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ビバ!政略結婚  作者: よだ ちかこ
第7章 ついにその時が!
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~その12~ 男の一臣様

 ベストを脱いで、真っ白なシャツのボタンを全部外すと、

「なんで、じっと俺のことを見ているんだよ」

と一臣様は言いながら、私の上に乗っかってきた。


「え?み、見ていません」

「見てただろ。うっとりと…」

 ばれていたか。

「だって…」


 シャツは脱がないの?前、はだけたままでシャツを着ているっていうのも、やたらとセクシーだ。

 ドキドキ。そんなセクシーな姿のまま、一臣様は私にキスをしてきた。

 ひゃ~~。大人のキスのほうだ。それだけで、もうとろけてしまう。


 ほわ~~~~~~~ん。宙に浮いている気分だ。

 あ!耳にキス!ビクンって体が反応してしまった。そういうのって恥ずかしい。


 それから首筋にキスをしてきて、長襦袢の胸元を一臣様は広げてきた。

「色っぽいよな。お前、バスローブより、こういうのを着たほうが色っぽいんだな」

 ドキ!なんか、すごいことを言われたかも。


 そして、胸の谷間に顔をうずめ、キスをする。

 ひゃ~~~。胸の奥がうずって今、疼いちゃった。

 ドキドキドキ。胸は高鳴るのに、その奥ではうずうずうずって、疼きがだんだんと表面に出てこようとしている。


 するっと腰ひもを一臣様はほどくと、するりと長襦袢を脱がせていく。

 うずうずうずうず…。ドキドキドキドキ。それからの展開をドキドキしていると、

「あれ?まだ、下に着てるのか?」

と一臣様が普通に話しかけてきた。


「…これは、肌襦袢です」

 ちょっと、気持ちがしらけちゃった。うずうず、ドキドキしていたのにな。

「何枚着ているんだよ。下のは…、裾よけ?」

「はい」


「薄いピンク色なんだな。やたら色っぽいな」

 ドキン。一臣様の目も熱っぽい。あ、またドキドキ、うずうず。


 でも、一臣様は肌襦袢を脱がせるのに、苦労し始めた。

「これ、どこで紐結んであるわけ?」

「…ここです」

 また、しらけちゃった。ドキドキしていたのになあ。


 私は、しかたなく自分でその紐をほどいた。紐がほどけると、胸があわらになってしまった。

 うわ…。なんだか、自分で脱いじゃったみたいで、やたらと恥ずかしい。しらけていたのに、また一気に胸が高鳴ってしまった。

 そして、ゆっくりと一臣様は肌襦袢も脱がすと、なぜだか、上半身を起こして私をじっと見ている。


 なな、なんで?なんか、変?あ。裾よけだけになっているから、かなり間抜けな恰好なの?

 どうしよう。恥ずかしい。

 視線に耐えられず、思わず両手で胸を隠すと、

「うわ。ますます色っぽいぞ」

と、一臣様はそう言って、「う!」といきなり鼻をおさえた。


 まさか、鼻血?


「俺、鼻血出ていないか?」

 一臣様がおさえていた手をどけた。

「出ていません」

「そうか。今、やばかったんだけどな」


「……」

 なんで鼻血?

「こういうの、前にビデオで見たことある。時代劇物のエッチビデオ」

 え?!!


「上だけ裸で、下は、この裾よけってのをつけてて…」

 どんなビデオ観ていたのよ!もう!

「…で、そんな胸だけ手で隠されたりしたら、よけい色っぽくなるだろ。あほ」

 そんなこと言われたって!


「それで、この裾よけはどうやって脱がせたらいいんだ?また、紐が付いているな」

「これは…」

 また自分で脱ぐみたいで恥ずかしい。そう思いつつ、躊躇していると、

「あ、この下何もつけていないんだっけ」

と聞いてきた。


「はい」

 頷くと、するっと裾よけの隙間から手を、一臣様が入れてきた。

「駄目!」

「なんで?」


「なんででも、駄目です!」

 そう言ってもきかないで、今度は裾をまくってきた。

「駄目!」

「だから、なんでだ?」


「だって」

 すごくスケベな感じがあるもん!

