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浅葱色の背中 ~歴女と新選組~  作者: 山野 紗世
3/3

ビックリ巡察⁉

「俺達の巡察区域は、逢異原(あいはら)八・九丁目だ。」

と、トシ兄が地図を見せながら教えてくれる。

「特にここ、藤華院(とうかいん)は異界とつながりやすいところだからくまなく探す事。」

藤華院は新道家のお墓のあるお寺で、とてもお世話になっているお寺。

「よく俺とトシは三〇分くらい張り込みしているよ。長い時は二時間くらいだな。」

「だな。」

二、二時間・・・。想像していた時間より長くて驚くよ。

「まぁ、今日は前を通るだけだから警戒心を持たなくても大丈夫だけれど、二人だけの巡察のときは気を引き締めるんだよ。」

「「はいっ。」」

「よし、じゃあ行くか!」

「「「おっしゃあ!」」」

新道家の門を出ると、なんかイヤーな人影が・・・・。

「はぁ、出てすぐにいるとかありえなさすぎるだろ。」

「だね、トシ。総司は誠奈ちゃん背中で守っといて。」

「わ、分かった。」

私は?何で私が総司に守られないといけないの⁉

総司に後ろに隠されると、あんまり戦闘状況がわからない。けれど、さっき見たときは農民の格好をしていたなぁ。

と思いながら、総司の後ろからばれないように観戦。

「時の神・月読命よ、旅の神・猿田彦神よ。かの者を元の時代(とき)へ戻したまえ。」

と言いながら、勇兄は刀を振り上げる。

「送封。」

と言うと、一気に刀を振り下ろした。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

という声が残りながら、農民は消えていった。

私は勇兄の刀に注目する。

ウソでしょ・・・。刀に、血が、付いてる・・・・。

「・・・あ、誠奈ちゃん、見ちゃった?」

「おい、誠奈お前見たのか⁉」

焦る兄二名。

え、ウソ、でしょ・・・? ウソ、じゃない? え、どういう、事・・・・?

と思っていると、私のことを呼ぶ声がすぐそばで聞こえながら、私は地面に近づいていった。


「んん~っ。」

あれ、ここって・・・。

私が目を覚ましたのは、見慣れた天井がある自室だった。

「誠奈、大丈夫か?」

「そ、総司?何で総司がここに?」

「誠奈が巡察中に倒れたから、心配でここにいる。今は午後六時三〇分過ぎ。」

え・・・。やっぱり私、倒れたんだ。

「待って、夕飯の時間じゃん!急いで降りないと・・・。」

と焦ってベッドから降りようとする。

「お前が大丈夫なら下に行くか。」

「うん!」

私は隊服のまま下の食堂に向かう。

階段を降りると、厨房の電気がまだついていた。

「あ、誠奈。起きて大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、お母さん。心配かけてゴメンなさい。」

「まぁ、初任務なら必ずなることよ。あ、これ誠奈と総司君用の夕飯。自分たちで持って行ってね。」

「「はい。」」

いつもなら私も総司もご飯の量は一緒。だけれど、体調のことを気にしてか今日のご飯は少なめが一つあった。それを持って食堂に向かう。

カラカラ

「あ、誠奈。」

「誠奈ちゃん・・。」

「セイ姉ちゃん。」

「せ、誠奈・・・。」

反応がバラバラ。ここにいる人はほとんどが私の倒れた理由を知っているのだろう。

私の定位置に座ると、隣に座っている小三の妹・誠華(せいか)が目をキラキラさせながら聞いてきた。

「お姉ちゃん。今日どうしたの?いきなり勇兄とトシ兄と総司兄と一緒に遊びに行ったと思ったら、倒れて帰ってきて。ねぇどうしたの?」

どどどどどどどどどどうしよう!助けを求めて横に座る総司を見る。

 ふいっ

えぇ!そっぽむかれた~っ。前にいる兄の誠助、勇兄、トシ兄などの事情を知っていそうな人に目線を向けるが、全員にそっぽを向かれる。

これ、私がなんとかしろ!ってこと⁉

「あ、ええっとね、お姉ちゃん、カエルが苦手すぎて、肩にカエルが乗って気絶しちゃったんだ。あははははは・・・。」

「お姉ちゃん、カエル嫌いなんだ。じゃあ、ぴょん吉かわいそう。」

「ぴ、ぴょん吉?」

「私のクラスで飼っているカエルちゃん。」

「そ、そうなんだ。」

 ググーッ

だ、誰のおなかの音?

「すみません、俺です。」

総司のおなかの音だそう。

「誠奈も早く食べたほうがいいと思うぞ。おなか鳴っても知らないからな。」

ググーッ

「はい、食べます。」

自分のおなかの音が鳴り、さすがに私ははしを持ち、少しずつ食べだした。

これっきり、ご飯が食べ終わるまで誠華は声をかけて来なくなった。


カラカラッ

「トシ兄ー、入るよーっ。」

「誠奈なぁ。総司もだがそういうのは開ける前に言えよ。」

「「ごめんなさーい。」」

謝る気ゼロ。

「はははっ。トシも少しは多めに見てあげなよ。」

「ダメだろ勇兄。総司はいいが、誠奈はもう中一女子だろ?」

「私、トシ兄なら一本投げで倒せるけれど・・・。」

「そういう問題じゃないだろ・・・。」

トシ兄お手上げ状態。

「というか、誠奈達は出動要請が来ているんだろ?調べたりしなくていいのかよ。」

「私はほとんどしなくて大丈夫。それより総司、父さんから教材来ていないの?」

・・・

部屋の中が一瞬で静かになる。

「来てた。今日から勉強しないとか・・・。」

「あったりまえでしょ。じゃ、ここでやろっか。歴史得意なトシ兄と勇兄がいるし。」

「・・・・はーい。今持ってくる。」

「あ、私はノートとか持ってくる。」


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