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Reason  作者: 華 雪うさぎ
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Reason〜第4章〜

一部残酷なシーンがあります。18歳未満の方、残酷なシーンの描写が苦手な方は非推奨です。


【Reason〜第4章〜】


朝日が差し込む中、けたたましく目覚まし時計が鳴る。

煩いなぁ……又身体が鉛のように重たい。あの夢を見たのか……自然と察せれる。

右手で、勢いよくバシッと目覚まし時計を叩く。

その動きは、俊敏さを欠いてたが煩い音を止めたい一心で動いた。


布団の中からモゾモゾと這い出てくる。芋虫みたいな動き方だった。

別に誰かに見せるものじゃないから、気に止めて無かった。

顔を布団から出すと、光が目に飛び込んで来た。

窓から差し込む朝陽を見たのかと思ったが、その光は違った。紫色な輝きだった。

目が慣れ始めてきた頃、その輝きは貰った【紫の水晶】が放っていた。

貰った時とは比べ物にならない輝きを放っていた為、何事かと指を伸ばすと……その輝きは一層眩しくなった。

まっ……眩しい‼︎

薄っすらと目を開けると、水晶から光が壁に向かって放っていた。

その壁の光の中、映像が映り出す。プロジェクターみたいな理論なのね……どー言う仕組みになっているの?と思ったが、その映像に目が行く。


何処かのマンション?映像が、何処かのマンションを映している。

この場所は知らない……何処?見た事無い……。

マンションを映していたシーンが突如変わった。

声が聞こえてくる。

う?猫?これは……。

何処かのマンションの裏手を映しながら、猫の鳴き声が聞こえてくる。

これは何?考えても自分が持ち合わせてる常識なんか通用する訳は無い。

それよりも、この猫の鳴き声最近聞いた様な……。

猫の鳴き声聴き分ける能力なんか無いはずだが、何処だろう。頭の中は色んな考えが取り巻いてて、正直グルグルと回っていた。

すると、又映像が変わった。

チャラい感じの男が何人か立っていた。

又、映像が少し動いた。

男達が奥手で立っている中、手前に白い物が映る。フワフワしているから、最初綿かと思ったが……それが猫なのは分かった。

小さい手足に耳があったからだ。

その白い猫は……見覚えがあった‼︎

昨日お邪魔したお婆さんと一緒にいた猫だ‼︎白い猫でも、足元に黒い模様があった。

それが頭の記憶に残っていた。

間違い無い‼︎昨日お婆さんと一緒にいた猫だ‼︎

心なしか心拍数が急上昇しているのが分かる。

この続きは見たく無いって変な直感が瞬時に走る。


その男達は白い猫を取り囲んでいた。

そして、ニヤニヤと笑い出し始まってしまった。見たく無い物を……。

白い猫に石を投げ出した。そこから、取り囲んでた男達は猫を蹴り始める。

まるで、蹴鞠みたいに……もぅ見たく無い‼︎

蹴られながら、猫の悲痛な鳴き声が響く。そして、ドスドスと鈍い音が響く。

もぅ見たく無い‼︎見せないで‼︎とおもわず、両手で耳を塞ぎ目を閉じて布団の中に入る。

自分の呼吸音が凄く荒いのが分かる。

吐き気もして来た……グォエ……胃酸が一気に上がって来て吐き気を抑える事で手一杯だった。

布団の中から、近くにあるティッシュ箱に指だけで手探りで探す。

そこから、ティッシュペーパーで口を押さえる。

グォオオ……ハァハァ……自然と涙も出てきてた。


少し口元を押さえた後に、楽になるまでベットで横になっていた。

呼吸音も落ち着いたのを自覚出来るまで……石の様に動かなかった。

てか動けなかったのが、正直な気持ちだった。


ようやく、布団の中から出て水晶が照らす先に目が行く。

映像は止まっていてくれてたらって願いも含めて、目線を走らせた。


その願いは、砕かれた。

血塗れになった猫が、マンションの駐車場らしき場所に捨て置かれてた。

もぅ殆んど動いて無かった。

鳴き声も、殆んど聞こえないぐらいに小さい。

誰が見ても、危険な状態なのは分かる。

残酷な光景に、言葉を失った。

どーして、こんな事に。涙が止まらなかった。大粒の涙が幾度と無く溢れてくる。

心が裂かれそうな気持ちで、押し潰されそうだった。

可哀想過ぎる。


こんな所を見たら、お婆さんが脳裏を過ぎった。

お婆さん……。

見せれる訳が無い。あれだけ、可愛がってたのは分かる。

私が見たのは短い時間だったが、お婆さんと猫の愛情には充分過ぎる程に触れたつもりだった。

残酷過ぎる。

こんなの……あっちゃいけない事。


そー思ってた時に、さっきまで猫を蹴鞠の様に蹴っていた男が1人戻ってきた。

手には大きなコンクリート片を持ちながら、薄気味悪くニタニタと笑っている。

その目は悪魔が宿っていた。

その男はニターと笑うとコンクリート片を大きく持ち上げ猫に落下させる。

グシャ……。鈍く血の気の引く音が響いた。

その音を聞いた時、映し出されてる映像に食って掛かりそうになった。

これは、人間がする事じゃない。

人間としてのモラルを失った悪魔だった。

両手を強く握り締める。

握り締めてる指先が皮膚に食い込む。

握り締めすぎて、血が出そうなぐらいに強く力を込める。

両目は怒りを込めて、カッとその男を見据えてた。

大粒の涙を流しながら……ガッと。


その時だった。自分の周りがキラキラと急に輝き出した。

今度は何?眩しいし。

ソッと目を開ける時に、水音が耳に聞こえてきた。

「よぉ来たねぇ。そなたが今目にしたのは、これから起きる近い未来かぇ」

目の前には、あの芙蓉さんが立っていた。正確には、優雅に足を崩し片手に煙管を持ちながら、少し気怠い感じで座っていた。

「あの、これは何ですか?非常に怒りを感じました。法が許すなら猫が受けた事を全てこの男共に味合わせたい‼︎」さっきまでの怒りが波の様に戻ってきたのが分かる。芙蓉さんを見る自分の目の周りの筋肉が痙攣し出した。芙蓉さんに怒りをぶつけても意味が無いのは分かっているが……私の怒りが収まらない。


「だからぇ、落ち着きなはれ。さっきも言ったがぇ、そなたが見たのは近い未来かぇ。今というのはぇ色々な可能性、状態が連鎖的に起きて行った結果ぇ。そなたが見たのは、起こり得る近い未来ぇ、でも勘違いしてはならないぇ、それは必ず起きるとは限らないぇ」そー言うと静かに煙管を吐き出し、カンと叩く。

「起きるか?分からない。でも可能性としてある物を何故私が……」

ふと疑問が湧いた。

「そこまで伝えて分からないとはぇ。聡い子のが、わらわは好みぇ」小さく溜息を零しながら、両足の組んでいるのを組み直す。

「そなたには、予知夢を見る体質ぇ。しかも人、動物関係無く救って欲しい者が事前に警告を放っているぇ。そたは出来るだけ、それを防いで助けないと朝方の習慣は決して変わらないぇ」

カンと大きく叩いた後に芙蓉さんがキッパリと言い放つ。

「その猫を助けてあげなさぇ」

その言葉を聞いて、大きく頷いてた。

言われなくても、このお婆さんと猫の幸せな時間を守ってあげたい‼︎

その頷きに、芙蓉さんは静かな微笑で返す。


私の戦いが始まった瞬間だった。絶対に守る‼︎

強く両手を握り締めた。




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