第78話 今は……
お待たせ致しましたー
ミラに……言えるだろうか。
龍羽様からは、かいつまんで説明はされたにしても……自分の故郷が、あんな状況になっているのは。
自分としては……『忘れる』と言う選択をしたとは言え。
ミラは、めちゃくちゃ優しい良い子や。虐げられていたからって、育て親に等しい王族を憐れんでいたくらいやねん。
そいつらが……神の怒りに触れ、悶え苦しむ以上に『死』に程近い苦痛を味わっとる。あれは……いずれ、死ぬだろう。
それだけでなく、土くれと化した……ミラが召喚した『財宝もどき』に怒りに狂った周辺諸国から、襲撃以上に……戦争を仕掛けられるのも時間の問題。
あのモーディアスは……いずれ、滅ぶ。
それは……ミラとしては、問題ないと思うだろうが。
気がかりを残しているとすれば……ミラの心の拠り所にしてた、実の両親。
王城の様子を見てから……俺は水鏡で国中を探しまくったが、それらしき人間はどこにもいなかった。
まさか……とうの昔。
ミラを城に連れてきた後くらいに。
殺されでもしたのだろうか……?
それは……考えられなくもないんで、とにかく探しに探しまくったが。
ボロい、そこそこの作りの屋敷を水鏡で写して……納得してしまいそうになった。
中を確認したら……悲惨な光景ばかり。
白い骨が……あちこちに転がっていたんや。
(……言えるわけない。自分の親とかが殺されていたなんて)
龍羽様にすぐに伝えたが……『待て』とだけしか、返事がなかった。
知らないミラは……今俺の前で、軽く宙を浮いていて機嫌がとてもよかった。
関わった連中の現状を知らんのもあるが……今はあかん。
ミラ自身にも……神がどうにかしてくださらなければ、大精霊にもきちんと転身出来なかったんや。
だから今は……まだ知らせとうない。
飯が待ち遠しい気持ちを壊したくなかった。
「珀瑛様?」
仲間になっても、結局言葉遣いは直らんミラが俺を呼んだ。
それに、ちょっと嬉しくなって考えるのを止めた。
「ん?」
「大精霊になりましたけど……その、私もゴミを糧にできるのでしょうか?」
「……あー」
その質問に、璐羽の方はどうだったか……思い出すのに、少し時間がかかった。
あれから千年やし、すっかり忘れてたわ。
次回はまた明日〜




