リアルファイト・オンライン~友達が欲しい私、アバター格闘ゲームで無双する~
某Vtuberさんの企画に投稿しようとした作品です、テーマが「自分が最も好きな属性のキャラクター」ということで、好きなように書きました。
是非最後まで読んでいただけたらと存じます。
体育館。
今、そこでは球体が飛んでいる。
私はその飛んでくる球体を、拳で弾き返した。
弾いた球体は、そのまま宙を舞い……向こう側の床へと落ちて行った。
「キャー!! 翠様! かっこいい!!」
「さすが翠様!!」
私の後ろにいた女子たちが、歓声を上げた。
翠様……即ち私の事だ。
試合終了と同時に、教師が集合を掛け、解散となった。
「流石だな、長堀。やっぱり……バレー部に入ったほうが良いんじゃないか?」
体育教師が私に声を掛ける。
既に何度も同じことを言われている、故に答えはこれだけだ。
「申し訳ございませんが、興味が無いので……」
「そうか……だが、気が向いたら、いつでも声を掛けてくれよ、私は待っているからな」
「はい……失礼します……」
私は教室へと戻った。
◇
私は「長堀翠」、高校一年生。
ここ、「私立井高野女子高校」では、そこそこ有名な名前だ。
テストではいつでも一位、体育でもそこそこの活躍を見せていて、何度も部活に誘われている。
他人から見たら「完璧超人」だと、そう言うだろう。
だが、私には不満がある……こう言うと嫌味に聞こえるだろうか?
とにかく私の不満はただ一つ……「友達がいない」
何言ってるんだ? と、人に話したら言われるだろう。
だが、それは事実なのだ。
皆、私の事を対等に見てくれないのだ。
「翠様、今回もテスト一位なんですって? 凄いです!」
「翠様、テニスの授業の時……とても美しかったですわ!」
「翠様、どのようにしたら、貴方のようになれるのでしょうか?」
同級生や先輩まで、私の事を「翠様」と呼ぶ。
そう、皆、私の事を自分たちより上に見ているのだ。
私はどうしてもそれが嫌だった。
いくら勉強ができようが、スポーツができようが、所詮私は皆と同じ人間。
ただそれだけなのに、誰も私を同じ目線で見てくれない。
贅沢な悩みだろうか? そう思って、この悩みは他の人には話していない。
学校では明るく振舞っているつもりではあるが、行きや帰りでは、ため息をつきながら歩いている。
(全く……今回も一位か……また来るぞ……)
私はテストの順位表を見ながら、そう心の中でつぶやいた。
「流石ですね! 翠様!」
「やはりこの学校で貴方に勝る人はいませんよ!」
ほら出た、いつものお膳立て。
勝る人はいない? そんなわけがない。
だって、科目別の順位を見れば、私は負けている部分がある。
物理と生物……違う人が一位になっているのだ。
「物理と生物……また『中百舌鳥さん』が一位ですか……」
「翠様! 気を落とさないでくださいね!」
……別に私は気を落としていないのだけれど。
物理と生物の一位には「中百舌鳥 梅」という名前が載っていた。
にしても、中百舌鳥さん凄いな、この二科目で、彼女に勝てたことは無い。
「……噂をすれば何とやら、来ましたよ、中百舌鳥さん」
お膳立てする2人の中の1人が、向こうを指差す。
指を差した先には、丸眼鏡にツインテール、若干暗めな印象な女子生徒が歩いていた。
彼女こそが、中百舌鳥さんだ。
なんかお膳立て2人組がヒソヒソと中百舌鳥さんの悪口を言っている……なんか申し訳ないな、話してみるか。
「中百舌鳥さん、今回も負けちゃったよ。次は負けないからね」
私が声を掛けると、中百舌鳥さんは下を向いて、小声でこう返した。
「……わわわ、私も……次は……勝ちます……から……そ、それでは……」
中百舌鳥さんは足早にその場を後にした。
なんだろう、皆彼女の事を悪く言うけど、私はそう感じないな。
(あの子……私の友達に……なれるかな?)
◇
「あ、姉さん。おかえり」
「ただいま」
家に帰ると、弟がゲームを片手に話しかけてくる。
「それ、今流行りの『アバターゲーム』?」
「そうそう! めっちゃ楽しいよ!」
弟は、アバターゴーグルを片手に持っていた。
アバターゴーグル……これと携帯電話やタブレットと繋げることで、様々なゲームで遊ぶことができる。
アバターという名前の通り、仮想現実に自分の分身を作り、その分身で様々なゲームを体験できるという事だ。
親が新しいもの好きで買ったはいいが、その親は仕事で滅多に帰ってこない。
2台あるうちに1台は、ほとんど弟の所有物だ。
「今、リアルファイト・オンラインってのが学校で流行っててさ!」
「り、リアルファイト?」
「うん! リアルな街中で1対1で戦うアバターゲーム! 姉さんもやってみようよ!」
「わ、私?」
「うん! 最近姉さん元気無さそうだし、良いストレス発散になると思わない?」
「そ、そうかな?」
元気が無い……弟にはバレバレなようだった。
「じゃ、じゃあ……やってみようかな」
「そう来なくっちゃ!」
私は使われていないアバターゴーグルを持って、自分の部屋へと向かった。
◇
「さぁて、どうしようかな」
早速起動した私は、アバターの作成に取り掛かる。
正面には、デフォルトの状態の女性のアバターが表示されている。
これが私の分身になるわけだ。
「そうだなぁ……最近、父さんの趣味で、大陸の映画を観たっけ……それをイメージしてみるか」
私は数十年前の大陸の映画を参考にし、赤いチャイナドレスに、青龍刀を片手に一本ずつ持った女性を想像する。
「……おお、意外とカッコいい」
……自画自賛してしまった。
まぁいいや……じゃあ後は髪の毛と、顔と……やっぱり自分の分身だし、綺麗な感じにしたいな。
「……よし、これだ」
私は赤毛のロングヘアに、赤い瞳。
モデルのような体系や顔を想像する。
すると、目の前のアバターの身長が10センチほど伸び、もはやそれは、私とは程遠い見た目だった。
「……これでよし」
私はこれに決めた。
気が付くと、私の全身は、先ほど正面に映し出されていた理想の体型になっていた。
「……両手に青龍刀……自分で想像しておいてなんだけど、物騒だな……」
そんな事を考えていると、ゲームの説明が字幕で表示される。
要約すると。
1に、このゲームは制限時間以内に、真上に表示される相手のHPをゼロにするか、相手よりも多くHPを残した方が勝ち。
2に、このゲームは実在する場所に向かってランダムにアバターが表示される。
3に、このゲームは、自分のアバター名を名乗り合うことで試合が開始する。
4に、一定数ダメージを与えると、MPが溜まり、必殺技が放てる、必殺技は自分のイメージでどうにでも可能。
5に、戦いたいときは、携帯から相手に勝負を仕掛けて相手がそれを受け入れるか、相手に勝負を仕掛けられてそれを受け入れるか、どちらかである
……他、色んなルールがある。
正直分からないことが多いが……試しに、この『マスター・ハン』なる人物に勝負を仕掛けてみよう。
携帯から勝負を仕掛けると、相手はそれを受け入れ、私はゴーグルを嵌めた。
◇
……ゴーグルを嵌めると、早速辺りが描写される。
ここは……通天閣の前? 大阪の?
