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ビバ!政略結婚  作者: よだ ちかこ
第2章 婚約は波乱万丈!
17/195

~その3~ 酔っ払いの私

 美容院に着くと、一臣様は、

「悪い。祐さん、こいつにメイクしてあげてくれる?」

と、綺麗な顔立ちの30代くらいの男の人にそう言った。お店には他にお客さんもいなくて、他の美容師さんは片付けをしていた。


「あら?珍しい子を連れてるのね、タイプ替えした?一臣君」

 うわ。君付け?っていうか、男の人なのにこの喋り方、仕草って、もしや。

「タイプ替え?なんだ、それは」

「今まで大人っぽい女性か、派手な顔つきの子が好みだったでしょう?」


「……どこで見たんだ。いったい」

「何度かデートしているところを目撃してるのよ。都内でデートしていたら、バレルの当たり前でしょ?」

 そう言いながら、その人は私のことを椅子に座らせた。


「泣き顔?嫌だ、一臣君、泣かせたの?」

「俺じゃない…。いや、俺かもしれないけど、でも別に、いじめて泣かせたわけじゃない…」

 一臣様は、ちょっと曖昧な言い方をして、勝手に美容院の奥に入り込み、コーヒーを入れた。


「弥生も飲むか?」

「い、いえ」

「弥生ちゃんっていうの?へ~~~~。名前を呼び捨てなの?珍しい~~~」

「うるさいなあ。祐さん、さっさとメイクして。レストランの予約の時間に間に合わなくなるから」


「え?弥生ちゃんとレストランに行くの?じゃ、ヘアーもしてあげましょうか?」

 祐さんという人は、鏡に映った私を見ながらそう言った。

「いい。そんな正式ばったレストランに行くわけじゃないから」


「そうなの?ふ~~~~ん」

 そしてようやく、祐さんは黙り込んで、真剣な目をして私のメイクをし始めた。

「肌、すごくきめ細かいのね。でも、ちょっとかさついているし、指先もササクレがある…」

 うわ。見られた。


 私は慌ててグーにして指を隠した。

「エステでも紹介してあげましょうか?弥生ちゃん」

「いえ。そ、そんなエステだなんて贅沢は…」


「祐さん。紹介して。それ、この近く?」

 一臣様が、今までお店の奥の椅子に腰掛け、雑誌を読みながらコーヒーを飲んでいたのに、立ち上がってこっちにきながら聞いてきた。


「ええ。この近くよ。私も行ってるの…。一臣君、弥生ちゃんをエステに通わせたいの?」

「え?あ、ああ。肌がかさついているのも、ドレスとか着たら目立つよな?」

「そうねえ…」

「ドレス?ドレスって!?」


 私がびっくりすると、

「婚約披露パーティで着ることになるぞ。あ、その時のヘアメイクも、祐さん、任せるから」

と、一臣様は淡々と答えた。


「婚約!?え?じゃ、この弥生ちゃんって子が、上条グループのお嬢なわけ?!」

 祐さんが目を丸くしてそう叫んだ。

「そうだけど。なんでびっくりしてるんだよ、祐さん」


「だって、イメージしていた子とあまりにも違うから」

「…ああ、清楚で大人しいお嬢様だと思ってた?祐さんも?」

「逆よ、逆。上条グループって言ったら、中学卒業したら家から出て、高校は寮に入れられるんでしょ?でも、大学ではマンションあてがわれて、自由に遊んでいるって思っていたわよ」


「ま、マンション?」

 私のほうがびっくりだ。狭いアパートにしか住んだことがないのに。


「そうよ。豪華なマンションを親に買ってもらって、そこで自由自在に遊んで暮らしてるって。だから、一臣君のフィアンセも、男をマンションに連れ込んで、遊びまくっているお嬢なのかと思っていたけど、めちゃくちゃ純情そうな、男なんて全く知らないって感じの女の子じゃないよ!」

