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ビバ!政略結婚  作者: よだ ちかこ
第4章 ロマンもムードもない
52/195

~その12~ 信じているから

「た、ただいまご紹介に預かりました、上条と申します。よろしくお願いします」

 緊張しながらも私は、大勢の人の前で挨拶をした。


「この前、重役会議を開いた。今、緒方財閥の企業がかなり低迷してしまっている。そこで、新たな企画を募ったり、どうやって技術者を育てるかの案を出してもらった。そこでの提案よりも、この上条の提案のほうがよっぽどいい結果を、すぐに得られそうだったので、独断だったがこの企画を進めることにした」

 一臣様が私の隣で話し出した。


「まだ、案が出されたばかりで、それについての資料はここにはない。ただ、さっきも言った通り、緒方財閥には多くの子会社や工場があり、そこに才能を持ったものが埋もれている可能性もあると、上条の発言で、俺もその考えに興味を持った」

 みんなは、黙って真剣に聞いている。


「上条は昨年、緒方鉄工所に勤めていた。そこの工場長や、従業員に優れた技術者がいることや、緒方機械の営業部に、優れた設計図をかけるものがいることや、緒方製鉄の鶴見工場の研修が一風変わっていることなどを教えてくれた。今まで、はっきり言って、技術者は他の企業から、優秀なものをヘッドハンティングしたりすることばかりに目を向けていて、緒方財閥の子会社や工場にはまったく目を向けていなかった」


 ドキドキ。なんか、私が言ったことって、ものすごく大きなプロジェクトとして、これから動き出しちゃうの?なんか、責任重大って言う気がしてきた。


「灯台下暗しだな…。だが、今まで重役会議でも、そんな提案者はいなかったからな。工場にいた人間だから、観察できたことだな…」

 一臣様はそう言うと、ちらりと私を見てから、

「ああ、上条は今、秘書課にいるが、いずれは俺の仕事の補佐をしてもらう予定だ。この企画についても、いろいろと補佐的なことをしてもらう」

と付け加えた。


「秘書課?」

「秘書課の人間でも、こんな企画を一臣氏に提案するんだなあ」

 そんな声が聞こえてきたが、一臣様はまったく無視して話を進めた。


「今日集まってもらったのは、例えば、緒方製鉄の鶴見工場のように、独自の研修をしているだとか、こんな新しい企画を考えているだとか、または、自分の会社や工場に、優れた技術者がいるだとか、そういうことを聞かせてもらおうと思って、この会を開いた」

 し~~~ん。あれ?なんか静まり返っちゃった。


 それから、ぼそぼそと隣の人と小声で話をしだし、誰もみんなの前では発言しようとしない。

「あ、あの!私、緒方製鉄の鶴見工場で研修を受けさせてもらって、とっても面白かったんです。鶴見工場で働く方々は、みなさん優秀なんです。それって、その研修の成果が出ているんだと思います。そこで、鶴見工場の工場長から、どのような研修をしているか、皆さんに教えていただけないでしょうか」


 突然、私はそんなことを言いだしてしまった。

 あ、しまった。なんか、思い切り出過ぎたまねをしてしまったかもしれない。

 そっと一臣様のほうを見た。すると、一臣様は静かに椅子に座ってしまった。


 えっと。私は、みんなの前に立ったままでいたほうがいいの?

「上条、あとのことは頼んだぞ」

 席に座ってから、一臣様は私にそう言った。


 うそ。あとのことって?あとのことって何?


「うわ、は、はい。え、えっと」

 いきなり頭真っ白!

「鶴見工場長、前に出て説明をお願いします」

 一臣様が助け船を出してくれた。


「はい」

 緒方製鉄の鶴見工場長は静かに椅子から立ち上がり、私の横まで来て、

「突然のことで、特に何も用意はしていなかったのですが…」

と言いながらも、丁寧に研修の様子を話してくれた。ところどころ、ホワイトボードに図なども書きながら。


「へ~~」

「面白いな」

「変わった研修の仕方だな」

 そんな言葉が、みんなから聞こえてきた。


「工場長、ありがとうございます」

 工場長の説明の後、私がそう言うと、工場長はぺこりとお辞儀をして席に戻った。

「他に、独特な研修をしている工場はありますか?」


 そう聞くと、

「独特と言うか、研修ではないんですが、うちの工場ではこういうことをしていまして」

と手を挙げてくれた人がいた。その人にも前に来て説明をしてもらった。


 すると、次々に、こんな技術を持った者がいるとか、こんなものを作ってはどうかというような意見や、うちの工場はこのような設備があるので、こういうものを作るのに最適だなど、さまざまな意見が飛び出してきた。


「実際、行って確かめてみないとならないな。機械金属部の部長にそこで提案なんだが、機械金属部で、プロジェクトを組んでくれないか。俺や上条もそのプロジェクトには参加する。工場に確かめに行き、技術者を募り、新たに製品開発にも取り組みたいし、技術者の育成もしていきたい」

