~その13~ またレベルアップ?
一臣さんとお風呂に入った。手に石鹸をつけ、一臣さんは私の体を優しく洗ってくれる。指の一本、一本も、優しく丁寧にだ。
そして、シャワーで石鹸を洗い流すと、一臣さんは私の肩にキスをした。それから腕にも、手の甲、掌にもキスをして、指まで一本ずつ舌でなぞってきた。
ひゃ~~~~~~~~~~~~~~~~。くすぐったいのを通り越し、気が遠くなりそうなくらい気持ちがよくなった。
それから私の背中や、お尻、足まで優しく洗い、またシャワーで流すと、今度は髪をかきあげ、うなじにキスをして、徐々に背中に舌をすべらせ、そのまま、お尻にまでキスをした。
「か、一臣さん、ダメです」
「疼いたか?」
「は、はひ」
私は立ったままだった。でも、足はガクガクだ。一臣さんは私の後ろに膝をついて座り、私のお尻や腰にキスをしていた。そして、ももの裏側や、膝の裏までキスをする。
ダメだ。ヘナヘナと座り込みそう。もう立ってられない。と思っていると、一臣さんは私の腰に手を当て、私をくるっと前に向かせた。
「あ、足、ガクガクしてて、立ってられません」
正直に言うと、
「俺の肩につかまってろ」
と言われてしまった。
私は両手を一臣さんの肩の上に置いた。一臣さんが、私の太ももや、膝にキスをしている。
ひゃ~~~~~~~~~~~~。もうダメだってば。あ。舌でなぞらないで。
「限界か?足、ブルブル震えているな」
「はひ。もう腰抜けちゃってます」
そう言うと、一臣さんは手を伸ばし、椅子を私の横に置き、
「座れよ」
と言ってくれた。
ヘナヘナと椅子にしゃがみこんだ。ああ。髪を洗ってくれるのか。と、頭を下に向けようとすると、なぜか、私の左足を一臣さんは両手で持った。
「あの?」
「足の指も足の裏も洗えていないからな」
え?
「ひゃ、くすぐったいです」
石鹸を手に付け、私の足の指や足の裏を一臣さんは洗い出した。
「くすぐったいですってば。自分で洗えます」
「じっとしていろ」
「無理です~~~」
と、足をくねらせている間に、一臣さんは両足を洗い、シャワーで石鹸を流した。
うわ~~。くすぐったくって、どうしようかと思った。もう!いつもここまで、念入りじゃないのに。と、ほっと一息ついていると、また一臣さんは私の前にしゃがみこみ、私の足を両手で持った。
「え?もう終わったんですよね?」
「まだだ」
「え?」
どこ洗うの?指も一本一本洗っていたよね?
と、戸惑っていると、一臣さんは顔を私の足に近づけ、なんと足の甲にキスをした。
「え?」
ドキン!
ひゃあ。ひゃあ。ひゃ~~~~~~~~~~~~。
「だ、ダメ」
足の指まで舐めてきた~~~~~。
きゃ~~~~~~~~~~~~~~!なんで?!
う、うわ~~~~~~~~~~~。
両足、5本全部舐められたあと、私はまた腰が抜けていた。
ヘナヘナ。椅子から転げ落ちそうだ。
「髪、洗ってやるぞ」
うそ~~~。椅子に座っているのもやっとなのに。
髪を一臣さんは、優しく洗ってくれた。それから、いつもなら、自分で拭けと言うのに、なぜか、タオルで髪を優しく拭いてくれた。そして時々、私のうなじにキスをする。
うわ。ちょっとうなじにキスされただけでも、感じちゃうよ。
どうしたんだ。何が起きているんだ。今日の一臣さん、いつもよりエッチ。…いや、優しい?いや、丁寧?