私が動揺していると、目の前には、歴史の教科書で見たことがある蒙古戦士がいた。
見た感じ……男性かな? 髭も生えてるし。
「貴方が……マスター・ハン……さん?」
私は咄嗟に声を掛ける。
「……その口ぶり、初心者?」
「は、はい……そう……ですけど?」
「……なるほど」
男性は……若干笑っているように見えた。
「……俺は史上最強の蒙古戦士! マスター・ハン! ルーキーくんよ、仕事のストレス発散に付き合ってもらうぜ!!」
「え、えぇ……」
仕事の発散でこのゲームやってるの? まぁ最適ではある気がするけど……。
彼が名前を上げると、彼の頭上にHPと思われるバーが表示される。
「……ほら、早く名乗れよ! 時間来ると強制的にお前が負けになるぞ!」
「あ、すみません……私は……」
えぇっと、私のアバター名は……。
「……『リウ・ロン』! 青龍刀使い! 倒します!」
リウ・ロン、漢字で表すと「緑龍」
自分の名前、翠をもじった名前だ。
折角中華風のアバターだし、そういう名前が良いかなと思って付けた。
「へへ! 上等だぜ!」
彼は持っていた槍で素振りを始め、準備運動を整える。
私の頭上にHPが表示され、目の前に『Ready……』と字幕が表示される。
あぁなんか緊張してきた……。
『Fight!!』
字幕が流れると同時に、蒙古の戦士が、私に向かって槍攻撃を仕掛けてくる。
咄嗟に私は、後ろに下がってかわした。
「初心者の癖に、なかなかやるな! だが、制限時間以内に俺を倒せるかな?」
制限時間……ふと上を見ると、300からどんどん数字が減っていくのが分かる。
なるほど、5分以内か……さっさと片付けないと。
どう戦おう……そうだ、ここも映画を参考に戦ってみよう。
私は体操選手の如く宙返りをし、彼に向かって斬撃を繰り出す。
攻撃が命中したのか、彼は傷ついた場所を手で抑えていた。
なるほど、あくまでアバター故、装甲などはお飾りなのか。
HPバーをふと見てみると、彼のHPは確かに減っている。
「さぁて、俺の番だ!」
マスター・ハンはその重そうな装甲とは想像もつかない機敏な動きでこちらに近づき、槍を突き刺してきた。
それを避けきれなかった私は、刺さった場所を手で抑える。
ていうか痛い! 変なところリアリティだなこのゲーム。
「まだまだ、小手調べだぜ!」
怯んでいる私に向かって、彼は槍攻撃を繰り返す。
まずい……このままじゃ……負ける……。
「食らえ!!」
マスター・ハンの渾身の槍攻撃が命中し、私は背を地面に叩きつけてしまった。
彼はそのまま私の肩を踏みつけ、動けないようにする。
「はは……これで終わりだ。必殺!」
「必殺」という言葉に反応し、彼の必殺技ゲージがゼロになる。
それと同時に、彼の槍に光が溜まってきていた。
開幕戦が……負け? そんなのあり?
「蒙古統一撃!!」
彼は必殺技を叫びながら、その鋭い武器を私に向けてくる。
こんなところで……負けてられるか!!
「な、なに!?」
私は咄嗟に両脚で槍を受け止める。
ダメージは若干受けたが、致命傷ではない。
動揺するマスター・ハンに、私は渾身の力で立ち上がり、彼を吹っ飛ばした。
「女性に対してなんて野蛮な戦い方……嫌われますよ?」
「な、なんだと? このゲームに性別も人種も何も関係ねぇし、そもそも……」
「まぁ、いいでしょう。次は私の番です!」
私は青龍刀を自分の腕に一部のように振り回す。
彼のHPが徐々に徐々に減っていく。
それと同時に、私の必殺技ゲージが上がっていった。
そろそろ……必殺技が放てるな……どう料理してあげましょうか?
そうだ、弟が遊んでいたアクションゲーム……アレを参考にしてみるか。
「えぇっと……必殺!」
私の必殺という言葉と同時に、必殺技ゲージが減っていった。
必殺技の名前はどうしよう……うーんと、これだ!
「月龍回転斬!」
私はコマのように自分の身体を回転させ、マスター・ハンに必殺技をお見舞いする。
「待て待て待て! そりゃないだろ!?」
「これで終わりです!」
無数の斬撃が命中し、マスター・ハンのHPは……一瞬のうちにゼロになった。
『リウ・ロン Win!!』
目の前にそんな字幕が現れ、試合終了となった。
初のバトル、正直な感想は……。
「めっちゃ楽しい!!」
私は思わずガッツポーズをした。
「あぁクソ! 負けちまった……なかなかやるじゃねぇか、サービス開始時から遊んでいるが、お前みたいなルーキーは初めてだ」
「……え?」
戦いに負けたマスター・ハンがこちらに向けて手を差し伸べる。
私は先ほどとは打って変わってフレンドリーな姿勢の彼に困惑してしまった。
「バトルが終わったらそれでチャラ! それがこのゲームだろ?」
「え? あぁ……はい」
私は彼の手に答え、握手をした。
「今回は負けちまったが、次は絶対勝つ! またやろうぜ、リウ・ロン」
「はい、またやりましょう、マスター・ハン。ありがとうございました」
お互いに激励の言葉を掛けると……私の意識は、自分の部屋へと戻っていた。
◇
「初めてのバトル……最高に楽しかった!」
もっと……色んな人と戦ってみたい。
でも……今回は偶然勝てただけで、次は負けるかも……。
どうすれば……。
……というか、お風呂入るか、色々あって疲れたし。
私は着替えとタオル、その他諸々を持って部屋を出た。
「あ、姉さん。どうだった?」
「どうって?」
「リアルファイトだよ! やったんでしょ? どういうアバター作ったの?」
「あぁ、大陸の映画を参考にそれっぽい戦士にしたよ。バトルは……まぁ勝てたよ」
「えぇ!? すげぇじゃん! 今度一緒にリアルファイトやろうよ!」
「あぁ……うん」
今度一緒にリアルファイト……第三者から見たらただの決闘だ。
ちなみに決闘は犯罪らしい、決闘罪って言うそのままの罪状。
「にしても映画を参考かー、俺は他のゲームのファイトスタイルを真似てるけど、俺も映画を観て真似してみようかな」
「……真似か」
なるほど、他のゲームを参考……なら。
「ねぇ、父さんの持ってる大陸の映画のDVD、どこにある?」
「あぁ、リビングにあると思うけど……」
「……ありがとう、風呂先に入っていいよ!」
「……え?」
私は持っていた物を抱えて、リビングへと急行した。
◇
「ふぁー……」
「翠様、寝不足ですか?」
「なにやら体調がすぐれないようですが……」
「あぁ……うん、ちょっとね」
昨夜、大陸の映画をぶっ通しで観て、戦いの参考にした。
おかげで寝不足だ……授業中何度も寝そうになった。
「眠いのなら保健室で休んでみては?」
「ちょうど次は社会科ですし……寝てしまったら、あの先生怖いですから」
「あー……確かにそうかも」
取り巻きの女子二人が、私の事を心配してくれているようだった。
「あの先生」、井高野女子高校でそう呼ばれているのは、彼女しかいなかった。
「ほらそこ! リボンをもっと上げなさい!」
「あ、す、すみません!」
寝不足な中、そんな会話が響き渡り、私は思わず目を思いっきり開けた。
目線の先、廊下の遠くの方で、女性教師が身だしなみの指導を行っていた。
「噂をすれば、『堺先生』ですよ」
「ほんと、怖いですわ……」
指導を行っていたのは、社会科教師の「堺 千里」先生だった。
まだ若い教師だが、生徒に対して人一倍厳しい、噂によれば、他の教師にも厳しいとか。
教頭にも一目置かれているらしい。
「ほら! 谷町さん! なんですか、その格好は!」
「いいじゃないっすか、ピアスについて校則には何も書いてないじゃないっすか」
「そういう問題じゃありません! そもそも貴方は……」
堺先生は単髪の女子生徒を捕まえ、生徒指導を始める。
なんだろう……めんどくさそう。
「翠様、早く教室へ行きましょう」
「更なる逆鱗に触れちゃうかもしれませんし……」
取り巻きの二人の言う事はもっともだった。
私たちは足早に教室へと向かった。
◇
「よし! また勝利!」
あれから数週間、私はリアルファイトにどっぷりとハマっていた。
ゲームはあまり遊んだことがありませんが、これは楽しい。
ここまでハマるとは思わなかった。
「おっと、もうこんな時間……お風呂入ろ」
私はさっさと風呂の準備を整える。
……そういえば最近、挑戦するよりも、挑戦される方が多い気がするな。
なんなんだろう? 別にいいけど。
「あ、姉さん!」
「……どうしたの?」
部屋を出ると、待ち構えていたかのように、弟が声を掛けた。
「姉さん凄いじゃん!」
「……何が?」
「リアルファイトだよ! 地方ランキングに乗ったこと、何で教えてくれなかったんだよ!」
「地方……ランキング?」
どういう事だろう? というかそれ何?