 祐さんは、ベラベラと一気にそう早口で話した。


「なんだ、その噂。どっから聞いたんだ?祐さん」

「一人暮らしをしているおぼっちゃま、お嬢ちゃまっていったら、そういうイメージあるじゃない」

「ああ、勝手な祐さんの妄想か」


 ガ~~~ン。なんなんだ、その妄想。

 びっくりして目を点にして、鏡に映った祐さんを見た。すると、

「こんな純情な子が、一臣君の相手をしないとならないの?かわいそうに」

と、同情されてしまった。


「だから、なんでそういうものの見方するんだよ、祐さんは…」

 一臣様はふうって溜息を吐くと、

「そろそろ行くぞ。もうメイク出来上がったんだろ?」

と祐さんに聞いた。


「……まだ、男も知らないような、こんな可愛い子に、一臣君、手なんて出したらダメよ」

「はあ?」

「気をつけるのよ。この男は手が早いって有名なんだから。それも、平気で女をとっかえひっかえ遊ぶような酷い男なんだから、騙されちゃダメよ。女の敵よ、敵」


「おいおい。なんだよ、その、騙されちゃダメってのは」

 一臣様は両手を腰に当て、もっと呆れたっていう声を出した。

「もう~~。こんな純情そうな可愛い子が、一臣君の毒牙にやられないよう、注意しているんじゃない」


「あのねえ。祐さん、やられるとかそういう問題じゃないの。こいつは俺の結婚相手。騙すも騙さないもないんだよ。いずれは俺の子供だって生むんだからな」

「きゃ~、そうじゃないよっ!大変」


「何が、きゃ~~、大変だよ。ったく…。ほら、弥生。行くぞ」

 そう言うと、一臣様はテクテクと美容院のドアに向かって歩き出した。

「弥生ちゃん。いつでも、何かあったら味方になってあげるから、私に連絡ちょうだいね。これ、名刺」

 祐さんは私に名刺をくれた。


「あ、ありがとうございます」

 私はそれを受け取って、席をたとうとすると、また、

「ギュルルル~~~」

と、お腹が思い切り大きな音を立てて鳴ってしまった。


 う…。今の、祐さんに聞こえた。

「あら…」

 私が真っ赤になっていると、祐さんが私を見てくすくすと笑った。


「弥生!早く来い。お待ちかねの中華だぞ」

「は、は、はい!」

 私はもう一回、祐さんにぺこりとお辞儀をして、一臣様の元に駆けていった。

 一臣様はドアを開けて待っていてくれた。


 そして、美容院の駐車場に停めてあった車に乗り込もうとすると、

「一臣君。確か、婚約嫌がっていたのに、気が変わっちゃったんじゃない?」

と祐さんもお店から出てきて、一臣様にそう言った。


「……」

 一臣様は何も言わず、私に、

「さっさと車に乗れ」

と言って、私が車に乗り込むと、ドアをバタンと閉めてしまった。そして、何か祐さんと話をして、車をグルリと回って、反対側のドアから後部座席に乗ってきた。


「待たせたな。ホテルに向かってくれ」

「はい」

 一臣様がそう言うと、等々力さんは車を発進させた。


「さすが、田端様ですね。瞼の腫れも目立たなくなりました」

 バックミラーで私の顔を見た樋口さんがそう言った。

 私は名刺を見てみた。メイクアップアーティスト、You・Tabataと書いてあった。


「ああ、その名刺の名前は本名じゃないぞ。祐さんの本名は、田端祐二郎。演歌歌手みたいで嫌だって言って、自分で勝手に田端祐って名乗ってるんだ」

 そ、そうなんだ…。


「田端様の腕は素晴らしいですよ」

 また、樋口さんがそう言った。

「そうですね。鏡を見ていたら、みるみるうちに顔が変わっていったから、びっくりしました」

「……気に入られていたなあ、お前」


「え?」

「祐さんは男のほうが好きだから、女にはあんまり興味を示さないんだけど」

「…じゃ、もしかして、祐さんも一臣様のことを好きなんですか?」

「俺?いや。祐さんはもっと、純情可憐な可愛い男が好みだから…って。なんだ、その、祐さんも…の、「も」は。誰のこと言ってるんだ?まさか、俺も祐さんを好きだって言いたいのか?」


「ち、違います。そうじゃなくって、わ、私…みたいに、祐さんも一臣様のことを…」

「なんだ。俺が男を好きだって、誤解しているのかと思ったぞ…」

 そう言ってから、一臣様はなぜか、

「ははは」

と笑い出した。


「?」

「純情可憐って点ではお前、祐さんの好みだもんな。それで気に入られたんだな」

「私が、純情可憐?!」

「そう。一途で健気?まあ、一歩間違えたら、ただの変なストーカーだけどな」

「う…」


 一臣様はすごく意地悪そうな口調でそう言うと、また「ははは」と声に出して笑い出した。

 褒められているのか、けなされているのか、そのへんが今いち把握できない。でも、バックミラーに映った樋口さんや等々力さんの顔がとても優しくて、なんとなく私も優しいあったかい気持ちになった。


 そういえば、一臣様の笑った顔や笑い声、大学ではよく見たり聞いたりしたけど、会社に入ってからは、あんまり見たり聞いた事がなかったなあ。

 大学時代と変わらない、素敵な笑顔だ。

 ほわわん。私はなんだか、とっても幸せな気分になってしまった。


 そして、ホテルに到着した。都内でも有名な大きなホテルだ。車はホテルのエントランスの前に停まり、中からすぐにベルボーイが現れた。

「緒方様、お待ちしていました」

「ああ。今日は荷物もないから、気を使わないでいいぞ」

 

 車から降りると、一臣様はそう言って、とっととホテルの中に入っていった。私も慌てて後ろを追いかけようとすると、

「あ…」

と、一臣様が立ち止まり後ろを振り返った。


 ドスン!いきなり立ち止まったから、ぶつかってしまった。

「いたた」

 一臣様の胸に思い切りオデコをぶつけた。


「……はあ」

 なぜか一臣様は小さな溜息を吐き、

「ほら…」

と私の背中に手を回してきた。


「え?」

「お前のこと、エスコートし忘れた」

「は?」

「今日は、誰が見ているかわからないんだから、妙な行動だけはやめてくれよな」


「は、はい」

 誰が見ているか、わからないって?


