令に麗君の服を託し、一時的に身を隠せる場所へ移動したのだった。
side end
sideドッペル襲撃班
敵のアジトに強襲し、無事監禁場所までやってきた。
そこには伝令のドッペルが麗君の服を着用し待機していた、作戦通りである。
そして俺達は予定通りに敵の車を奪うべく移動を開始した。
あらかじめ車の場所と車のキーは入手済みである。
なくても直結のエンジン始動などお手の物だ。
ちなみにこれはちょっと手癖の悪い人たちに習った。
まったく俺はどこに向かっているんだろうなぁ・・・
無事車の格納庫に到着し車をゲットした後、それに乗り込み派手な音をたなびかせつつ発進する・・・
「さぁ、俺達の最後の仕事だ!派手にぶちかまそうぜ!!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」
こうして俺達は敵のアジトから脱出することに成功した。
後は敵をひきつける為にカーチェイスである!
「うおっしゃあ!撃て撃て撃て!弾切れなんざ心配するな!!」
ダダダダダダダダッ!!
カキュンッカキュンッカキュンッ
ヒュボッ!シュァァァァァァァァッ!
「おい!あいつらRPGなんて撃ってきた!」
「こっちには麗君がいるって言うのに!撃ち落せ!!」
そうしている間にもRPG-7の弾頭が迫っている。
「ごめん、それ無理!」
「うぇぇっ!仕方ないな、今だ!ハンドル切れ!!」
「よっしゃぁ!」
その横を弾頭が通り過ぎ、何とか回避に成功するがさらに敵がRPG-7を構えているのが見える。
「ちょ、また来るぞ!今度こそ撃ち落とせ!!」
ヒュボッ!シュァァァァァァァァッ!
「弾幕薄いよ?!何やってんの!」
「狙い撃つぜ!!」スチャ、パァンッ!
カキュンッ!ドガァァァァァァン!
「た~まや~!!」
「また来るぞ!」
ヒュボッ!シュァァァァァァァァッ!
「俺に任せろ!」
そういってドッペルの一人がAK47を逆さに持ち弾頭に向かって飛び込んだ。
「狙い打つぜ!」
飛び込んだドッペルは弾頭を打ち返そうとAK47をフルスイングし、
ブンッ、ガン!ドガァァァァァァン!
案の定吹き飛んだ。
普通に爆死である。
「あほかぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うむ、実に良い散り様であった。」
まぁ俺達はドッペルなので問題ない。
それにそろそろ脱出から40分、潜入班が拠点に到着した頃だ。
予定通り車を破棄してジャングルに逃げ込むか!
「全員対ショック姿勢!突っ込むぞ!!」
そういって俺達はジャングルの中に車を突っ込ませ、壊れた車から脱出したのだった・・・
side end
ふむ、囮の襲撃班は無事任務をこなしているようだ。
先ほど死んだドッペルの情報だとそろそろジャングルに突入段階なんだが、何でRPGに突っ込んでるんだよ・・・
まぁそのことはいい、潜入班はあと1kmほどで第一拠点に到着か。
作戦は順調だな。
しかし、やることがないな!
俺の今の最重要事項は体力を消費しないことだし、暇だからと言って筋力トレーニングもできないしな。
さて、順調に行けば6日ほどで何とかなると思うんだが・・・
sideドッペル潜入班
襲撃班の囮により俺達は無事に第一拠点に向かってジャングルを突っ切っていた。
麗君は執事姿のドッペルに背負われて移動している。
運動999はさすがにチートじみているな!
まさか人一人を背負って走っているのに息も切らせないとは・・・
さて拠点が見えてきた。
此処で今晩は休憩だ。
次の移動は麗君の体調を考えて夜明けからになるし、そろそろ本体が次の拠点に移動を開始した頃だ。
このまま順調に行けばいいんだが・・・
そういって俺は拠点としている洞穴へ脚を急がせて行った・・・
side end