「ほら見てよこれ!」
弟は携帯の画面を私に向ける。
「……これは?」
「これが地方ランキング! 姉さん5位だよ5位!」
「……え?」
私が……地方ランキングの……5位?
「ちょ、ちょっと待って! 私お風呂入るから!」
「あ、ちょっと姉さん!」
私は心の整理をするため、風呂へと向かった。
◇
「見間違いじゃない……本当だ……」
確かに、この辺の地域の地方ランキングで……私が5位になっている。
通りで挑戦を貰うことが多いわけだ……。
5位に私こと、リウ・ロン。
4位は……
「Dr.Plum……という人か」
名前からすると……何か専門的な地位にいる人だろう。
博士とか教授とか、はたまたお医者さん?
なんだろう……気になる。
「戦って……みたいな」
挑戦を送ってみるか? でも、もう夜も遅いし……挑戦受けてくれるかな?
「まぁいいや、物は試しってことで」
私はDr.Plumなる人物に戦いの挑戦を送る。
流石に寝てるでしょ、挑戦が返ってくるわけ……。
「えぇ!? 返ってきた!? はや!?」
数秒も待たずに挑戦が返ってきた。
待って待って! 自分で送っておいてなんだけど、心の準備が……って早く戦いの準備しなきゃ!
私は大急ぎでゴーグルを嵌めた。
◇
ワープした先は、高層ビルの屋上のように見えた。
なぜそのように見えたのかと言うと、強い夜風が吹き、周りが夜空に輝く星空のような、ビルの灯りに囲まれていたからだ。
そして、目の前には……。
「貴方が……Dr.Plum?」
Dr.Plumと思われる人物が立っていた。
白髪に白い白衣、そして片手片足が銀色に輝いていた。
あれは……機械だろうか?
髪型や体型から、女性に見えた。
「まさか貴方から挑戦を送ってくるとは想定外ですネ、ここ数週間地方ランキングを上がっていっていて、気になってはいましたが……なるほど、私よりも弱そうですネ」
「……何?」
Dr.Plumは開口一番、絵に描いたような挑発を言う。
私も思わず怒りを露にしてしまった。
「おっと失礼、私としたことがつい事実を口にしてしまいました、すみませんネ」
「……口は達者なようで、貴方も、見た感じでは戦闘に適していないような貧弱な体に見えますけど?」
私は挑発を挑発で返した……けど、思うように口が回らない。
ここは口論じゃなくて、力でどちらが上か表明しなければ。
「さぁて、申し遅れました、私は機械仕掛けの天才科学者、Dr.Plum!」
「自分で天才とはね……私は龍の戦士、リウ・ロン!」
名乗り合ったと同時に、試合開始の合図が流れる。
「さぁて、ちゃっちゃと片づけますよ」
Dr.Plumは開始早々、片手を見せびらかす。
「な、なに?」
私は彼女の行動に困惑を隠せなかった。
しかし、その困惑はすぐに解消された。
なぜならば、彼女のその腕が……ミニガンに変わったからだった。
過去にミニガンを使用する対戦相手は多くいた……だが、片腕がそうなる相手は初めてだった。
「先に言っておきますが、貴方が私に勝てる確率は……0%ですよ」
彼女はそう言うと、ミニガンを発射する。
私はそれを見切って、咄嗟に避けた。
「ほう? 中々やりますネ」
「貴方のような銃使いは何人も相手にしましたからね」
「私が銃使い? 舐められたものですね」
「……は?」
彼女は銀色の片足を見せびらかす。
私は嫌な予感を感じ、攻撃を仕掛ける。
「食らいなさい! ロケット砲!」
Dr.Plumの足からロケット砲が現れる。
私はそれを見切り、舞のように避けた。
これも映画を参考に覚えた技だ、これでいくつもの飛び道具を避けてきた。
「知ってる? 飛び道具ってのは遠くの敵を狙う物なの!」
私は彼女に近づき、青龍刀で一刀両断した。
彼女は切られた箇所を手で抑えている。
「ははは……近接武器を持っているのは、貴方だけじゃないんですよ!」
彼女は怯みつつも、片手をミニガンから違う物に変形させる。
それは……チェーンソーのように見えた。
「これで切り刻みますよ!」
彼女はチェーンソーで、私の身体を切ろうとする。
私はその動きを見抜き、スケートの技のように、上半身を後ろにし、避けた。
だが……私はもう一つの攻撃を見失っていた。
彼女はチェーンソーで攻撃すると見せかけて、鋼鉄の脚で私を吹っ飛ばした。
私はビルの手すりに激突した。
背中に激痛が走り、HPもかなり削られている。
「食らいなさい!」
彼女は足から再びロケット砲を発射する。
今度はその攻撃を避けきれず、攻撃をもろに食らってしまった。
痛い……痛いが、どういうわけか……楽しく感じてしまった。
なぜなら……。
「こんなに苦戦したの……初めて! ……面白い!」
「あらあら、ドMですか? ならば、さっさと潰されてくださいよ……必殺!」
彼女は私を貶しつつ、必殺技を発動させる。
彼女の片手が巨大な砲台に変わる……避けなければという思いもあったが、どんな技が繰り出されるのか楽しみな気持ちもあった。
「……プラムバスター!!」
なるほど……その砲台からレーザービームを出すわけか、過去にもいたな、そんな必殺技を出す人。
大抵の場合、一定方向にしか飛ばない、ならば……咄嗟に避ければいいだけ!
