第79話 いけない食べ方
お待たせ致しましたー
その日のお夕食も……前日と同じように、とても豪華で。
私が好きになった、あの中が白いパンも!
神への祈りを手早く済ませ、珀瑛様から『食おうや』と言ってくださってから……まずはパンを。
ひと口食べると、お昼の『サンドイッチ』に使われていたパンと同じかそれ以上にふわふわで甘くて……。
もうひと口、と食べていると……風珀様からなぜか軽く肩をつつかれた。
【ミラ。ちょっといけない食べ方をしよう】
「……え?」
「あれか? フー?」
【ミラは必要以上に細い。少し肉をつけるにも……あれは最適かもしれない】
何を? と思っていると……風珀様は別のパンを半分に割り。そこに……大量のバターを挟んだ。それだけを私に渡してくださった。
「こ、これを?」
【食べ慣れると病みつきになる。まずは、ひと口】
「は……はい」
少量どころか、こんなにもバターを贅沢に……。
あの王族に囲われていた最初は……遠慮なく使えていたけれど。
とにかく、これは私のために……風珀様が提案してくださったのだ。食べないわけにはいかないと……少し大きく口を開けてかぶりつく。
すると……どうだろうか。
【美味しいでしょう?】
「……はい」
もともと、パンが美味しい理由もあるだろうが。
そこに……少し冷たいバターのこってりした味わいと塩気が、パンとよく合う。バターをかじることがなかったので、少し不思議な味わいでがあったが……風珀様のおっしゃる通り、少しずつ病みつきになってしまい。
あっという間にひとつを食べ終えてしまったのだ。
「一食に一個がええでー? ミラは丸っこくてもかわええやろうけど。適度が一番や」
「……か」
珀瑛様に、『可愛い』と言っていただいた?
初めて……ではないと思うけれど、そうさらりと言われてしまうと……胸のときめきがひどくなって、少し苦しい。
想いを寄せている相手だからこそ……だ。
「ん? ミラ、どした?」
「い、いえ!」
その後にも、美味しいお食事をいただいたはずなのに……胸のときめきのせいで、少ししか味などを感じ取れなかった。
次回はまた明日〜