「大丈夫か?意識どっかに吹っ飛んで行ってるのか?」
一臣さんに顔を覗き込まれて聞かれた。
「はひ」
頷くのもやっとだ。
「ほら、立てるか?先にジャグジーに入ってろ。あ、おぼれるなよ」
「はい」
一臣さんに腰を抱いてもらい、なんとかジャグジーバスに入った。そして、とろりんとした目で、私は一臣さんを見つめた。
体と髪を洗い終えた一臣さんは、ジャグジーバスに入ってくると私を後ろから抱きしめ、胸を触ってきた。
それに、うなじにキスをして、それから耳に甘噛みをして、片手は私の太ももを優しく指でなぞってきた。
「はう…」
いけない。甘い吐息がもれてしまった。
「感じているのか?」
「う…。はい」
うわ!今度は肩を舌でなぞっているし。ダメだよ。それ以上は。スイッチ、入っちゃうよ。
「ダメです」
「ダメって言葉、そそられる」
そうだった。逆効果だ。
「もう一回、大丈夫だろ?弥生」
「え…。いいえ。明日、動けなくなっちゃいます」
「明日は日曜だ。特に何も用事もないし、1日寝ててもいいぞ」
そんな~~~~。
一臣さんは、バスタブの中で、私の体を一臣さんのほうにくるりと向けた。そして、熱いキスをしてきた。
それは、反則。私の思考回路が止まる。ほら…。溶けた。もう抵抗できない。
「スイッチ、入ったな?」
とろんと一臣さんを見ると、一臣さんが耳元でそう囁いた。
「はひ…」
そして、また熱いキスをされ、甘い世界に突入してしまった。
ギュウ。抱きしめられ、私も抱きしめた。
「弥生」
と呼ばれ、
「一臣さん」
と答えると、
「呼び捨てでいい」
と言われてしまった。
「一臣…」
思考回路が停止中の私は、言われるがまま、呼び捨てにした。
「ん?なんだ?弥生」
一臣さんが耳元で優しく聞き返した。
「一臣…」
もう一回そう私は言うと、
「大好き」
とそう言って、また一臣さんをギュッと抱きしめた。
ジャブ…。抱きしめた瞬間、水面が大きく揺れた。一臣さんも私を強く抱きしめ、またジャブンと大きく揺れた。
でも、そのあと、熱いキスをしていると水面は落ち着きを取り戻し、ジャグジーの泡だけが、ブクブクと音を立てた。
「弥生…!」
また、一臣さんが、私を思い切り抱きしめた。水面は、大きな波ができたように、ジャブンと動いた。
一臣さんの動きや、私の動きに合わせ、バスタブの中のお湯は波ができていた。
「はあ…」
何も考えられない。無我夢中で私は一臣さんに抱き着いている。
「弥生…。一回、離せ」
「………え?」
なんで?
「二人でのぼせる…。バスタブから出るぞ」
ザバンと私の腰を抱いたまま、一臣さんは立ち上がると、ヘナヘナになっている私を抱きしめ、バスタブを一緒に出た。
そして私はまた、知らない間に一臣さんの首に両腕を回して抱き着いた。
「弥生…」
一臣さんもギュウっと私を抱きしめた。そして、また熱いキスをしてきた。
ヘナヘナ…。しゃがみこみそうになった私の背中に腕を回し、一臣さんは先に床に座った。そして私もしゃがみこもうとすると、
「待て」
と言われ、一臣さんは床に寝そべってしまった。
なんで?一瞬思考回路が動いた。でも、
「弥生、おいで」
と手を引かれ、一臣さんの上に私は覆いかぶさる形になってしまった。
うわ。なんだか、私が一臣さんを襲っちゃっているみたい。と、一瞬はじらった。だけど、一臣さんに熱くキスをされ、また思考はどこかに吹っ飛んで行った。
そして、一臣さんが私をギュッと抱きしめ、その力強さにますます胸がキュキュンと疼き、私から一臣さんにキスをしたり、一臣さんの頬や耳にまでキスをしてしまっていた。
それどころか、一臣さんの首筋や、肩や鎖骨までキスをしていた。
自分でも信じられない。だけど、その時はキスをしたかった。そのうえ、上半身を私は起こし、一臣さんの胸をうっとりと眺め、一臣さんの胸やお腹の筋肉を指でなぞっていた。
一臣さんも上半身を起こした。そして、私に熱いキスをして、私を抱きしめた。私もギュッと一臣さんを、「一臣」と呼び捨てにしながら抱きしめていた。
私、自分でも信じられないくらい、積極的になっている。
頭の中で、そう思っている自分がいた。
だけど、抵抗も恥ずかしさもなかった。それどころか、また私からキスをして、舌も絡めた。ううん。多分、私はそのまま一臣さんを押し倒し、一臣さんの首筋から胸にかけて、舌でなぞっていた。
「弥生、感じるだろ…」
一臣さんがそう言って、甘い吐息をはいた。
うそ。私が一臣さんを感じさせちゃってる?
一臣さんの指に指を絡めた。それから、私は一臣さんの手を私の口元に持ってくると、絡めた指を外し、一臣さんの指を舌でなぞった。さっき、一臣さんにされたみたいに。掌にもキスをした。一臣さんは、また甘い吐息をもらした。
わあ。一臣さん、感じちゃってる?