私はビームが飛んだと同時に、横に避けた。
ビームは手すりを貫通し、遠くにビルに命中した。
「な、なに!? ど、どこだ!?」
「……ここだよ」
私は彼女の後ろに回り、先ほどの蹴りのお返しをした。
それと同時に、青龍刀で切り刻む。
「痛い! 痛い! それは反則ではないですか!?」
「貴方の攻撃も大概でしょうが!」
気づかぬうちに、彼女のHPは私のHPとほぼ同じになっていた。
そろそろ私の必殺技を出そう……そうだ、この間見た映画を参考に、新しい必殺技を食らわせてやろう。
私は必殺を唱え、脚に血皮を集中させる。
彼女は完全に怯んでいる……チャンスだ。
「……満月蹴り!」
私は左脚を軸に、右足で回転蹴りをする。
私の右足がDr.Plumに命中し、彼女のHPは……ゼロになった。
『リウ・ロン Win!!』
「……よっしゃ!」
私は思わずかっつポーズをした。
……っと、Dr.Plumさんは大丈夫かな。
「……立てる?」
「……」
私が彼女に手を差し伸べると、それに応えてくれ、私の手を掴んだ。
「全く……雑魚かと思ったら意外に強いですネ、完全に負けです、参りました」
「負けてもその口は変わらないのね」
「申し訳ございませんネ……ま、次は絶対負けません、貴方の戦法は完全に覚えましたから」
「へぇ……ま、次戦えるのを楽しみにしてるよ、Dr.Plum」
「次は潰しますよ……リウ・ロンさん」
私たちは再選の約束を交わし……気が付くと、私は自分の部屋にいた。
◇
「翠様、今日は一段と元気が良いですね」
「……そう?」
「えぇ、何かいいことでもあったのですか?」
「まぁね」
取り巻きの二人は、いつものようにお世辞を言う。
まぁ、楽しいのは事実だ。
早く強い相手と戦いたい……そんな欲望があるのだ。
そんな欲望が強すぎて、私はあるものを持ってきてしまった。
ちょうど今は昼休み、それをやる時間は大いにある。
「ちょっとごめん、お手洗いに行って来る」
「はい……って、カバンも持って行くのですか!?」
「ちょっと待ってください! 翠様!」
私は二人の制止を無視し、カバンを片手にお手洗いへと向かった。
◇
「さぁて、今のうちに、3位の人と戦いましょうかね」
3位の人は「桜御前」という名の人物だった。
名前から推測すると……女性の武将という印象がある。
夜中に勝負を仕掛けようとするも、いっつも拒否されるか、そもそもログインしていない。
ならば、明るいうちなら開いているのかもと考え、今に至るというわけだ。
「挑戦……受けてくれるかな?」
学校でゲームをやるというのは、かなり緊張感がある。
しかも、相手が挑戦を受けてくれるかどうかも分からない。
果たして結果は……。
「……よっしゃ!」
桜御前さんが挑戦を受けてくれた。
やっぱり夜中はどうしても都合が悪いらしい、これはチャンスだ。
私は早速、カバンの中に仕舞ってあったあるもの……ゴーグルを嵌めた。
◇
ワープしたのは……和風の庭園だった。
どこかの観光地だろうか? そんな印象を受ける。
目の前に見える桜御前と思われる人物は……ピンクの忍者姿をしていた。
網目状のタイツにピンクの動きやすそうな和服。
なるほど、武将かと思ったら忍者なのか。
「お初にお目にかかる……拙者が地方3位のくノ一……桜御前でござる、夜中は修行中故、勝負を受けられなくて申し訳ない」
「あ、いえ、大丈夫ですよ」
おお、口調も忍者みたいだ。
こっちも名乗らなきゃな……っとその前に。
「あの……失礼を承知で言っていいですか?」
「……申してみよ」
私はさっきから思っている事を口にした。
「忍者なのに……ピンクですか?」
忍者って隠れなきゃいけないのに、ピンクは目立ちすぎる気がする。
忍ぶどころか暴れるために着てるみたい。
「……そなたの言っている意味が分からぬ」
桜御前さんには伝わらなかったようだ。
具体的に言おうか? でもなぁ……なんか余計なお世話な気がする……。
「忍者……ピンク……むむ!?」
……どうやら気づいたようだった。
「……よくよく考えたら確かにそうじゃん! なんでピンクにしたんだろう? これじゃあ目立つために……」
……あれ?
「あの……口調……」
「え? あっ……んん! これはだな、こちらの方が任務に適していると考えたからこう配色したのでござる!!」
「……今無理矢理『ござる』って言った?」
「……其方! 早く名乗らないか! さっさと勝負するでござる!!」
顔真っ赤じゃん……なんかかわいいなこの人。
まぁいいや、早く戦おう。
「私は青龍刀使いのリウ・ロン! いざ勝負!」
「改めて……拙者はくノ一の桜御前! 勝負でござる!!」
戦いの合図が流れ、私は戦闘態勢に入る。
相手は忍者だ、大体イメージはつくがどんな戦いをするか見当もつかない。
武士とか侍モチーフの人とは戦ったことあるけど、忍者は初めてだ。
「拙者から行くぞ!」
彼女はそう言うと、無数のクナイをこちらに向けて放った。
なるほど、まずは小手調べって感じ?
私はそれを青龍刀で弾き飛ばす。
「ほう、なかなかやるようでござるな……ならば!」
桜御前は一転して、刀を構えて突撃してくる。
なんだろう……隙が大きすぎる。
まぁ、こっちもやられるわけにはいかない!
私も両手に構えた青龍刀で、桜御前を攻撃する。
攻撃は……見事に命中した。
「よし!」
これで大ダメージを与えられ……。
「な、なに!?」
桜御前のHPは……減っていなかった。
しかも、私が斬ったのは、桜御前ではなかった。
私はその斬ったものに近づいた。
その斬ったものは……大木だった、しかも『ハズレ』と書いてある張り紙付き……。
「まさか……馬鹿な……」
私は思わず呆然としてしまった。
だが、私はすぐに正気に戻った、なぜならば……。
「ぐはぁ!?」
後ろからダメージを受けたからだった。
「これぞ忍法、大木擬態の術!」
私のHPは既に半分に近くなっていた。
まずい……このままじゃ……。
「ここで終いでござる……必殺!」
私は起き上がろうとするも、あまりの痛さに立ち上がれない。
ふと上を見ると、桜御前の必殺技ゲージがゼロになっていた。
まずい……早く避けなければ……。
「……阿僧祇撃!!」
桜御前が技名を叫ぶと……彼女は、複数人に増えていた。
これは……分身の術ってやつ?
分身した桜御前は、それぞれクナイや手裏剣、刀……他にも素手で攻撃を仕掛けようとする者もいた。
蹴り、パンチ、斬撃……阿僧祇撃という技名の通りたくさんの技を繰り出そうとしているらしい……まずいな。
どこか……どこかに抜けられそうな場所は……。
「……あった!」
私はすぐさま起き上がり、抜け穴に向かってスライディングをする。
……分身の中を掻い潜り、私は生還した。
後ろを振り向くと、分身同士で同士討ちを始め、桜御前は一人に戻り、怯んでいるようだった。
これはチャンス! 私は桜御前に向かって走り、青龍刀で切り刻む。
「ちょちょちょちょ! 今体制立て直してる最中なんだけど!?」
「問答無用! ていうかまた口調戻ってるよ!」
「あぁ……んん! やめるでござる!!」
完全に素の状態になっている桜御前に向かって、私は攻撃を続けた。
彼女のHPは既に私のHPと近くなっていた。
ここで必殺技をお見舞してやろう。
私は必殺技を叫んだ。
「月龍回転斬!」
私はコマのように回転し、桜御前を切り刻む。
「ちょちょちょ! 待ってって! そりゃないでしょ!?」
桜御前はもうキャラを維持できないくらい動揺していた。
このままどんどん行っちゃうか!
私は斬撃を繰り返し、気が付くと、桜御前のHPが……ゼロになった。
『リウ・ロン Win!!』
よっしゃ! 勝てた!
正直分身の術が来た時はどうしようかと思ったけど、行けた!