「はい、では早急に…」


 時間はあっという間に、5時を過ぎていて、会議は終わった。

「弥生ちゃん」

 私のもとに、大門さんや、千川さんがやってきた。

「すごいよ、弥生ちゃん。えらく一臣氏に気に入られたようだし、本当に大出世だね」


「い、いえ。そういうわけでは…。あれは、一臣様がすごいんです」

「いやいや。そんなことはないさ。この分なら、潰れかかっている工場も復活するかもしれないし、リストラされかかっていた工場の人間も、働いて行けるようになるかもしれないぞ」


「それ!それが一番、私が望んでいることなんです。だって、工場も、そこで働く人たちも素晴らしいのに、まったく注目されず、日の目を見ないなんて、寂しすぎます。そのうえ、リストラとか、工場閉鎖とか、絶対に絶対に、あってはならないことです!」

「はははは」


 うわ!一臣様に聞かれてた。それも笑われた。

「緒方鉄工所の工場長の…、お名前は?」

 一臣様がそう聞くと、大門さんは恐縮した感じで、

「大門といいます」

とそう答えた。


「大門工場長。上条は鉄工所ではどうでしたか?こんな調子でしたか?」

「はい。いつも元気で明るくてパワフルで、みんなを活気づけていました。それに、考え方がちょっとみんなと違う。そうそう、赤字になってしまってから、自分の給料を半分にしてくれなんて申し出て来たり…。そりゃもう、変わっていましたよ」


 大門さんに、変わっていると言われてしまった。

「ははは。やっぱり…。お前、どこにいてもパワフルなんだな」

「…はい。でも、鉄工所の人みんないい人で、明るくて…。私がいつも励まされていたんです」


 そう言うと、大門さんに、

「明るく居られたのは弥生ちゃんのおかげだよ。弥生ちゃんが緒方商事に行ってからは、工場の中が一気に暗くなっちゃったんだよ」

と、そう言われてしまった。


 嬉しかった。でも、私がいなくても、みんな明るく元気でいて欲しい。

「事務の方は、辞めたりしていないですよね?」

「ああ。まだ続いてる」

「良かった…」


「弥生ちゃんは誰かがリストラになるんだったら、一番に自分を辞めさせてくれと、そんなことまで言っていたね。本当に、弥生ちゃんはいつも、自分より人のことを考えている子だったよ。優しい子だよ」

「そ、そんなことないです。私がだって一番ぺーぺーで、仕事もできていなかったから」

 そう言うと、また一臣様に笑われた。


「本当に変わっているよな、お前」

「一臣氏も、弥生ちゃんを気にいられたんですか?いや~~、弥生ちゃんの良さをわかるだなんて、さすが、緒方財閥の御曹司だけある。次期社長だもんなあ。あ!弥生ちゃん、ここは頑張って、次期社長のお嫁さんになるのはどうだい?弥生ちゃんが社長夫人になったら、緒方財閥も安泰だ」


「え!?」

 何を根拠に安泰って…。あ、それより、一臣様の反応が気になる。


 一臣様を見ると、一臣様は片眉をあげ、それから、

「へえ。そう思うんですか?大門工場長は」

と、口元をゆるめてそう聞いた。


「そりゃ、弥生ちゃんは誰にでも好かれちゃうし、明るいし、元気だし。一臣氏だってもっと弥生ちゃんを知れば、絶対にもっと気にいるはずだよ。それに、こんなに綺麗になっちゃたし。ああ、やっぱり、弥生ちゃん、うちの息子の嫁に…」

