第88話 これもお約束?
お待たせ致しましたー
「ミ〜〜ラ〜〜!!」
その【名】を楽しみにしていると……。
空から、緑斗様のお声が聞こえてきたのだ。
「ミラ、こっち」
と、珀瑛様に肩を抱かれて引き寄せられた直後。
緑の塊が、お花畑に落ちて……少し地面が凹んだ。
原因はもしかしてでもなく、緑斗様でいらして……。
「何すんの!?」
緑斗様にお怪我はないようだが、昨日とほぼ同じやり取りだった。
「阿呆か!? 昨日と同じことしようとして!!」
「え〜? ミラも大精霊になったじゃん? 大丈夫大丈夫!!」
「どこが大丈夫や!?」
肩を抱き込む力が……少しずつ強くなるにつれ、私の胸がドキドキするのも止めたいくらいだが。嫌……ではないのだ。
「ほんにのぉ」
次に、少し温かな手に引き寄せられた。
振り向けば、本日もとてもお美しい凰華様で……少し、苦笑いされていた。
「凰華様」
「あれらは放って置いて良い良い。ミラ、不調はないかえ?」
「い、いえ。これといって」
昨日のように……倒れることなどは特にない。
どこも痛くないし、気持ち悪くもない。
凰華様に何度も頷くと、右手にいきなり冷たさを感じた。
「……うん。大丈夫」
手を握ってくださっていたのは……翠雨様だった。
「スイがそう言うのなら、大丈夫じゃな?」
「……うん。波も穏やか」
「波……ですか?」
「此奴は『水』を司るからのぉ。人間であれ、精霊であれ水は必要不可欠。身体に流れる水を感じることが出来るのじゃ」
「……まあ」
私は……『宙』を賜ったが、どのような事なのだろうか?
もともと、ほとんど学を受けていないがゆえに……よくわかっていないところが多いが。
「……大丈夫。ミラも、自然と……わかるようになるから」
考えていることが顔に出ていたのか、翠雨様が少し微笑まれた。
ほとんど……表情は見られなかった翠雨様の、貴重な微笑み。
少し驚いたが、私は『はい』と頷くことにした。
次回はまた明日〜




