第84話 好きなサンドイッチ
お待たせ致しましたー
しかし……そううまくいくはずもなく。
精獣化の方は、簡易体の時のように……何度試してみても、変身をすることが出来なかった。
「……はぁ、はぁ」
いくら息を切らしていても、何も変化しないことに変わりない。
手本代わりにと……珀瑛様が先に精獣化になられても、私にはコツも何も会得出来なかった。
『ん〜〜。これは、龍羽様に一度見てもろた方がええなあ?』
「……そうですね」
簡易体もだが……私はまだ人間から大精霊になったばかり。違うことが多くて当然なのは仕方がない。
ひとまず、休憩も兼ねてお昼ご飯にしようと……食堂ではなく、テラスと呼ばれる……外の景色を楽しめる場所で食事をすることになった。
私には、先に喉が渇いたからだろうとぬるめの紅茶をたっぷり飲ませていただいたが。
『お待たせ致しました!!』
ポフム殿達が……今日もたくさん、ご飯を用意してくださった。
大精霊となったことで……食事を多く食べる必要は無くなったらしいが……こちらでご飯をいただくようになってからは、まだまだ私には必要だとわかり。
珀瑛様からも、遠慮なくたくさん食べろとおっしゃっていただけたので……ゆっくり、たくさん食べることが出来た。
しかし……勢いよく食べるのは恥ずかしいので、少しずつ口にするが。
「ありがとうございます、ポフム殿」
『なんの! たくさん召し上がってください!』
「はい」
美しいサンドイッチを見ると……どれから食べていいか悩むが。
気に入ってきたのは、『マヨネーズ』と言う黄色のような白っぽい調味料を使った、『サラダ風』の具材だ。
卵だったり、魚の油漬けだったり……それらを細かくして合わせることで、まろやかで食べやすい味付けになるのだ。
これが……白いパンと非常によく合う。だから、毎回ついつい食べ過ぎてしまうのだが。
「ミラ、食べながら聞いて?」
珀瑛様が、ふいにそうおっしゃるので……私は口にサンドイッチが入っていたため、頷くだけにした。
「ミラの精獣化……龍羽様に念話で確認したら、まだ『形』が定まっていないかもしれんらしいわ」
その『形』が定まれば……自然と変化出来るらしいが。それがいつになるかもわからない。
なので、昼食後に……龍羽様のところに来て欲しいと。
それには、私は口の中のものを食べ終えてから『はい』と答えた。
「……あの、移動はひょっとして」
「おん? 俺の精獣化やけど」
「い、いえ……」
あのもふもふにしがみつけるのが……想う相手ということもあり、大変嬉しかった。
次回はまた明日〜