 一臣様は私の背中に手を回したまま、さっきよりも歩く速度を落として歩き出した。私は、緊張してかたまったまま、歩いていた。


「ここは、取引先の人も、うちの会社の連中も、食事に来たり、泊まりに来ている可能性も十分あるからな。祐さんも言っていたけど、都内のホテルだと、知ってる奴もたくさんいるみたいだしな」

「え?」

「これからは、都内はやめよう。もっと、都心から離れたところに行くとするか…」

 

 一臣様は小声でそう言うと、エレベーターホールに行き、やっと私の背中から手を離した。

 う、うわ~~~。思い切り緊張した。背中に心臓が回っちゃったかと思うくらい、ドキドキした。


「あ、そういえば、樋口さんは?」

「ああ。樋口と等々力は帰った」

「…どこにですか?」

「屋敷にだ。樋口も等々力も、屋敷内の寮に住んでいるからな」


 え?じゃ、誰が帰り、送ってくれるのかな。あ、タクシーとかで帰るのかな。

「ほら、ぼ~~っとしていないで、エレベーターが来たぞ」

「はい」


 また、一臣様は私の背中に腕を回した。

 カチン!背中に一臣様の手が触れただけで、緊張してしまう。


 エレベーターに乗ったのは私たちだけだった。一臣様は3階を押した。

「ここの最上階にあるレストランだったら、夜景が綺麗に見えたんだがな」

「え?」

「スカイツリーも綺麗に見えたぞ。だが、そのレストランはフレンチだからなあ」


「すみません。私がコース料理苦手なばっかりに」

「…まあ、いいけどな。夜景だったら部屋からも見れるし」

「そうなんですか?」


 部屋って、お屋敷の部屋じゃないよね。あそこからは、夜、真っ暗な庭しか見えないし。ああ!そうか。オフィスか。一臣様のお部屋には行ったことがないけれど、15階だから、きっと夜景が綺麗に見えるんだ。


 そしてエレベーターから降りると、すぐ目の前に中華のレストランがあり、一臣様がお店に入ると、支配人らしき人がすっ飛んできて、

「お待ちしていました。緒方様。どうぞ、こちらに」

と自ら案内をかって出た。


 さすがだ。名前を言わないでも、どこでも顔パスなんだなあ、一臣様って。

「どうぞ」

 案内されたところも、個室だ。それも、二人にしてはやたら大きい部屋だ。VIPルームってやつなのかしら、ここって。


 上条家で、こういうお店に来る時は、たいてい、家族や親戚も一緒だから、個室だとしても、大人数で入る感じで、こんなふうにはなったりしない。

 それも、VIPルームに入ったことすらない。


「お飲み物は何になさいますか?」

「そうだなあ。ビールが飲みたい気分だから、ビールを持ってきてくれ。そのあとは、いつもの紹興酒だな」

「はい、かしこまりました」


「お前も飲むだろ?」

「え?私?」

「まだ、頭、痛むのか?」

「いいえ、全然大丈夫です」


「じゃあ、グラスは二つ持ってきてくれ」

「はい」

 支配人らしき人は、丁寧にお辞儀をして部屋を出ていった。


「ここって、VIPルームですか?」

「そうだ。だから、誰かに見られることもないから、がっついて食べてもいいぞ」

 そういう意味で聞いたわけじゃないんだけどなあ。


「あの、私…」

「なんだ」

「お酒、弱いんです…けど」

「そうか」


 そうか?それだけ?