「あぁんもう! 体制立て直してるんだから攻撃しないでよ!」
「いや、そっちだって背後から不意打ちしかけてきたじゃん……あと、口調」
「あ……んん! 其方、素晴らしい戦いぶりであったぞ、拙者の負けでござる……」
「なんかもう、突っ込む気にも起きない……」
なんか強いし、面白い人だな、桜御前さん。
「次は絶対に負けないでござる! これにて御免!」
桜御前さんはそう言うと、ログアウトしていった。
……っと、こっちもそろそろ昼休みが終わる時間か、さっさと行こう。
◇
「あー楽しかった!」
これで3位の人に勝てた。
桜御前さん、変な人だったけど、今度は正々堂々と戦いたいな。
「さて、次の授業の準備するか」
私はトイレを出て、教室へと向かった。
すると、前方からピンクのスカーフを巻いた人が足早にこちらに向かってきた。
私は避けきれず、ぶつかってしまった。
「す、すまぬ……急いでいた故……」
「あ、えっと……大丈夫です」
どうやら上級生のようだ。
雰囲気的にそう感じる。
「怪我は無いか?」
「あ、はい……大丈夫です」
「そうか……拙者、修行がある故……これにて御免!」
先輩はそう言うと、再び足早に去っていった。
拙者……御免……。
「……まさかね」
◇
「ただいま!」
「おかえり、姉さん。またランキング上がってたよ!」
「でしょ? 凄いでしょ? これからリアルファイトするから、また後でね!」
弟に挨拶をすると、私は自分の部屋へと向かった。
……部屋に着くや否や、私は地方ランキングを見る。
2位の人は「こすも」という人だった。
こすも……平仮名で? 小学生かな?
まぁいいや、マスター・ハンさんも言ってたけど、このゲームにはそういうのは関係ない。
私は早速挑戦を送った。
すると……。
「はや!?」
数秒も待たず、挑戦が受け入れられ、私はすぐにゴーグルを嵌めた。
◇
ワープした先は……森?
辺りに木々が生えていて、風によって音を鳴らしていた。
目の前には子ども……とは到底思えない大人の女性が立っていた
身長が170くらいあって、魔女みたいな恰好をしている女性……そんな風に受け取れた。
片手には先端に宝石が付いた杖と思われるものを所持していた。
「へぇ、あんたがリウ・ロン……最近暴れてる青龍刀使いってわけね」
「あ、暴れてるって……」
人を何だと思っているんだこの人……。
というか、「こすも」って名前とは裏腹に、随分大人っぽい見た目だな……。
「ちょっと! 今失礼なこと考えたでしょ! 顔に描いてあるわよ!!」
「え、いやそんなことは……」
え? 顔に出てた?
まずいまずい……。
「……まぁいいわ。アタシはこの地方最強の魔法使い、こすも! あんたをズタズタにしてあげる!」
「私は青龍刀使い、リウ・ロン! 貴方を切り刻みます!」
試合開始の合図とともに、私は突撃した。
こすもはそれに対して……何もしてこない?
私は不安に思いつつも、斬撃をした。
「……スピカシールド」
こすもは謎の呪文を唱えると、目の前に光の壁が現れ、私は弾き飛ばされた。
……ていうか痛い! 自分のHPを見ると、少しだけだが減っていた。
「無様ね! アタシに近づくことはできないわよ!」
「な、なんて力……これが2位?」
やはり地方ランキング2位の地位は伊達ではないようだ。
ましてや自称とはいえ地方一番の魔法使い……油断大敵だ。
「ここからはアタシから行くわよ! レオファイア!」
再び呪文を唱え、彼女は杖から炎を出してきた。
危ない! 怖い! 正気!?
「あっつ! 熱い!」
避けたが……避けきれなかった……。
流石は2位……。
「……じゃ、さっさとトドメ刺しちゃおうかな、タウラスフリーズ!」
私が怯んでいる間に、こすもは呪文を唱えた。
彼女の杖から冷気が放たれ、私の脚が固まってしまった。
トドメ……この状態で必殺技を放つ気!? 嘘でしょ!? 早く何とかしないと……。
「必殺の……サジタリウス……ショット!!」
彼女の杖の先から巨大な光の矢が浮かび上がる。
アレを食らったら絶対ヤバい! 避けたいけど氷のせいで身動きが……。
「うおおおおおおお!! こうなりゃ気力だあああああああああ!!」
「これで終わりよ!!」
私は気合で青龍刀を足元の氷に向かって振るった。
気合で氷を破壊し、こすもの放った矢を間一髪で避けた。
あっぶなかったー……。
「なに!?」
彼女は動揺しているようだった。
今度はこっちの番だ!
私は咄嗟にコスモの後ろに回り、斬撃を繰り出した。
「ちょっと! 汚いじゃない! 正面からやりなさいよ!」
「人の事身動き取れなくした人が言う言葉?」
「ちょっと待ってって! 今呪文唱えるから! 待ってって言ってるでしょ!」
彼女の弱点は呪文を唱えないとまともに戦えない事……ここまでの戦いでそれを学んだ。
私は唱える隙を与えず、斬撃を繰り返した。
「そろそろこっちも必殺技!」
私は脚に力を籠め、必殺技を放った。
「満月蹴り!!」
私は渾身の力で回転蹴りをし、こすもにダメージを与える。
彼女のHPは……一瞬のうちにゼロになった。
『リウ・ロン Win!!』
やった……2位の人にも勝てた!
めちゃくちゃ嬉しい!!
「もおおおおおお!! 悔しい悔しい!! 唱える隙も与えないなんてずるい!!」
「いや……子どもですか?」
こすもさんはその身長や大人っぽい雰囲気とは裏腹に、全身をばたつかせて悔しさを露にした。
やっぱこの人……中身は子ども?
「……まぁいいわ、負けは負けだし、今回は認めておいてあげる……でも次は、必ずアンタをぶっ潰す! もう許してくださいって言わせてやるから!! そんでもってアタシにひれ伏すのよ!!」
「あ……はい」
なんだろう……この人結構怖いな。
凄い執念深さだ。
「……で、次は1位と戦うの?」
「えぇ、そのつもりですけど……」
「ま、アタシが言えることは……1位はマジで生半可な気持ちでやると死ぬってことぐらいかしらね」
「……え?」
1位の人ってそんくらいやばいの?
「……じゃあね! リウ・ロン」
そういうと、こすもさんはログアウトしていった。
1位……どんな人なんだろう。
◇
あれから数日、私は戦闘スキルを磨くため、戦い続けた。
学校でも、昼休みにトイレに籠ってリアルファイトをしていた。
全ては1位の人に勝つため。
隣町に遠征して向こうのランカーと戦ったこともある。
そして……その時は突然訪れた。
「ステゴロヴァンパイア……これって地方1位の人じゃん!」
1位から直々に挑戦が来たのだ。
「えぇ待ってよ! 心の準備が……」
どうする? 拒否する選択肢もあるけど……。
でも……1位の人からの挑戦、ここで受けなきゃ一生受けないかもしれない……ここは受けるか!
にしても、ステゴロヴァンパイか……ステゴロって確か武器を使わない、素での喧嘩を言うんだっけ? その上でヴァンパイア……吸血鬼と来たか。
ただ者ではないかもしれない……私は覚悟を決め、挑戦を受けた。
◇
ワープした先は、闘技場のような場所だった。
大陸の映画にも出てきた、周りがフェンスに囲まれたリング場……リアルでこんな場所あるんだ。
目の前にいたのは……長耳に青い髪の毛、ゴスロリみたいな……とにかくかわいい服に身を包んだ女の子のように見えた。
名前からは想像もつかなかった……てっきり屈強な男性かな? と勝手に思っていた。
「へぇ……お前がリウ・ロンか、なるほど、強そうだね……俺は強い奴が大好きなんだ!」
……見た目の割に口調は男性的だな。
でもアバターが女性なだけで中身が男性ってことも……まぁいいか。
「貴方が地方ランキング1位……」
「そう! 俺が地方ランキング1位のステゴロヴァンパイア! 名前の通り、武器は使わない……戦いはこの身体だけで十分だ」
「なるほど……故に私のような武器を使う者は邪道と……そういうことですか?」
「まぁな……とりあえず、さっさと戦おうぜ!」
彼女はやる気満々だった。
こっちも早く名乗ろう……だが、正直怖くて仕方がない。
恐らく体が震えていて汗が止まっていない。
相手にもバレているのであろうか?
