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第2話 革命計画

楽しんでますか!!

「と言うわけで、今日はもう帰っていいわよ」


 別に言われなくとも下校時間過ぎてるんだから、帰るに決まってるだろ?バカなの?

 

「桜は帰らないのか?」


 おっと、優しい男の部分が出ちまったぜ。

 低い疲れたような声音で桜に声をかける俺。

 その本人は生徒会室の両脇にある棚から、無造作無数に置かれた書類を取り出すと雑務を始めた。

 あんな量を1人でやるのか……まぁ、頑張れよ。

 と、無関心な事を心の中で呟く。

 情け無用……それが俺が決めた桜に対する接し方の基本だ。

 だから、手伝わない、ねぎらいの言葉さえ掛けない。

 俺にとって桜は見知らない他人同然の価値の人間なのだ。

 だから、目も合わせないで、無言でドアを開けようとした……が、あっちから話しかけきやがった。


「お疲れ様。翼」


 視線はいまだに書類を向いているが、ドアの開いた音で気づいたらしい。

 まぁ、話は変わるが、呼び方については名前で呼ぶということに決まってた(半ば強制)

 別に俺はどっちでも良かったのだが、桜の方が「高橋とか、生徒会長って呼ばれるのダサい」とかわけの分からないいちゃもんをつけたためこうなった。

 流石に生徒会長とは呼ばないから……。

おっと、話がズレ過ぎた。

 閑話休題。


「おう……」


 桜の労いの言葉に驚いてしまったのか、自然と口が開いてしまった。


「明日は生徒会副会長承認会があるから、夜更かしとかしないで早めに寝なさいよ?」


「めんどくさい……」


 くそっ!!何で俺が生徒会に入って、しかもよりにもよって副会長にならなきゃいけないだ!?

 可笑しいよね!?可笑しいよね!?

 大体人前に立つことが苦手というか、不可能な俺が司会やったり、生徒会の活動報告を話したりするなんて清水寺の舞台から飛び降りるに等しい荒行だよ?

 体育館のステージでぶっ倒れて頭打って、死ぬという落ちが見えてる。

 俺の体から拒絶反応の嵐が吹き荒れている。


「ドア閉めていってね」


「おう……」


 言われた通りドアを閉めた俺は、下駄箱に向かって歩き始めた。

 時刻はもう6時を回っていた。

 廊下の窓から入ってくる、夕陽の光がまだ照りつけていることに、夏の訪れを感じる。

 その光で照らさせれている廊下の床は白金のように白く輝いていた。

 やっぱり、新学校は綺麗でいいな。

 この朝ノ山高校自体の歴史は開校50年と長いが、校舎は去年の二月に建て替えられた。

 その丁度いいタイミングで入ってきた俺は、今こうして新校舎の快適な学校生活を享受している。

 全教室には扇風機とクーラーが完備され、廊下大理石に似た原石を使って作られ、図書室には最新のパソコンを設置された。

 だから、話をずらしてしまう癖を直したい。

 閑話休題。part 2


「あの生徒会がなければ完璧なんだけどな……」


 ため息混じりの声が出る。

 まぁ、無くならないんだろうけど……。


「無くしたいの?生徒会?」


「っ!?」


「無くしたいの?生徒会?」


「お前誰?」


「無くしたいの?生徒会?」


「あの~お名前は?」


「無くしたいの…」


「わかった!!無くしたいんだけです!!」


「名前は中村 椿(なかむらつばき)


「今さら言うんかい!!」


「私は女の子」


「お前誰?の質問に答えるの遅いわ!!てか、誰だがら、名前聞いただけだからね!?」


 何なんだこの女の子!?

 天然という部分については認定するけど。

 いきなり、話しかけてきて、生徒会を無くしたいの?なんて聞くのは何か裏がある気がする。

 相手の意図を読もうとするが、その無表情からは何も分からない。

 無表情、無口、無気配と三拍子揃った謎の不思議少女中村 椿。

 紙はその不気味さを象徴するように濃い青い色、ほっぺたにはえくぼがあり、顔は……無表情で説明が出来ない……。

 そんな椿が口を開く。


「ちょっと失礼」


「な、な、何してんだよ!?」


 今の状況を例えるなら、近距離密着イチャイチャ中。


「身体融合」


「何その中二病みたいな言葉!?てか、離れろ!!」


「いや……だ」


「くそっ!!」


 どうする?離してくれない……まぁ、嬉しい……って!!何いってんだよ!!俺の煩悩。


「じゃあ寝て」


「えっ!?」


 そう言うといきなり口にハンカチを押し付けてくる椿。

 なんだ……なんだか……眠く……な……る。

 夕陽に照らさた椿の姿が徐々に視界から消えた。




「起きて」


 耳元でささやくような少女の声。

 その声は、不思議と俺の心を目覚めさせた。


「うわ!?椿!?」


 閉じていた瞳をゆっくりと開く。

 その瞬間、俺の目に入ってくる蛍光灯の光。

 まったく、太陽の光みたいに優しくない。

 始めてみる教室だった。


「さぁ、立って」


「ちょっと待ってくれないか?」


「どうしたの?」


「腰がめっちゃ痛いんだけど……どうゆう運び方したんだ?」


「ごろごろ転がした」


「おにぎりみたいにね……なるほど……だから、こんなに制服が汚いんだな……」


 俺の制服は椿の言ったことを裏付けるかのように汚れていた。

 腕にこびりついたホコリ、何故そんな場所についたのか理解に困るテープゴミ。

 今の俺ならダストマンになれるよ?

 人間どもをゴミだらけにしてやる!!

 悪役かよ。悪者かよ。正義の味方に倒されちゃうのかよ……。

 そんな俺の制服を興味無さそうに見る椿。


「クリーニング代請求してもいいかな?」


「何で?」


「汚れてるから」


「翼くんは元から汚れてるから問題ない」


「失礼過ぎるだろ!!」


 くそっ!!こんな奴と話してたら、一年終わっちゃうわ……疲れた。

 よし、とっとと話を済まして、帰ろう。


「で、俺を誘拐してなにがしたいんだ?」


「誘拐なんて……拉致しただけよ」


「変わんねぇよ!!」


「なにがしたいか?……何がしたいんだろ?」


「帰っていいか?」


「帰るなら代金置いてきな」


「もう……早く話せ」


「翼くんに革命軍の総帥になって欲しいの」


「革命軍?」


「絶対生徒会といわれる朝ノ山高校生徒会を打倒して、生徒主義の生徒会に戻す為の組織」


 絶対生徒会を打倒する?

 確かにそれは名案だ。

 そうなってぐれれば俺が生徒会副会長に成らずに済む。

 それは俺にとってプラスだ。

 

「どう?」


「いいだろう」


「初陣はどうする?」


 俺は椿に声をかける。


「明日LHRの時間に行われる生徒会副会長承認会を失敗させる」


「なるほど」


「作戦については明日の朝話し合いましょう」


「わかった」


 こうして成立した。

 絶対生徒会打倒計画。


 果たして成功するのか?







くそっ……お腹がいたい。


なのにバイトあるなんて……。


死ぬ……。


と呟く紀州正義。

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