昔々
昔の昔ではないお話。
大陸で一番立派で大きな国を治めている王様がいました。
賢いだけではなくて見目も麗しい容姿でした。
勿論、武芸も秀でて、しかし武力を振りかざさない優しい性格でした。
欠点の打ち所がない王様でした。
部下達に慕われ敵はいませんでした。
いや、いました。
大臣達です。
今、王様にはある問題がありました。
「結婚」です。
しかし、王様にはある事情があって結婚は出来ませんでした。
そんな、王様を急かす大臣達…。
ある日、痺れを切らした大臣達はあることをやらかしてしまいました。
流石の王様もそれに負けて結婚に乗り出すことにしました。
各国のお姫様達の所に待ちに待った手紙が来ました。
ある条件と共に…
<地に足を付けて来なさい
しかし、歩いてはいけない
馬車、馬も禁ずる
それが出来ないものは歓迎されない>
歩いて来い。
しかし、歩くな。
そんなのは、矛盾です。
しかも、馬車も馬も駄目だなんて侮辱だと怒る王女様もいました。
三つの国以外は諦めました。
女尊男卑の国。イゴスジョ国のクノー王女。
グラマーで強気な女性と噂です。
賢い人がやたら多いシュウ王女。
細くて深窓の姫君を体現したような方だとの噂です。
芸術の国。ジュノ王女。
絵の才が評判との噂です。
「と、たった三名しか残りませんでした。
まだまだ、候補は山ほどいたのに・・・
ほんとに、結婚する気になったのですか?」
一番若い大臣が年が少し下の王様に詰め寄ります。
「私の伴侶となる者、これぐらいクリアしてもらわないと困る。
ヒントもあるのだ。」