表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/60

第51話「折れた正義の翼と、鬼の退き口」

小早川の裏切りにより——

西軍は総崩れとなった。

大谷吉継が——

自害した。

石田三成は——

崩れゆく陣の中で呆然としていた。

顔に貼り付いていた「血文字の密書」が——

まだ、そこにあった。


三成の元へ——

武田勝頼と徳川家康が歩み寄った。

勝頼は——

刀を抜かなかった。

代わりに——

**【権能:侵略する火】**を放った。

ゴォォォォォ!!

金赤の炎。

だが——

熱くなかった。

炎は——

三成の魂にこびりついた汚れだけを焼き尽くした。

三成の顔に張り付いていた密書が——

灰になって散った。

憑き物が落ちた三成は——

泣き崩れた。

「……私は、あの方の夢を守りたかっただけなのに……」

三成の声が、震えていた。

「いつから『悪夢』を見ていたのですか……」

三成の嗚咽が——

戦場に響いた。

それを見た家康が——

静かに目を伏せた。

哀愁。

「……連れて行け」

家康の声が、静かに響いた。

「せめて武士として裁いてやる」

三成は——

敗者としてではなく、呪いから解放された人間として処刑される道を選んだ。


戦場に残った——

島津義弘率いる薩摩軍。

四方を敵に——

囲まれていた。

「退路はない」

島津の声が、静かに響いた。

「……家康の本陣を突き破り、伊勢へ抜ける!」

島津の目が、鋭く光った。

「チェストォォッ!!」

死兵となった薩摩軍が——

家康の本陣へ向けて自殺的な突撃を開始した。

徳川兵が——

叫んだ。

「ひぃっ! こいつら、笑って死んでいくぞ!」

座禅を組んで死んでいく兵士の死体で——

壁を作った。

義弘が——

その血の道を駆け抜けた。

本多忠勝が——

立ちはだかった。

蜻蛉切が——

義弘の刀と激突した。

ガキィン!!

義弘の刀が——

折れた。

だが——

義弘は折れた刀を投げつけ、拳で殴りかかろうとするほどの気迫を見せた。

「……行け!」

忠勝が、叫んだ。

「貴様のような『魔物』をここで殺すのは惜しい!」

忠勝は——

あえて深追いをせず、その凄まじい背中を見送った。


戦後。

勝頼は——

家康と南光坊天海に詰め寄った。

「勝ったな」

勝頼の瞳が、紫紺に輝いた。

「このまま大坂へ攻め込み、秀頼を殺すぞ!」

だが——

天海が止めた。

「なりませぬ」

天海の声が、静かに響いた。

「今、幼子の器を壊せば、魔王の魂は霧散し、この『大地そのもの』に憑依します」

天海が——

幻影を見せた。

もし今、秀頼を殺せばどうなるか。

日本列島そのものが——

「信長の顔」に変形した。

富士山が——

噴火した。

大地が——

溶岩で覆われた。

地獄絵図。

「……なるほど」

勝頼が、呟いた。

「星ごと殺す気か、あの魔王は」

「魔王の魂が肉体に完全に固着し、逃げ場を失うまで『熟成』させる必要があります」

天海の目が、鋭く光った。

「……それが約十五年」

「十五年……」

勝頼が、呟いた。


家康が——

引き継いだ。

「その間に、わしは『檻』を作る」

家康が、地図を広げた。

東国。

江戸。

「東国に新たな都『江戸』を創る」

家康の声が、静かに響いた。

地図上に——

隅田川の流れを変え、鬼門に寺を置き、城を中心に「の」の字に堀を掘る計画が示された。

「この国全ての気を『螺旋』で増幅し、一点へ撃ち込む」

家康の目が、鋭く光った。

「……これは都ではない、超巨大な『大筒』じゃ」

螺旋の都。

江戸。

「魔王の肉体的固定」と——

「対魔王用都市・江戸の建設」。

どちらも——

十五年。

「……わかった」

勝頼は、拳を握った。

「十五年後、完成した『檻』の中で、神殺しを行う」

三者の決意と共に——

物語は最終章へと飛ぶ。

「大坂の陣」。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