「脱がなくていいぞ。このままで」

「え?」

「そっちのほうが色っぽいし」

 いや。なんかそっちのほうが、変態っぽい。


「ぬ、脱ぎます」

「なんでだよ」

「だって、なんか嫌です」

「お前、全裸になると狸みたいだし、こっちのほうが色気出るって」


 たぬき?!狸って言った?


 犬、猫、小動物から、とうとう狸?それも、オールヌード姿が、色気もない狸?!


 ガーーーーーン。岩、久々おっこちてきた。ものすごいショック。


「ひどいです。狸って」

「可愛いってことだぞ。可愛いけど色気がない」

 ガ――――ン。それって女としてどうなの?さらにショック!


「な?だから、つけたままでいいぞ」

「脱ぎます!」

 意地でも脱ぐ!

 私は、紐をほどいて、自分からするすると裾よけの前を広げた。


「……。そ、それはそれで、かなり…やばいぞ」

「え?」

「う!鼻血出ていないよな?」

「出ていません」


「危なかった。俺が高校生だったら、絶対鼻血出してた」

 え?何それ…。

「弥生!」

 ガバ―――ッ!


 うわあ!上に思い切り覆いかぶさってきた。

「お前、色っぽすぎだ」

 え?え?だって、さっき、脱いだら狸だって…。


 ちょ。ちょっと待って。キス、なんかいつもより強引。それに、息が荒い。

 うわ~~~!!!ちょっと待って~~~!!!胸を触ってくる手も、いつもと違うよ~~!!!


 嘘、嘘、嘘、嘘。なんか、一臣様が、思い切り男になってる!どうしよう。


 ガバっと一臣様は私の上から起き上がった。

 良かった。落ち着いてくれたんだ。と思っていたのもつかの間、一臣様はシャツをぽいっと脱ぎ捨て、ガチャガチャと勢いよくベルトを外してタキシードのズボンを脱ぐと、パンツもぽいっと脱ぎ捨て、またガバッと私に覆いかぶさってきた。


 うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~。なんかのスイッチ、入れちゃったのかも?!

 どうしよう~~~~~~~~~~~~~!!!!


 激しいのはまだって言っていたよね?そのうちって。

 なのに、まさか、もう?!


 でも、抵抗がまったくできなくなってる。

 怖いのに、何も言えない。されるがまま。

 どうしよう。ってそればっかり、頭の中で繰り返す。


 ひえ~~~。こんな一臣様は、初めてだ~~~~~。

 優しくない。息が荒い。力、強い。体重全部かけてくるから、すごく重い。


「弥生」

 私の名前を呼んで、キスをしてきた。

「ん~~~~」

 キスまで、なんだか力強い…。何度も、キスをしてきて、私の顔をじっと熱い視線で見てきた。


 ドキン。

「弥生…。悪い」

 落ち着いたの?我に返ったの?おでこにチュッて優しくキスしてきたし。

 良かった。優しい一臣様に戻ったんだよね。


「今夜は…、俺、優しくするのは無理だ」

 へ?

「激しいのも、いいよな?弥生」

 え~~~~~~~~~~~~~~~~~~?!!!

 ダメダメダメダメ。駄目!!!


 駄目!!!!!

 って、何度も言ったのに、聞いてくれない。


 うわ~~~~~~~~~~~~~~~~………!無理だってば~~~~~~~~~!



 って。あ。あれ?


 た、確かに。昨日や今朝とは違うけど、乱暴しているわけじゃない。キスも全身してくるけど、昨日よりちょっと息が荒いっていうだけだし、ギュウって抱きしめてくる力が増しているだけ。


 ホ…。もっと、乱暴にされたり、無理やり感があるのかと思ってびびっちゃった。

 胸に顔をうずめてくる一臣様は、ギュウって私を抱きしめてくるから、思わず私も、ギュウって抱きしめ返してしまった。


 うひゃあ!なんか、思い切り抱きしめあっているのって、ドキドキしちゃう!

 それに顎にかかる一臣様の髪が、ちょっとくすぐったい。


 またキスをしてきた。舌が熱く絡み合ってきた。

 うわ~~~~~~~~~。溶けた。もうトロトロに溶けた。


 これ、まさか、2日目にして、中級編までいってる?上級編までいっちゃった?

