表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/60

第48話「襲撃の七本槍と、伏見の古狸」

秀吉没後の大坂城。

石田三成は——

秀吉が残した「負の遺産」を回収・廃棄していた。

過剰な恩賞。

呪いの金。

「狂った黄金を捨て、正常な政治に戻す」

三成の声が、静かに響いた。

「……たとえ、殿下の偉業を否定することになろうとも」

彼は——

「豊臣という家」を守るために、皮肉にも「秀吉らしさ」を全否定する政策をとった。

これが——

秀吉を崇拝する武断派の逆鱗に触れた。


加藤清正や福島正則ら「七本槍」の会合。

彼らにとって——

秀吉の狂気も含めて「俺たちの輝かしい青春」だった。

「三成の奴、殿下の形見をドブに捨てやがった!」

清正が、叫んだ。

「あの小役人は、俺たちの誇りを踏みにじる気か!」

「法」と「情」。

相容れない正義が——

爆発した。

武装蜂起へと繋がる。


三成の屋敷が——

襲撃された。

護衛の島左近が防戦するが——

多勢に無勢。

「三成様、逃げてください!」

左近が、叫んだ。

逃げ場を失った三成が——

向かった先は、最大の政敵・徳川家康の屋敷。

伏見。

側近が——

止めた。

「正気ですか! 徳川は豊臣を乗っ取る気ですぞ!」

「構わん」

三成の声が、静かに響いた。

「家康は『私欲』では動かない」

三成は、続けた。

「彼もまた『秩序』を愛する男だ」

三成の目が、鋭く光った。

「……清正のような『獣』に殺されるより、家康という『理』に賭ける」


伏見城。

家康と武田勝頼の元に——

三成が現れた。

「……わしを頼るとは」

家康が、呟いた。

「豊臣を売り渡す気か、三成」

「違う!」

三成が、叫んだ。

「貴殿を利用して、豊臣の秩序を守るのだ!」

その悲痛な叫びを聞き——

家康は溜息をついた。

「……不器用な男よ」

家康の声が、静かに響いた。

「お主の守りたい『秩序』とやらは、もう死体じゃ」

家康は、続けた。

「腐臭を放っておる」

家康は——

立ち上がった。

「だが、獣が暴れるよりはマシか」

家康の目が、鋭く光った。

「……わしが引き受けよう」

家康は、続けた。

「その腐った死体ごと、面倒を見てやる」

これは——

救済ではなかった。

「政権移譲の宣言」。


追ってきた清正たちが——

家康の屋敷を取り囲んだ。

家康が——

悠々と現れた。

「静まれ」

家康の声が、静かに響いた。

「……三成はわしが預かる」

家康の目が、鋭く光った。

「文句があるなら、この『五大老筆頭』が聞こう」

圧倒的な「格」。

その前に——

清正たちは散るしかなかった。

結果——

三成は命拾いした。

だが——

「佐和山城へ隠居」となった。

失脚。

去りゆく三成の背中を見送り——

勝頼が問うた。

「……家康。これで良かったのか?」

「……泥を被る役が必要です」

家康の声が、静かに響いた。

「秀吉が散らかしたこの国を畳むには、誰かが『悪党』にならねばならん」

家康は——

あえて天下を簒奪する「魔王」の道を歩み始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