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第90話 名決め
お待たせ致しましたー
『名……名か』
我は、狭間にて……大精霊となった、あの愛し子にどのような【名】と【字】を贈ろうか悩んでいた。
神らしくもないが……それだけ、あの愛し子は特別。
無論、彼奴らも特別ではあるが……このように楽しく悩むなどいつぶりだろうか。
『……ミラジェーン、アクエリエス』
人だった時の名。
その響きも悪くはないのだが……精霊王らは、なんと呼んでいたか?
たしか……かなり短い名の呼び方をしていたような?
それもそれで良いかもしれぬが。
『……悩む』
下手な名と字は与えとうない。
愛し子であるまま、大精霊となったのだ。それにふさわしい名を与えたいのだが。
早く与え、器を完全なものに安定させてやりたい気持ちもある。
その焦りが……我の思考を鈍らせてくれる。
ほんに、風の者が惹かれたのもわからんでもないくらい……愛しい子よ。
『……ミラ……と呼ばれていたか?』
それを受け入れているのであれば。
我の心は決まった。
すぐに、愛し子の元へ降りることにしたのだった。
次回はまた明日〜




