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第47話「黒き茶聖の死と、腐りゆく黄金」

京都、聚楽第。

雨。

秀吉が——

利休に激昂していた。

「なぜわしの黄金を褒めん!」

秀吉が、叫んだ。

「なぜ頭を下げん!」

秀吉の目が、血走っていた。

「お前の『黒』は、わしを嘲笑っておる!」

千利休の罪は——

謀反ではなかった。

「秀吉様の劣等感を刺激したこと」。

利休は——

死を恐れなかった。

憐れむような目で——

告げた。

「……黄金で飾り立てても、貴方様の魂は飢えたまま」

利休の声が、静かに響いた。

「……哀れな王よ」

秀吉は——

自分に従わない利休に切腹を命じた。

「わしの黄金を否定する者は、死ね」

秀吉の声が——

震えていた。

利休は——

静かに短刀を構えた。

その場には——

武田勝頼の姿もあった。

影移動で立ち会っていた。

利休は——

腹を切った。

その際——

自身の血を茶碗に注ぎ、それを床に叩きつける呪いを残して逝った。

「……見事な最期だ」

勝頼が、呟いた。

「アンタの『黒』、俺たちが継ぐ」


利休の死から——

時が経った。

狂気は——

加速していた。

京都、三条河原。

かつて自爆させられた羽柴秀次の「妻子・側室」たちが——

謀反の疑いで処刑されていた。

罪なき女子供が——

次々と斬られていく。

地獄絵図。

処刑の指揮を執らされているのは——

石田三成。

彼は——

胃を吐き出しそうな苦渋の表情だった。

それでも——

法を執行していた。

「……これが、秩序のためだと言うのか」

三成の声が——

震えていた。

加藤清正ら武断派は——

これを見て三成に激しい憎悪を抱いた。

「三成!」

清正が、叫んだ。

「貴様、血も涙もないのか!」

豊臣家臣団の心が——

完全に二つに割れた。


秀次一族の処刑後。

秀吉は——

恐怖していた。

「誰も信じられん……」

秀吉の声が、震えていた。

「身内も、部下も、皆わしを殺そうとしておる……」

秀吉は——

最強の武力を持つ徳川家康と勝頼を呼び出した。

そして——

「五大老」という役職に就けた。

これは——

名誉職ではなかった。

「互いに監視させ、裏切りを防ぐための苦肉の策」。


伏見城。

秀吉の臨終。

彼は——

「魔王の因子」や「大地の気」を過剰摂取した反動で、体が内側から崩壊していた。

皮膚は——

黄金色に変色していた。

だが——

その下は黒く壊死していた。

腐臭を——

放っていた。

枕元には——

家康と勝頼。

そして五大老。

秀吉は——

本当は家康を殺したいほど憎んでいた。

恐れていた。

しかし——

幼い秀頼を守れる力があるのもまた、家康しかいなかった。

矛盾。

秀吉は——

家康の手を握った。

涙とよだれで——

濡らしながらすがりついた。

「家康……今まで冷遇してすまなんだ……」

秀吉の声が、震えていた。

「この通りじゃ、靴でも舐める……」

秀吉は、続けた。

「だから、秀頼だけは……!」

最大の敵に——

命乞いをするしかない。

天下人の——

あまりに惨めな末路。

家康は——

秀吉を見下ろしながら、あえて優しい嘘をついた。

「……ご安心を」

家康の声が、静かに響いた。

「この家康、骨となりても豊臣を守りましょう」

嘘。

その言葉を聞いて——

秀吉は安心して息絶えた。

「露と落ち 露と消えにし 我が身かな……」

辞世の句。

そして——

黄金の汚泥を吐いて絶命した。


死後。

家康は——

手を懐紙で拭いた。

そして——

勝頼に言った。

「……猿は、最後まで猿でしたな」

家康の声が、静かに響いた。

秀吉の死が——

公表された。

その瞬間——

世界を覆っていた「重圧」が消えた。

大名たちの野心が——

膨れ上がる音が聞こえるよう。

「……鎖は切れましたな」

家康が、勝頼に囁いた。

「勝頼殿」

「ああ」

勝頼の瞳が、紫紺に輝いた。

「……これより、天下の総決算を始める」

関ヶ原。

石田三成が——

秀吉の遺体の前で一人、鬼のような形相で決意していた。

「……殿下の創った平和は、私が守り抜く」

三成の目が、鋭く光った。

「家康、勝頼……貴様らには渡さん!」


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