「なんだ? 緊張してんのか?」
……やっぱりバレてた。
「あ、当たり前です! 地方1位が相手ですよ?」
「ははは! まぁ、そうビビる必要はねぇよ! お前なら俺と互角に戦える……そんな気がするぜ!」
「は、はぁ……」
……互角、本当にそうだろうか? 人に言われると照れるな。
とにかく、早く名乗ろう。
「私は青龍刀使いのリウ・ロン! 絶対勝ちます!」
「言うねぇ! 改めて、俺はステゴロヴァンパイア! お前を倒す!」
戦いを知らせる字幕が流れ、開幕早々、ステゴロヴァンパイアが蹴りを繰り出してきた。
私はそれを読んで、青龍刀でそれを受け止める。
「この程度は余裕か! じゃあ、これならどうだ?」
彼女は足を振り上げ、私に攻撃を繰り返す。
連続キックの嵐……凄まじすぎる。
その衣装とは想像もつかない器用な足技に、私は翻弄されていた。
これ……攻撃する隙なくない? ガードするのに精一杯なんだけど!?
「ほらどうした? お得意の斬撃は見せてくれないのか?」
……安い挑発だ。
その挑発……買ってやる!
私は隙を見計らって、彼女にキックをお見舞いし、両刀で切り裂いた。
「なるほど……なかなかやるねぇ……」
彼女のHPは減りはしたものの、まだまだ行けるようだった。
「それじゃ、こっちも行くぜ!」
ステゴロヴァンパイアはそう言うと、私の首を瞬時に鷲掴みし、押し倒した。
そのまま私に馬乗りになり、拳を私の身体にぶつける。
まずい……私は青龍刀で再び切り裂き、先ほどのお返しと言わんばかりに斬撃を繰り返した。
「やられてばかりじゃないってことだね……ならば」
彼女はそう言うと、私の片腕を掴み、膝蹴りで私の腕を折るかのように攻撃する。
あまりの痛さに、片方の青龍刀を落としてしまった。
ステゴロヴァンパイアは落とした青龍刀を踏みつけ……粉々にした。
こ、こええ……。
「まずは一本……もう片方も粉々にしてあげる」
まずい……私は向かって来るステゴロヴァンパイアに対し、まだ使える青龍刀で斬撃をするも、彼女はそれを見破り、脚でそれを吹っ飛ばした。
「ふーん、中々の切れ味みたいだね」
彼女は空中を舞った青龍刀を掴み、刃先を自分の指に当てて感想を述べた。
「ま、こんな玩具でここまで来れたことは素直に尊敬するよ」
「な、なに……?」
彼女はそう言うと、青龍刀を真っ二つに折った……。
「さぁて、これでフェアになったな、リウ・ロン……お楽しみはこれからだよ!」
私は戦闘態勢を整えることができなかった。
彼女の蹴り技に翻弄され、HPは半分に近くなっていった。
痛い……痛いのに……何もできない……私は青龍刀が無いと何もできないというのか?
「これで終わりだ! 必殺……」
彼女は蹴りを入れて私を倒れさせ、必殺技を唱えた。
「……吸血!」
再び馬乗りになったステゴロヴァンパイアは、倒れこんだ私の肩を掴み……首元に噛みついた。
「ぐはぁ!? はぁ……はぁ……」
あまりの痛さに、私は叫び声を上げる。
なるほど……こすもさんの言っていたことはこういう事か。
これはさすがに……ヤバい。
朦朧とする意識の中、HPを見ると、私のHPが徐々に減っていくと同時に、ステゴロヴァンパイアのHPは徐々に回復していっていた。
なるほど……これは確かにマジで生半可な気持ちでやると死ねる感じがする……。
これで……終わり? ここまで来たのに……こんなところで終わるというの?
嫌だ……負けたくない……負けたくない!
私は蹴りで彼女の身体に攻撃をする。
だが、彼女は離れようとはしなかった、それでも私は蹴り続けた。
こんなところで負けたくなかったから。
HPはまだある……まだあるんだ!
「必殺……」
私は必殺技を唱えた。
「……新月巴返し!」
私は脚に渾身の力を籠め、でんぐり返しの如く一回転をした。
ステゴロヴァンパイアはそれに対して驚愕の表情を浮かべ、首から離れた……だが彼女には驚いている暇など無かった。
私はそのまま、彼女の身体を地面に叩きつけた……全身を使って。
「いった! 嘘だろ!?」
ここからは……私の番だ!
私は起き上がるや否や、彼女に蹴りを加えた。
彼女の身体はフェンスに叩きつけられ、自身の身体を抑えていた。
「流石だよ……俺の吸血を止められたのはお前が初めてだ……リウ・ロン」
「お褒めの言葉どうも」
彼女は立ち上がって、再び構えた。
私も彼女の真似をするかの如く、拳を構える。
タイムアップまであと数十秒……ここで決めてやる!
「俺をぶっ倒す気持ちで来やがれ!!」
私たちはお互いに走り出し、お互いに脚を上げる。
そして……。
『Time UP!!』
そのままタイムアップとなった。
ここでHPが多く残っていた方が勝利になる……私は緊張のあまり、再び心臓が高鳴った。
勝ったのは……。
『リウ・ロン Win!!』
……私だった。
「やったああああああああ!!」
私は歓喜のあまり、ガッツポーズをした。
めちゃくちゃ嬉しい……ついに地方一位に勝ったんだ!
その勝利をたたえるかの如く……手を叩く音が聞こえた。
「おめでとう、リウ・ロン。勝負は勝負、俺の負けだ」
ステゴロヴァンパイアさんが、私を祝福してくれていたのだ。
「さぁて、勝負したことだし……会おうぜ、リアルで」
「……はい?」
唐突に彼女はリアルで……現実で会おうと約束してきた。
何この人……新手の出会い厨?
「まぁ、そのうち……ていうか明日会えるな! 平日だし!」
「……何言ってるんですか」
「じゃあ明日な! じゃあなリウ・ロン! 次は絶対勝つ!」
私に有無を言わさず、彼女はログアウトしていった。
一体何なんだ……明日会える?
明日学校だけど……まさか学校が特定されてる? でも私SNSやってないし……。
なんか怖いな……色んな意味で。
◇
翌日、万が一に備え、私は弟と一緒に家を出た。
彼女の口ぶりから察するに、私のリアルをある程度知っている可能性が高い。
口ぶり的にないとは思うが、私を殺害する気なのかも……負けた腹いせとかで。
弟と別れた後は……不安でいっぱいだった。
幸いにも、すぐに取り巻き二人と合流できたので良かったが……それでも不安だった。
そのまま慎重に歩いていき……無事に学校に着いた。
だが油断は禁物だ……警戒しておかないと……。
「……あら? 教室の前、誰かいらっしゃいますね」
「本当だ……確か隣のクラスの方では? なぜあんな所に……」
取り巻き二人が声を上げ、私もその方向を見た。
確かに教室の前には人が立っている……ボーイッシュな女子生徒。
確か彼女は……。
『ほら! 谷町さん! なんですか、その格好は!』
『いいじゃないっすか、ピアスについて校則には何も書いてないじゃないっすか』
『そういう問題じゃありません! そもそも貴方は……』
よく堺先生に注意されている谷町さんだ。
谷町さんは私を見ると……まっすぐこちらに近づいてきた。
「やぁ、お前が長堀か」
「え、えぇ……そうですけど」
谷町さんは馴れ馴れしく私に声を掛けてくる。
なんなんだ?
