第85話 精霊王でもわからない
お待たせ致しましたー
ミラの……精獣化の『形』が定まらない。
これは、珍しいことだ。
数千年の差はあれど、人間が精霊もしくは大精霊になることは稀にある。
精霊の里の、端を任せている璐羽もその一角。
簡易体になるのも、精獣化になるのもすんなりだった気がするが。
ミラの場合、簡易体も不思議な形態だが……精獣化は全然ダメだったらしい。
ハクに、ひと通りに報告を聞いて……遠し見で確認を取ったけど、『形』が定まっていないのが感じ取れた。
精獣化は文字通り……獣の形態を取るんだけど、ミラには『何も』なかった。
ハクは銀虎。
オーカは不死鳥。
リョクは龍。
スイは亀と蛇。
僕は、麒麟。
他の大精霊も似たり寄ったりだけど……ミラには『無い』。
簡易体も、人型というのは大変珍しい。
これまでの大精霊にもいないんだよね?
神の愛し子などの、称号が付与された……特殊な大精霊となったからか。
だとしたら、ミラの精獣化が『無い』のもそれなのかも。
ハクとミラには、ゆっくりおいでと伝え……僕は僕で、神との交信を試みた。
見て判断は出来るかもしれないけど……出来ることはしてあげたい。
ミラは……僕らの大恩人だからね?
たとえ、神の導きがあってもだ。
意識を浮上させ、神の領域に転送させる。
精霊王だからこそ出来る、僕だけの力だ。
辿り着いた場所では……玉座のような椅子に、神が腰掛けられていたのだった。
『……何用か、精霊王?』
「……お聞きしたいことがございます」
僕は、神に最敬礼をしてから……ミラの事を聞くべく、口を開けたのだ。
次回はまた明日〜