 初級編じゃないよね?


 それはやっぱり、女の人と付き合い慣れているから、こんなに早い展開なの?それとも、これが普通?


 ギュウ。また思い切り抱きしめられた。

「弥生…」

 耳元で名前を呼んで、耳にキスをしてきた。それに耳たぶを甘噛みされた。

 ひゃあ!


 駄目だ~~~~~~~~~~~。もしや、こういうのを、「落とされた」っていうのかな。

 

 うっとりと一臣様の目を見た。一臣様の瞳に私が映っている。瞳に映った私は、トロンと目をハートにしている。

 やっぱり。落とされちゃった。


 ギュウ。私も抱きついた。

「一臣様」

 耳元でそう囁いた。そして、

「大好き」

と、聞えるか聞こえないかの声で囁くと、

「俺もだ。愛してるぞ」

と、そう一臣様は言ってくれた。


 ひゃ~~~~~~~~~。愛してるって、言ってくれた~~~~~~~~~。

 嬉しい~~~~~~~~~~。

 また、溶けていっちゃうよ。


 ギュウ、と抱きしめると、ギュウっと抱き締め返してくれる。それを何度も繰り返し、何度も情熱的なキスを繰り返した。


 

 一臣様は私の上から起き上がると、私の体の下にそのまま下敷きのようになっている肌襦袢や長襦袢、そして裾よけを優しく私の下から、するっと引き抜いた。

「これは、しわくちゃになってもいいのか?」

「はい。洗えますから」


「そうか」

 そう言うと、それをくるっとひとまとめにして、ぽいっと床に落とした。そして私の隣に寝っころがると、腕枕をしてくれた。


 腕枕!ちょっと夢見ていたんだ。叶っちゃった。

 ドキドキ。ドキドキ。胸が高鳴っている。一臣様の体に腕を回してみた。あ。さっきよりさらに、接近できた。


 なんでだか、わからない。いつもなら、こんなに大胆に一臣様に抱きつけない。でも、抱かれたあとって、なんで大胆になれちゃうのかな。


「弥生。理性ふっとんで、悪かったな」

「いいえ」

「怖かったか?」

「……い、いいえ」


「本当に?」

「はい。全然怖くなかったです」

「なんだ。そうか。激しくても大丈夫なんだな?じゃ、今度はもっと」

「い、今くらいので、これ以上はちょっと無理です」


「なんだ…」

 あ。なんか、思い切り残念がった?これ以上激しいって、どうなっちゃうの?

 …。って今、妄想しようとしちゃった。危ない!


「お前、色っぽかったな」

「狸じゃないんですか?色気も何もないんじゃないんですか?」

「そんなことなかったぞ。お前の体の下にある、裾よけとか、薄いピンクでそそられたし」

 そういう演出あっての色気なわけね。私自身じゃないわけね。


「それに、裸なのに足袋だけ履いているっていうのも、そそられたし」

「え?!」

 わ~~~~~~~~~。本当だ。なんか足が変だと思ったら。足袋履いてた。

「きゃあ」


「何だよ、今さら恥ずかしがるなよ。履いていること気が付いていなかったのか?」

「はい」

 私は起き上がり、ベッドに座ったまま足袋を脱ごうとした。でも、じいっと横で一臣様が見ていて、素っ裸だったことを思いだし、

「み、見ないでください」

と、背中を向けた。


「なんで今さら、恥ずかしがるんだ?こっち向けよ。脱がしてやるから」

 ええ?

 くるっと私の体を一臣様のほうに向けると、私の足を持って、足袋の留め金を外しだした。

 うわ。これ、変な図になっているよね。だって、私全裸…。


 どうしよう。胸とか隠す?あ。掛け布団で体を隠したらいいんだ。でも、掛け布団まで、一臣様、床にほっぽり投げていて、ベッドの上には何もない。枕くらいしかない。


「はい。反対の足」

 片方の足の足袋を脱がされ、もう片方の足も一臣様のほうに向けた。


 もじ…。どこをどう隠していいのかもわからず、枕を引き寄せ、枕に抱きついて目を閉じた。目を開けていると、素っ裸の一臣様が視界に入ってしまう。


「木に抱きついているコアラみたいだぞ」

 え…。

 狸の次は、コアラ……?