「ちょっと! 翠様になんて口の利き方!」
「用があるなら私たちを通してくださらない?」
取り巻き二人が私の壁になって谷町さんに注意する。
全く……余計なお世話だなぁ。
「谷町さん、私に何か?」
「おう! ちょっとここじゃなんだし……着いて来てくんない? 二人っきりで」
「……はい」
なんか……凄い重要な話なのでしょうか?
取り巻き二人もついて来ようとしたが、私が制止をすると、大人しくなった。
私はそのまま……谷町さんについて行った。
◇
「……ほら、ここだ」
「……ここは?」
連れてこられたのは、空き教室だった。
確か……今は無いPC部の部室……。
谷町さんが扉を開けると……中には既に三人の姿があった。
しかもそのうち一人は……。
「な、中百舌鳥さん!?」
「あ、ど、どどどど、どうも……」
中百舌鳥さんだった。
しかも、隣にいるピンクのスカーフを巻いている人……確か……。
「ほう、こいつがアレなのか……なるほど、意外な人物でござるな」
ござる……前に私にぶつかった怪しい上級生……そんでもってその隣には……小柄な白人っぽい金髪の少女が座っていた。
中学生? いや小学生か? あ、でもウチの制服着てる……。
「ちょっと! また失礼な目で見たでしょ! リアルでもそんななわけ!? ありえないんだけど!」
……ん? また? リアル? まさか……。
「……てなわけで! こいつが地方ランカーである俺たちをボコボコにしてくれたリウ・ロンってわけだ!」
……地方ランカーである……俺たち?
「貴方……ステゴロヴァンパイアさん!?」
「そうだ! リアルでは初めましてだな! 隣のクラスの谷町 美波だ! よろしくな!」
まさか……アバターの姿とは想像もつかない……口調は同じだけど。
「じゃあ、そこの忍者は……」
「2年の巽 桜花……またの名を桜御前でござる、お見知りおきを」
……リアルでも変人だな、失礼だけど。
じゃあ、あの生意気な口調から考えると……。
「貴方が……こすも?」
「そうよ! アンタにボコボコにされた九条 コスモ! ちなみに2年だから敬語使いなさいよね! 後輩!」
こすもさん……年上だったんだ。
なるほど、コンプレックスであんなアバターに……。
待って、てことは消去法的に……。
「まさか中百舌鳥さんが……Dr.Plum?」
「ははははは、はい! わわわ、私がそうです! あの時は失礼なこと言って申し訳ございません! わわわ、私、リアルファイトしてる時は性格が……そそそそ、その、多重人格というかなんというか……とととと、とにかく、アレは私の本心じゃなくて……」
「いいよいいよ! 気にしてないから……」
まさか、あの口調からは想像もつかなかったが……彼女がDr.Plumらしい。
「……それで? なんでアタシたちを集めたわけ?」
九条先輩が谷町さんに対して疑問を投げかけた。
確かに、何で今になって……。
「いやさ、リアルファイトの地方ランカーが全員同じ学校で凄い偶然だと思わない?」
「そうだけど……ていうか、どうやってアタシたちのリアルを特定できたわけ?」
「いやさ……お前らSNSの管理はちゃんとしておいたほうが良いぜ?」
……谷町さんは、私以外全員のSNSのアカウントから、リアルを絞り出せたのだと言ってきた。
こ、怖い……やっぱこの人怖い……。
「じゃあ、私はどうやって?」
「あぁ、お前の場合、ここ数日、昼休みの時にトイレでリアルファイトしてただろ? そこからわかったんだよ、俺、毎回同じ時間にお前を見てたから分かったんだ」
「は、はぁ……」
えぇ……凄い洞察力だな、この人。
「……で、本題だけど、俺たちでリアルファイトの世界一を目指そうぜ!」
……え?
「リアルファイトの……」
「……世界一で……ござるか?」
「また大層な計画ね……」
「わわわ、私たちが……ですか?」
突然の提案に、私たちは困惑の声を上げた。
「だってさ、折角地方ランカーがこんなに揃ってるんだぜ? こんな奇跡、そうそうないだろ?」
「それはそうだけど……世界一は……」
「ま、俺もすぐに世界一は無理だと思うから……まずは日本一を目指そうぜ!」
先ずは日本一……か。
「正直……私はいい提案だと思いますね」
私は率直な感想を述べた。
「拙者も……行けそうな気はするでござるな、これも何かの縁でござる」
「……まぁ、言われてみればそうかもしれないわね」
巽先輩と九条先輩も賛成してくれた。
「かかかかか、仮にそれを目指すとして……ななな、なぜこの教室に?」
中百舌鳥さんが手を上げて質問をする。
確かに……なんでわざわざこんな所に?
「いい質問だね! さすがはDr.Plum! ここを俺たちの部室にしようって魂胆だ!」
「ぶ、部室!?」
……ということは、部活を作ろうってこと!?
「いやいやいや、それ出来るの?」
「だって、人数はちょうどいいし、できそうだろ?」
谷町さんは当然のような表情で質問を返した。
「だが……顧問の教師が必要ではござらぬか?」
巽先輩が私も思っていたことを投げかけてくれた。
確かに、そこはどうするつもりなのだろうか?
