Reason〜第3章〜
今回は、話がまだ進んでませんが良かったら読んで頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。
【Reason】〜第3章〜
ふと職場のパソコンを触りながら、朝方の事を思い出した。
突然な事だらけで、何が何やら。ただ、この縁が何か自分の中で滞ってる空気が変われば良いけど、余りにも現実離れし過ぎって失笑してしまう。
身体は相変わらず鉛の様に重たい。デスクワークだけじゃないから、この身体のシンドさは大きい。
同僚からは今日も変わらずねって鼻で笑われる始末。
これでも、欠勤しないで来たのよって笑って返したが、自分を評価してくれてる人の態度に内心ガッカリする。第三者に期待するのは、昔に止めた。
馬鹿みたいだから。期待するのは。こんな心情を第三者に言ったら、向上心が無いと片ずけられそうね。
職場の食堂に足を向ける。
人混みが凄いながら、定食Bを頼む。胃が元気じゃ無かったから、お魚のムニエルのヘルシーなのを頼んだ。若干の酸味が心地良い味だった。
食堂からの窓からは、平穏な日常が繰り広げられてた。
仕事を終えて、足取り重たく家路に着く。
「ハァ……寒いなぁ」両手を顔に近ずけながら、大きく真っ白い息を吹きかける。
その時だった。
「今日も元気に来たのかい、美味しいご飯用意したからね。よしよし」住宅街の夜道に突然お婆さんの声が聞こえてくる。
うん?最初は誰かと会話してるのが聞こえて来ただけかと思ったけど、その様子が気になった。
生垣の向こうから、その声は聞こえてくる。
ソッと覗いてみる。
「おやおや、今日は早いね食べるの。よしよし」
声のする先には、お婆さんが1人立っていた。その足元には、小さな猫が懐いていた。
このお婆さんと猫の会話だったんだ。
立ち聞きも良く無いから、立ち去ろうとする。その時に声を掛けられた。
「おや、今日はお友達を連れて来たのかい?いらっしゃい」お婆さんに気付かれたのか?声を掛けられた。
「すいません、立ち去ろうとしたのですが会話が聞こえてきて。つい気になってしまって。不躾な事してしまって、すいません」一応一言声を掛けながら垣根の合間から敷地内に入る。
気付かれてて、無言で立ち去るのも逆に失礼だし、一言声を掛けてから敷地内に入ったから問題は無いって機転を利かせて動いてた。
「大丈夫じゃよ。1人暮らしの年寄りの話し相手になって下さいな」そのお婆さんは終始ニコニコと笑っている。一軒家で1人暮らしって、寂しいのかなぁって失礼ながら思ってしまう自分に失礼でしょうと突っ込み入れてしまう。
「今の会話って、この猫とですか?」差し障りのない話を振ってみる。
「そうじゃよ、この猫さんは気付いたら、この時間になると家にくるんじゃよ。婆さん1人暮らしだから、野良猫でも毎日来てくれるなら嬉しくってね」
その言葉に、お婆さんの寂しさが含まれてた。それが分かって胸が締め付けられる想いだった。
「この猫はお婆さんが飼ってるんじゃなくて、野良何ですか?」
「飼ってはおらんよ。そうじゃよ、知らぬ間に、そこにいて毎日来てくれるんじゃよお友達みたいなもんじゃなぁ〜」そのお婆さんは満面の笑みで猫を語る。
猫の事大好きなんだぁって自然と思えてくる。穏やかな時間だった。
「おや、御馳走様かい。今日もお前さん、毛並みが綺麗じゃのぉ〜」猫はお婆さんの膝の上で丸くなりながら静かに撫でられてる。
その時間が邪魔しちゃいけない大事な時間なんだと、直感で分かった。
立ち去ろう……。
静かに後ろを向きながら
「お邪魔しました」と伝えて垣根を潜ろうとしたら、お婆さんが声を掛けて来てくれる。
「このぐらいの時間なら、この子もいるし良かったらお前さんも、おいで〜1人増えても構わないし」その言葉に
「はい‼︎」と後手に答える。
それからは、夜道を家まで歩く。いつもの道が、今日は暖かい気持ちで過ごせてる。身体の倦怠感も朝よりは楽になっている。お婆さんと猫のお陰だって心の中でホッコリとした。
また、お婆さんと猫に会えたら良いなぁと自宅のマンションを目指す。
家に入ると、部屋着に着替えて楽な格好をする。今日は色々な事あったけど、今までの日常とは違って刺激と暖かさを貰えた1日だったと安堵を覚えた。
食事を終えると、簡単にシャワーを浴びてベットに潜る。
枕元には渡された【紫の水晶】が小さく光っていた。
この輝きは、自然と魅入る魅力を持っている。紫の中に色々な色の光を放っていて思わず綺麗って思いながら布団で眠りにつく。
静かにサイドテーブルに置かれていた水晶は、怪しくも神々しくライトに照らされて輝きだした。
その光は、何を示すかは分からないまま。