ドキドキドキドキ。
「一臣…」
「なんだ?」
一臣さんは、熱い目で私を見ている。
「か、感じてる?」
「ああ。気持ちいいぞ」
「ほんと?」
「ああ。お前は?」
「あ!」
一臣さんが胸を触ってきた。思わず、私からも甘い吐息がもれていた。
あれ?そういえば、私、呼び捨てにしたし、敬語じゃなくなってた。でも、一臣さんは気にする様子もなかった。
「一臣…」
もう一回呼んでみた。一臣さんは、「ん?」と優しく私を見た。
「キス、してもいい?」
「どこに?」
「……。全身」
「いいぞ」
一臣さんの胸にキスをして、そのままお腹まで舌でなぞった。それから脇腹、おへそ。一臣さんは、時々甘い吐息をはいた。
私が一臣さんを襲っちゃっているみたい。ドキドキドキドキ。
それから、また一臣さんの唇にキスをして、一臣さんの舌を吸い、唇もチュウッと吸った。一臣さんは、私の背中に両手を回し、さっきから、すごく優しく撫でている。その手に私は感じていた。だから、時々私からも甘い吐息がもれていた。
それから、一臣さんの耳たぶを甘噛みして、髪を優しく撫でた。
「ダメだ。限界だ」
「え?」
「弥生、気持ち良すぎだ。されるがままになっていたが、限界だぞ」
「え?え?」
「激しくするぞ。覚悟しろ」
「激しく?なな、なんで?」
「お前が上級者になっているからだ。手加減なんかできないからな。でも、今の弥生なら、受け入れられるだろ?」
「わ、私が?」
「ああ。弥生、もう一回、キスだ」
一臣さんにそう言われ、私は一臣さんにキスをした。一臣さんは私を抱きしめ、私は一臣さんの髪を撫でていた。いや、撫でまわしちゃったかもしれない。
一回、唇を離した。でも、また私は一臣さんにキスをして、舌と舌を絡めた。また、何も考えられなくなった。そして、一臣さんの口から舌を出すと、とたんに一臣さんが激しく動き出した。
ギュウ。私は一臣さんに抱き着いた。一臣さんも抱きしめてくる。時々、「弥生」と耳元で熱く私を呼びながら。私も「一臣」と呼んでいた。
ぐったりと、二人して力尽き、しばらく、バスルームの床に寝そべっていた。
「熱いな…。汗かいたな」
「……はひ」
「大丈夫か?弥生」
「もう、ダメです。立てそうもないです」
「あれ?さっきまで、敬語じゃなくなっていたのに、またもとに戻ったな」
「……あれは、その…。自分でもどうしてあんな言葉使いになったのか…」
「何度も呼び捨てにしていたしな?」
「ごめんなさい」
「いい。俺がそう呼ばせたんだし」
「……あ、あ、あの。いろいろとごめんなさい。私、なんか、とんでもないことをいっぱいした気が」
「どんな?」
「だ、だから。か、一臣さんを襲っちゃうみたいな…。勝手にいろいろと、き、キスしたりとか」
「気持ち良かったぞ?もう、弥生も一気に上級者だな」
「そうなんですか?」
ひゃ~~~~~~~~~。思い切り恥ずかしい。
「ああ。上級者の、レベル1だ」
「は?」
「まだまだレベル2、3とあるけどな」
「え?!」
「上級者の上は、そうだな。最上級者ってところかな」
「もっと上があるんですか?これ以上!?」
「ああ。俺もまだまだ、手加減しているし」
「今日はしないって言ってました」
「まあな。激しくしちゃったしな。でも、それでも、抑えたほうだ」
え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。うそ。
「大丈夫だ。お前、エッチしていると、どんどんエスカレートするみたいだし。いつもの弥生とは変わるみたいだな。だから、すぐにレベルアップできるぞ」
「い、いえいえいえ。もう、ここらへんで、卒業でいいです」
「まさか!俺がいいって言ったって、お前のほうが物足りなくなるんだぞ?」
「いいえ!そんなことないです」
「いや。俺が何も教えなくても、勝手にどんどんレベルアップしそうだな。今日だってそうだったろ?」
「え?」
「あ。俺が教えたのか。お前、俺が教えたこと、すぐに活用したしな」
「ええ?何をですか?」
びっくりして、私は声がひっくり返ってしまった。一臣さんは立ち上がると、私の両腕を持って、私のことも立たせた。そして、私の手を掴み、私の指をべろっと舐めた。
「ひゃ?」
「これだ。俺の指も舐めただろ?」
「私が?」
「まさか、覚えていないとか言うなよな」
「きゃあ。そ、そうだ。思い出しました」
「気持ち良かったぞ」
一臣さんは、私の耳元でそう囁き、それからにやっと笑うと、
「よくできました」
と、そんなことを言って、私の唇にチュッとキスをした。
「キスもうまくなったしな」
そう言って、シャワーからお湯を出すと、私の体と自分の体にシャワーをかけ、
「さ、体拭いてやる。でも、俺の体はお前が拭けよ」
と、私の腰を抱いて、バスルームを出た。
クラクラ。バスタオルで優しく拭いてくれている間も、感じちゃう。どうしよう。
「ほら、弥生の番だ。俺の体、拭きたいだろ?」
「え!?そ、そ、そんなこと…」
「いいぞ。全身拭いても。なんなら、またキスしてきてもいいんだぞ?」
「しません~~~。そんな恥ずかしいこと」
「なんだよ。さっきは、キスしていい?なんて、色っぽく聞いたくせに」
きゃ~~~~~~~~~~~。やめてくれ。自分でも、なんであんなに大胆だったか、わかんないんだから!
「まあ、エッチしている時だけ、大胆になる弥生ってのも、そそられるけどな?」
そう言われ、私は顔がぼわっと熱くなった。
ああ、これからの一臣さん…よりも、自分自身が怖いよ。私、どんなふうに変わっていっちゃうんだろう!?