「そこも大丈夫! 既に目星は付けてあるんだ……」
「……え?」
「ま、それはまた昼休みで! 一旦解散しよう! みんな授業に遅れちゃうぜ!」
谷町さんはそう言うと、扉を開けて足早に出て行った。
なんなんだ、あの人は……。
私たちは困惑しつつも、教室を出た。
◇
昼休みになり、私たちは再びPC部の部室に集合した。
そして……。
『谷町さん! 何するんですか! 返しなさい!』
『こっちっすよ! 先生!』
外からそんな騒がしい声が聞こえた。
先生……この声……まさか……。
「おーっす! お待たせ! 顧問の先生連れてきたぜ!」
「こ、顧問!? 谷町さん、一体何を……ていうか皆さん、勝手に教室に入って何をしているのですか!」
入ってきたのは、ゴーグルを持つ谷町さんと、鬼の堺先生だった。
「いやぁ、俺びっくりしちゃいましたよ、まさかあの堺先生が昼休みに職員用のトイレでVRゲームを楽しんでたなんてねぇ」
「ち、違います! これは生徒から没収して……」
「あれぇ? このSNS誰かなぁ? マスター・ハン? 見た感じ男性になりきっているけど、内容が女性的だなぁ」
谷町さんは携帯を取り出して、画面を先生に見せびらかす。
どうやらSNSのアプリが映し出されているようだ。
「……呟きから見ると職場はこの辺みたいだなぁ……行きつけは学校近くのラーメン屋さん、家はそこから数分……誰だろうなぁ? しかも、お昼にリアルファイトにログインしてるみたいだなぁ……『職場でリアルファイトしてる!』って呟きもある……」
「た、谷町さん……」
「あれれぇ? このラーメンの画像……スープから顔が反射してるなぁ? 皆! これ誰だと思う?」
谷町さんはそう言うと、私たちにスマホを見せびらかす。
スープから反射した顔……これは。
「……堺先生? てことはマスター・ハンって……先生!?」
私は驚きのあまり、大声を上げてしまった。
あんな屈強なアバター使っている中身が先生とは……。
私が動揺をしていると、先生は……土下座をした。
「お願いです! 誰にも言わないでください! 何でもしますから!!」
先生は厳しい姿から一転、涙ぐるみで訴えかけた。
すると谷町さんは先生と目線を合わせるように腰を落とした。
「へぇ、何でもするんだ? じゃあ、俺たちのお願い、聞いてくれるよね? 先生」
「な、なんですか……」
谷町さんは私たちを集合させ、再び口を開いた。
「俺たち、リアルファイトで世界を目指したいんですよ……先生、リアルファイト結構上手いんでしょ? なら、指導にも向いてるんじゃないかって思ったんすよ……」
「……どういうことですか?」
確かに、マスター・ハン……先生は「サービス開始時から遊んでいる」と言っていた。
暦でいれば彼女の方が長い。
「俺たち……リアルファイトの部活を作りたいんすよ! それの顧問に、堺先生がなってほしいんすよ!」
「そ、そんなの……認めません!」
「あれぇ? 何でもするんじゃありませんでしたっけ? 俺、口が軽いから、教頭先生に堺先生が学校でリアルファイトしてること話しちゃうかもしれないなぁ」
「……わ、わかりました、顧問、やります……やればいいんでしょう!」
堺先生は吹っ切れたのか、立ち上がった。
「言っておきますけど! 私の指導は厳しいですよ! 全員、生半可な気持ちで挑まない事! いいですね!」
「は、はい!」
「そう来なくっちゃ! 先生!」
「心得た!」
「わかりました、先生」
「ははははは、はい!」
……ここ、井高野女子高校のPC部の部室で、新たな部活……リアルファイト部が結成した瞬間だった。
「なんか嬉しそうだな」
「そ、そうですか?」
谷町さんが、私に声を掛ける。
そんなに嬉しそうだっただろうか? あんまり自覚が無いな……。
「てかさ! 俺たちタメだし、そういう硬い話し方はやめろよ! 『翠』!」
「……え?」
「俺たちはもう部活の仲間なんだからさ! もっと話しやすい話し方で良いぜ! 皆もそう思うだろ?」
谷町さんは皆に向かって問いかける。
話しやすい話し方……か。
「そうでござるな! もう少しフレンドリーに行きましょうぞ! 翠殿!」
「ふん、まぁ、アタシに勝ったから特別に認めておいてあげる、翠」
「わわわわ、私も……話しやすい話し方にするから……翠ちゃん!」
……これが、友達……対等な関係というやつなのだろうか?
答えは分からないけど……そんな気がする。
「……うん! 皆よろしく! 美波! 梅! コスモ先輩! 桜花先輩!」
私たちはお互いに、拳を合わせた。
「さ、お互い認め合ったところで! 昼休みが終わるまで練習しますよ! 皆さん!」
「「「「「はい!」」」」」
私たちはゴーグルを嵌めた。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
まだまだ書きたいことがあったのですが、これ以上書くと文字数オーバーになりそうなので……申し訳ございません。
お時間がございましたら感想、評価よろしくお願いいたします。
☆以下、設定と書ききれなかった内容☆
リアルファイト・オンライン(以下RFO)
最新のアバター格闘ゲーム、主に小中学生に人気。
誰でも簡単にキャラメイクできることで人気を博しているが、そのゲーム性から「残酷だ」という意見が根強い。
レーティングはCERO:Cだが、もっと上げるべきだという意見がある。
近年、このゲームのプロ大会が開かれている。
長堀 翠/リウ・ロン
成績優秀、スポーツ万能な井高野女子高校の一年生。
「周りが自分を褒め称えるだけで、対等に見てくれない」という悩みがあったもののRFOに出会い、その楽しさに目覚め、美波たち4人と拳を合わせ意気投合、部活を結成する。
父親が大陸の映画のファンで、自身もそれを嗜んでいる。
取り巻き二人がいるが、ただのお膳立てとしか見ていない、部活に入った後も入部しようとしてくるため鬱陶しく感じている。
自分と対等に戦う美波に興味がある。
テストでライバル関係だった梅ともっと仲良くなれそうなことに嬉しく感じる。
中百舌鳥 梅/Dr.Plum
翠の同級生、内気でコミュ障。眼鏡をかけている。
幼いころに両親から虐待を受け、もう一つの人格、「Dr.Plum」が産まれる。
特に父親からの虐待が酷く、男性恐怖症である、女子高に通うのもそれが理由。
両親が事故で他界し、叔父夫婦に引き取られる。
一緒に住むことになった従姉にRFOを勧められ、地方4位まで伸し上がる。
RFOをすると、「Dr.Plum」が目覚める。
Dr.Plumは梅の平常心を保つために産まれた存在であり、ことあるごとに毒を吐く他、自分を世界一の天才だと考えている。
ライバルとして認めてくれる翠に興味がある、いつも気にかけてくれる千里を慕っている。
巽 桜花/桜御前
井高野女子高校の二年生。
小学校の頃に訪れた観光地の影響で、忍者に憧れる。
その後、忍者の特撮番組を見て、本格的に忍者になりたいと考え「修行」に励むようになる、ただしその影響で友達ができたことがなく、周りからは変人と見られている。
口調も忍者口調だが、気持ちが高ぶると素に戻る。
RFOも修行の一環で始め、地方3位まで上り詰める。
修行の影響でモデルもびっくりな体型をしていて、コスモに嫉妬される。
自分を極限まで追い詰めた翠に興味を抱く。
九条 コスモ/こすも
井高野女子高校の二年生だが、見た目は完全に小学生。
ハーフであり、父親が大手家具販売会社の社長で日本人、母親は北欧の家具職人の娘。
そのロリ体型から病弱で、小学校の頃から体育も毎日のように休んでいた。
そんな時に観た魔法少女アニメの影響で、それに憧れを持つようになる。
中学時代にRFOのサービスが開始したと同時に始める。
自身のアバターのような大人な体型に憧れていて、桜花に嫉妬し、彼女の身体をよく触る。
自身をボコボコにした美波をライバル視している他、翠も新たなライバルとして見ている。
谷町 美波/ステゴロヴァンパイア
井高野女子高校の一年生。
シングルファザー家庭で、兄と弟がいる、その影響か自身も男性のような恰好をし、口調も男性のようであるが、本当はアバターのような、かわいいものに憧れている。
兄と弟の影響でゲームが大好きでゲーセンにも通っている、ファイトスタイルはアクションゲームや格闘ゲームを参考にし、アバターの見た目はRPGで好きなヒロインを真似た。
SNSなどで地方ランカーであった桜花、梅、コスモを特定し、翠もランカーであったことを知ったことで「こいつらとなら世界を目指せるかもしれない」と考え始める。
翠を最大のライバルとして見ており、千里を面白い先生だと見ている。
堺 千里/マスター・ハン
井高野女子高校の社会科教師、29歳。
厳しい一面があるが、それは「かわいい生徒たちにみっともない姿をして欲しくない」という気持ちの表れで、本当は生徒たちと仲良くしたいが、当の生徒たちからは嫌われている。
そのストレス発散目的でRFOを始め「自分じゃない何かになりたい」と考え、好きな歴史上の人物を参考にした男性アバターを用いる。
リアルファイト部の顧問になる前から梅の事は何かと気にかけている、顧問になってからは尚の事気にかけるようになる。
美波からは弱みを握られているが、初めて対等に話してくれる生徒に出会えたことに喜びを感じている。




