第86話 あの子の形
お待たせ致しましたー
ミラの……精獣化の『形』が定まっていないことを。
『……それは、致し方ない。と言うより、気づいていないのか?』
「……と言いますと?」
聞き返すことが出来るのは、僕が精霊王だから。
神ご自身も気になされていないのか、麗しい瞳を軽く伏せられた。
『……あれは【愛し子】。それ其の物が『形』よ』
「…………なるほど」
となれば、人間のまま……人型の形態其の物が、精獣化と同じに等しい。
でなければ、少し時間が掛かっても……ミラのような飲み込みの早い子が、形態変化出来ないわけがない。
ハクはちょっと大雑把なところはあっても、リョクがからかって言うような『馬鹿』ではないからね?
『……その『形』が気になるのであれば。ひとつ、与えてやらねばな』
「何にございましょう?」
『……【名】だ』
「!!」
そう言えば……忘れかけていた。
僕らの『形』のひとつ……【字】を与えられた名前が、ミラにはない。
今も、呼びやすいからと……人間だった時の呼び名で呼んでいるだけだから。
『それについては……少し考えておく。『形』については、お前が告げよ』
「……仰せのままに」
そのお言葉を受けてから、僕は意識を遠のかせて……自分の身体に戻った。
目を開けても、ハクやミラはまだ来ていなかった。
時間はそんなかかっていないし、ふたりにはのんびりおいでと言ったから、まだなのも仕方がない。
(……名、か)
ミラの【字】はどんなのになるだろうか?
なんだか、僕までワクワクしてきた。
次回はまた明日〜




