第98話 さあ、宴
お待たせ致しましたー
『『『「『『いただきまーす!!』』」』』』
龍羽様以外の全員で簡易体となり、ガラクタ達を肴に……宴を開くこととなった。
何故、龍羽様は簡易体を取らないと言うと。
「僕の簡易体は精霊王だから、めちゃくちゃ大きいんだー」
あの時の。
龍羽様へ最初にガラクタを召喚した時の、巨大な岩のようなお姿。あれが……どうやら、龍羽様の簡易体のようだとか。
たしかに、それではたくさん用意したとは言っても、このガラクタゴミらをすぐに食べ終えてしまうだろう。
とりあえず……まだ二回目だが、ガラクタの一つを手に取った。
鏡の破片だが……何か、甘い香りがするのだ。
怪我をしないように、そっと持ち上げて……かぶりついた。
『……甘い』
噛むのはまだ難しいが、ぺろぺろと舐めていくと……溶けていくようだ。
これは、あれだ。
二日前に、珀瑛様にいただいた……飴玉。キャンディーと同じ味わいだ。酸味はなくて、ただただ優しい甘さが広がっていくが。
バリ、ボリ!
ゴリ、ボリリ!!
他の方々は……慣れていらっしゃるからか、強靭な歯をお持ちでかみ砕いて食べていらっしゃった。
私もやってみようとしたが……鏡の破片のはなかなか難しかった。
『おん? ミラ、噛めへんの?』
同じ破片を召し上がっていらっしゃった珀瑛様は、美味しそうに噛み砕いていた。
『……どうも難しくて』
『せやなあ? 慣れもあるやろうし……あ、酒飲んでみるか?』
『お酒……ですか?』
人間だった頃は……成人はしていても、あの王族らは口にもさせようとしなかった。
まだ子供だ、早いとかなんとか言われたからだけど。
珀瑛様は、凰華様が出現させたお酒の瓶の方に行き……鼻をすんすんさせてから、ひとつを持って戻ってこられた。
『これなら、ジュースみたいに甘いで〜』
『……大丈夫でしょうか?』
『とりあえず、ひと口でええよ』
コップらしきものを出現してくださり……瓶の中身を注ぐと、薄ピンク色の可愛らしい液体が入っていく。香りが甘い以外に何かがあったが……これがお酒の香り?
破片を一度置いてから受け取り……香りを良く嗅いでから、口につけてみたが。
『ハク!? それは一番酒精が強いものぞ!?』
『『え!?』』
『あ』
「あ〜……」
皆様の反応が……少し遠いところにあるような気がした。
けど、ふわふわして……お酒は甘くて美味しくて。
コップの中身を……私はすべて飲み干してしまったのだ。
次回はまた明日〜