 する…と、もう片方の足袋も脱がされた。そして一臣様は、私のつま先から、つつーと指で太ももまでなぞってきた。

「ひゃ!」

 私は肩をすぼめた。


「弥生って、感じやすいな」

 え?!

「そ、そ、そうなんですか?」

「ああ」


 うわ。やめて。太ももを撫でるの…。それから、一臣様は私にキスをして、

「汗、かいたから、風呂一緒に入ろうな?」

と言って来た。


 はあ?!

「一人で入ります」

「駄目だ」

「だ、駄目じゃないです」


「一緒に入るんだよ。当たり前だろ?」

 なんで当たり前?!

「あ。今までも、こういうことをしたあとは、女の人と一緒にお風呂…」

「入ったことないぞ。一回もな」


「え?」

「だって、面倒くさいだろ?一人で入ったほうがゆっくりとできるし」

「……じゃ、じゃあ、お一人でお先にどうぞ」

「だからっ!いつも言ってるだろ?お前は違うんだよっ!!!」


「い、いえ。遠慮しないでお一人でどうぞ」

「お前だろ?遠慮しているのは。本当は一緒に入りたいくせに」

「いえいえいえいえいえ」

「俺が服脱ぐときも、うっとりと見つめているくせに」


 それとどういう関係が?!

「俺の背中とか、胸、洗えるんだぞ?さあ、どうする」

 私を変態扱いしてる?もしや。


 けど。

 背中、流せるの?一臣様の?

 それも、ちょっと夢見てた。結婚したら、旦那さんの背中を洗ってあげて、

「お仕事お疲れ様でした」

とか言って、一臣様の広い背中にお湯をかけたりして。


 でも、その妄想では、私は服をちゃんと着ているの。できたら、着物。タスキをして、お背中流すんだ。

 っていう、大正ロマンチックな、妄想をしていたけど、その妄想では私まで裸っていうことはないし、一臣様の胸まで洗ったりはしないし、一緒にバスタブにだって入らない。


「入るぞ」

 グイッと、腰を掴んで私は立たされた。抱きついてた枕は、一臣様に抜き取られ、ポイッとベッドに投げ捨てられた。そして裸のまま、バスルームに連れて行かれた。

 待って、待って。と言ったって聞いてくれない。


 わあ。一緒にお風呂?一緒にジャグジー?ダメダメ。腰砕けになる。絶対に私、のぼせる。無理無理!


 でも…。一緒に入って一臣様の背中や、胸を洗ってあげたりして…。一臣様の肌に直に触れちゃったりして…。そ、それはちょっと、嬉しいかも。って、私はやっぱり変態か?!


 あれ?でも、私が洗うだけ?まさか、私の体は一臣様が…?

「わ、私は…」

「なんだ?」


「私の体は…」

 まさか…ね。

「洗ってやるぞ?」

 ひょえ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!


 一臣様が私を?

 駄目だ。絶対に私、ぶっ倒れちゃう。

 でも。体を洗ってもらうのって、やっぱり、優しく洗ってくれるのかな。


 うわ。だから、やめようよ、妄想は。一臣様が優しく体を洗ってくれるところを妄想しそうになった。タオルに石鹸つけて、背中をゴシゴシと…。腕や、首も。

「前は自分で洗います」

とか言って恥ずかしがって…。それで…。


 グイッ!

 バタン。


 あれ?


 うわ~~~~。妄想の世界に浸っていたら、ドア閉められてた。そしてシャワーを出して私の体にあったかいお湯をかけ、それを壁にあるホルダーにひっかけると、一臣様は石鹸を手にした。


 ひゃあ。私から洗うの?あれ?でも、タオルどこにもないけど。


 え?

 手で?!


 ぎゃ~~~~~~~~~~~~~。私の妄想をはるかに超えてた~~~~~~~~~!

 手に石鹸つけて、いきなり胸を洗って来た!


「ややや、やめてください」

「動くな。洗えないから」

 きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

 きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

 きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!


 心の中で騒いでいるうちに、一臣様は私の全身を洗い終えていた。

 ヘナヘナ。やっぱり。腰砕けた…。


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