「ゴホン!」

 大門さんの言葉を、一臣様は咳払いでさえぎり、

「弥生、そろそろ戻るぞ」

とそう言って、大門さんにぺこりとお辞儀をして会議室を出て行ってしまった。


 あちゃ。

「何か、気に障ることでも言ったのかな?」

「いえ。お忙しい方なので、きっと次のご用事があるんだと思います。それでは大門さん。皆さんによろしくお伝えくださいね。そのうち、工場に行くかもしれません」


「ああ、楽しみに待っているよ。じゃあ、また!」

 大門さんに明るく見送られ、私は急いで一臣様のあとを追った。


 エレベーターの前で、一臣様は樋口さんと私を待っていた。一臣様の横に行くと、

「大門ってやつの息子はいくつだ」

と唐突に聞いてきた。


「えっと。確か…、私より、5つ上だったと思います」

「29歳か。まだ独身なのか」

「……工場長は知らないかもしれないんですけど、彼女はいるんです。ただ…」

「だた?」


「私よりも若い…。だから、結婚はまだ考えていないかも」

「なんだ。彼女がいるのか、そうか」

 あれ?なんか、ほっとしてる?一臣様。

「うちの息子の嫁って言うのは、冗談ですよ?工場長の息子さん、私のこと女性として意識したことなかったようですし」


「え?」

「一風変わった子…と思われていたようで。どうしてだかは、わからないんですけど」

「ああ。お前、あのみょうちくりんな化粧とかしていたのか?」

「みょうちくりんって…」


「緒方商事に入社してすぐの時、お前の化粧、濃かったろ?それも、服も変だった」

「………。はい。化粧、あんなでした」

「はっはっは。じゃあ、まったく眼中になんかなかったんだろうな!良かったな、相手にされなくて」

「なんでですか?」


「なんだよ。相手にされたかったのかよ。お前にはフィアンセがいただろ?」

「あ、そうか。ですよね…」

 う。でも、なんだか棘がある言葉だったような気が。


 エレベーターに乗り込んでからそんな話をしていた。横で聞いていた樋口さんは、声を押し殺して笑っていたようだった。

「いいですよ。笑いたかったら笑っても、樋口さん」

「いえ。微笑ましいなと思っていただけですよ、弥生様」

 樋口さんはそう言うと、にっこりと微笑んだ。


「それより弥生、これからが大変だからな」

「はい」

「いろいろと忙しくなるぞ。いろんな工場を見て回るんだからな」

「一臣様とですか?」


「ああ、そうだ。泊まりで行くところもあるだろうな」

「と、泊まりで?!」

 ドキン!一臣様とお泊まり……。


「今、なんか変なことを想像したか?でも、残念だが、仕事で行くだけだからな。期待はするなよな」

 うわ。見抜かれてる!っていうか、横に樋口さんがいるのに、そんなこと言わないで。顏が火照りまくるよ!

「ははは!」

 笑ってるし。あ、樋口さんも、くすくすと笑っているし…。

 

 14階に着いた。一臣様は、

「もうすぐ、終業の時間だ。秘書課に行って、細川女史に最後に仕事がないか確認して来い。なかったら、5時半過ぎたら帰っていいからな」

「え?」


 うそ。今日は一人で帰るのか。

「ああ、そう言えば、祐さんのところに電話は入れたのか?」

 一臣様はエレベーターのドアを開けっぱなしにして聞いてきた。


「まだです」

「そうか。じゃあ、今日にでも電話を入れたらどうだ?エステの予約、祐さんがしてくれると思うぞ」

「はい、そうしてみます」

「じゃあな」


 一臣様はそう言うと、エレベーターのドアを閉めた。私はとぼとぼと、秘書課の部屋に戻った。

 毎日、毎日、一緒に夕飯を食べられるわけじゃないんだな。そりゃそうか。でも、なんかやけに寂しい。


 まだ、一緒にいたかったな。

 そんな寂しい気持ちのまま、秘書課の部屋のドアを開けた。


「細川さん、会議、終わりました」

 細川女史の前まで行ってそう言うと、

「ご苦労様でした」

と、ねぎらいの言葉をもらった。


「何か仕事はありますでしょうか?」

「いいえ。特にないわ。もう5時半になるし、月曜日の一臣様のスケジュールチェックして、あがっていいわよ」

「え?今なんて?」

「もう、あがっていいわよ?」


「いえ。その前…。一臣様のスケジュールチェック?」

「ええ。一臣様、自分に上条さんはつけるって言ってたでしょ?」

「あ…」

 そうなんだ。じゃあ、これからは、私が一臣様のスケジュール管理をすることができるってこと?


 それ、すっごく嬉しいかも!

 と、浮かれながら、席に着こうとすると、思いっきり怖い視線を感じた。


 うっわ~~~。三田さんだ。そういえば、樋口さん、監視室に行ってカメラ見てきたんだよね。どうだったんだろう。すっかり、三田さんのことも、携帯のことも忘れちゃっていたけど。