 そして、ビールは私のグラスにも注がれ、

「ほら、乾杯だ」

と、勝手に一臣様は、何に対してかわからない乾杯をしてビールをググッと飲み干した。


「は、はい」

 私も、一口飲んだ。う、美味しい。実は、お酒の味は好きだ。ただ、弱いってだけで…。

 よく、大学時代(成人してからです、もちろん)アパートで大家さんや、アパートに住む住人たちと飲んだりした。


 そして、だいたいがすぐに眠くなり、大家さんの部屋で朝までグースカ寝るというパターンだった。だけど、大家さんの部屋ですぐに寝ちゃえるから、安心して飲んでいた。


 外で飲んじゃって、一回、お店で寝ちゃって友達にすごい迷惑をかけてしまった事があり、それ以来、なるべく外では飲まないようにしている。

 それも、

「弥生ちゃん、お酒飲むと、変わっちゃうから、男の人と飲んじゃダメだよ」

と友達に言われていた。


 ほとんど覚えていないから、どう変わるのかわからない。アパートの住人も、みんなグデングデンに酔っ払い、翌日何も覚えていないって人がほとんどで、私が酔うとどうなるかを、結局みんな覚えていなかった。

 唯一、飲んでも酔わないザルの大家さんだけが、

「弥生ちゃんは、飲むと可愛くなるから」

とそう教えてくれた。


 可愛くなる…。すぐ寝ちゃうってことかな?って、そう私は解釈していた。

 寝ちゃうから、危ないから、男の人と飲んじゃダメって、そういうことを友達は言ってくれているんだと思っていたし…。


 中華料理は次々と運ばれてきた。どれも美味しくって、私は大喜びしていた。

 そのうちに、紹興酒という中国のお酒も、一臣様は飲みだした。

「お前も飲んでみるか?」

「どんな味なんですか?」


「飲んだことないのか?」

「はい」

 私は興味本位で飲んでみた。


 一口…のはずが、ビールですでに酔っていたからか、どんどん飲んでしまったようだ。


「す、すみません、一臣様」

「どうした?」

 一臣様が、私の顔を覗き込んだ。

「なんか、眠いんですけど」

「酔ったか?ああ、お酒弱いんだっけ?お前」


「はい。さっき、そう言いました」

「そうだったな。じゃあ、そろそろ行くか」

「…か、一臣様」

「なんだ」


「今にも、寝ちゃいそうなくらい、眠いんですけど」

「もう少し待て。部屋に行ってから寝ろ」

「………部屋」

 どこの?ああ、お屋敷の…。


「でも、私、お屋敷追い出されました」

「屋敷のじゃない。ホテルの部屋だ」

 一臣様はそう言うと、席を立った。私も席を立ったが、

「おい!弥生?」

と一臣様に、すぐに抱きしめられた。


 うわ。なんだって、一臣様は抱きしめてきたんだ?でも、一臣様の腕の中、気持ちいい。

 それに、一臣様から、あのコロンの香りがする。


 ギュ~~~~。一臣様に抱きついた。

「おい。ちゃんと自分の足で歩け!」

 一臣様にそう言われたが、一臣様に抱きついたまま、私はふわふわした幸せな気分を味わっていた。


「緒方様、お連れの方、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。上に部屋もとってあるしな。悪い。いつもの部屋だ。明日、カードでここの分も一緒に払う」

「はい、かしこまりました」


 さっきの支配人と、一臣様はそんな話をしていた。

 はれ?上の部屋?上の部屋って、何?

 上野?う、上野さんが、いるの?


「一臣様」

 一臣様とエレベーターに乗った。

「なんだ」

「上野さんに会うんですか?」


「上野?会わないぞ、なんでだ」

「だって、今、上野って…」

「上の部屋って言ったんだ。上野とは関係ない」

「でも、一臣様は上野さんとデートするつもりじゃなかったんですか?」


「いや。お前がおふくろから屋敷を追い出されたと聞いて、レストランと部屋を予約したんだ。別に上野とデートしようなんて、思っていないぞ」

「………部屋?」

「しっかりしろ。部屋に行ったら寝てもいいから、今はちゃんと起きていろよ。全体重かけられたら、めっちゃ重いぞ!」


「はい」

 エレベーターがチン!と鳴って、どこかに着いた。一臣様にほとんど抱えられながら、私はふわふわする絨毯の上を歩いていた。


「一臣様」

「なんだ」

「ここのカーペット、ふわふわですね」

「そうか?」


「気持ちいいです」

「ああ、そうか。俺は重いぞ!」

「一臣様」

「なんだ!?」


「眠い」

「まだ寝るな!あと部屋までほんのわずかだ!」

「抱っこ」

「はあ?!」


「抱っこ…」

「しょうがねえな~~~~、もう~~~!」

 一臣様の呆れ返った声の後、ふわっと私は一臣様にお姫様だっこされ、

「大好きです~~~」

と言って私は一臣様の首にしがみついた。


「苦しいから、しがみつくな、弥生」

「嫌です~。大好きなんです」

「わかったから、しがみつくな、弥生」

「本当に、大好きなんです…」


「………わかったから」

「だから、上野さんとはデートしないでください」

「……」

「ほ、他の人とも…」


 そう言ってまた、ぎゅーって抱きついた。

「わかったから。だから、泣くな…」

 ふえ~~~~ん。抱きついて泣いて、そして私は、寝てしまった。



 


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