 一臣様のスケジュールの入ったファイルを、細川女史が私のパソコンに送ってくれた。それを見て、月曜日のスケジュールを確認した。

 月曜日は朝から、会議なんだ。それが終わると、アポイントが入っていて、午後、2時までは何も予定がなく、そのあと、取引先に行く予定が入っている。


 月曜日、会社に着いたらすぐに15階に行っていいんだよね。あ、そうだ。このスケジュール、私のスケジュール帳にも書いておこうかな。

 あ!一臣様の部屋にスケジュール帳を忘れた。あとで取りに行かないと。


「すみませんが、5時半になりましたので、わたくしはもう仕事をあがります」

 突然葛西さんはそう言って、立ち上がり、

「皆さん、今までありがとうございました」

と言って、私たちに向かってお辞儀をした。


 あ、そうか。今日までなんだ。

「葛西さん、今までご苦労様。大阪に行っても頑張ってくださいね」

 細川女史がそう言うと、葛西さんは細川女史にも丁寧にお辞儀をした。


 送別会とか、ないんだろうな。なんか、そういう会をするほど、秘書課の人たちって仲よさそうじゃないし。

 と、その時、湯島さんと豊洲さんが外出先から戻ってきた。


「湯島さん、豊洲さん、今までありがとうございました」

 秘書課のドアの前で、葛西さんが2人にそう言うと、

「あ、こちらこそ、お世話になしました」

と二人とも、葛西さんにお辞儀をした。


 葛西さんが部屋を出て行ってから、大塚さんも席を立ち、

「私も今日までです。ありがとうございました。私は一階に行くだけなので、また会うこともあると思います。気軽に声をかけてください」

と、明るく笑顔でそう言った。


 そして、湯島さんと豊洲さんのところに行き、思い切り可愛い笑顔で、

「ぜひ、食事とか誘ってくださいね。でないと、寂しいですから!」

とそう大塚さんは首をかしげて言った。


 それを、三田さんがさげすむような目で見て、三田さん派の人たちも冷たい目て見つめていた。


 大塚さん派の秘書の人たちは、

「大塚さん、お疲れ様でした。庶務課に行っても頑張ってください」

と励ましの言葉をかけていた。


 あまりにも対照的だ。こんなにも明らかに、派閥があったなんて、なんで今まで気づかなかったんだろう、私。やっぱり、一臣様にお熱あげていたからかなあ。


「どうだった?なんかわかった?」

 いきなり、大塚さんは私の耳元でそう囁いた。

「え?」

「携帯のこと。報告はしたの?」


「樋口さんに」

 私はほとんど声にならないくらい、声を潜めてそう言った。

「そう。じゃ、大丈夫そうね。いつでも一階に来てよ。もと庶務課なんだし、あなたも懐かしいでしょ?」

「はい。臼井課長にも会いたいし、行きます」


 そう答えると、大塚さんはにこりと笑い、それから江古田さんにも挨拶をして部屋を出て行った。

「なんか、仲良くなってない?」

 豊洲さんが驚きながらそう聞いてきた。


「仲良くって言うか…。なんていうか…」

「面白いねえ、弥生ちゃんは。あんなにいびられていたのに、いつの間に」

「…ですよね。私も不思議です」

 そう言いながら、私は帰り支度を始めた。


「あれ?仕事もうおしまい?」

「はい」

「そう言えば、一臣氏が言ってた、あれ。もう動いてんの?」

「なんですか?」


「俺に補佐を頼んでいた、あれ」

「……はい」

「弥生ちゃんは、それに関わってんの?」

「はい」


「へ~。弥生ちゃん、ずいぶんと一臣氏に気に入られたんだね」

「……」

 なんか、言い方が嫌味っぽいなあ。


「私、もう帰ります」

「あれ?まさか、一臣氏と一緒に帰るの?」

「いいえ。でも、スケジュール帳15階に忘れてきたから、取りに行きますけど。では、お先に失礼します」

 そう言って秘書課の部屋を出ると、後ろから豊洲さんがついてきて私の腕を掴み、

「今、行かないほうがいいって」

と、ちょっとにやつきながら言ってきた。


「なんでですか?」

「葛西さん、絶対に15階に行ってるよ。今日で最後なんだろ?月曜には大阪に行くんだろ?」

「……はい。でも、カードキーがないと行けないし」

「葛西さんはまだ、持ってるよ。カードキー。いつだって、一臣の部屋には行けるんだよ」


 え?

「最後に2人で、ゆっくり過ごすに決まってるじゃん。邪魔しちゃ悪いと思うよ?」

「そ、そんなことあるわけないです」

「あれ?じゃあ、15階に行って確かめてきたら?今頃、一臣の部屋できっと、抱き合ってるさ」


 抱き合ってる?2人が!?な、何を言ってるの?この人。

「そ、そんなことあるわけないじゃないですか」

「へえ。一臣のこと信じてるんだ。いじらしいね」

 ムカ!やっぱり、この人嫌だ。


「手、離してください。確かめに行くわけじゃなくって、スケジュール帳を取りに行くんです!」

「はいはい。いってらっしゃい。それで、一臣の本性を見て来たら?」

「え?」

「あの二人、付き合ってるって。今でもね。これからも、大阪行っても、続くんじゃないの?」


「………」

 なんか、何も言い返せないのが悔しい。


 私は頭に来て、豊洲さんの腕を思い切り払いのけ、エレベーターホールに向かった。

 ああ、なんか、釈然としない。今も付き合っているわけがない。だって、一臣様は、外に愛人も作らないし、スキャンダルになるようなことはしないって、はっきりと言ってくれたもん。


 私は一臣様の言うことを信じてる。


 そう心でかたく思いながら、エレベーターに乗り、15階に向かった。



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