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第66話 気になる尻尾

お待たせ致しましたー

 しばらく……本当に泣き続けてしまい。


 気がついたら、私達は……花畑の上で横たわっていた。


 寝て……しまっていたのだと思う。


 龍羽(リュウハ)様も、凰華(オウカ)様も。


 翠雨(スイウ)様も緑斗(リョクト)様まで。


 静かに寝息を立てていたのだ。


 珀瑛(ハクエイ)様は? と思うと、すぐ後ろで寝息が聞こえてきた。ゆっくりと振り返れば……。



(……珀瑛様)



 背を向けていらっしゃったが、よく眠っているようだ。


 ただ、肩が上に下に動くにつれて……お尻のあたりにある細長いものが、ウニョウニョと動き出すのが気になった。たしか……これは尻尾?


 簡易体でも、精獣のお姿にでもあったような気がしたが……このように、じっくり見る機会がなかった。


 自分には無いものに……少しだけ、少しだけだと……手を伸ばしてみれば。


 指先で軽く触れると、くねんと横に曲がったのだった。



(……こう言うもの?)



 まだ起きてはいらっしゃらないようだけれど……寝てても動くのは、やはり不思議だ。


 あの城にいた頃も……特に愛玩の魔物や動物に触れる機会など特になかった。王族は……とにかく、財宝を欲しがっていたから。



(……私の召喚したものは。もう意味のない、ガラクタやゴミになっているそうだけれど)



 神の御怒りに触れ……あの王族は滅亡の危機になっているそうだけれど。


 故郷だった、あの場所に未練があるとすればひとつだけ。


 やはり……両親が今はどうなっているのか知りたかった。


 たとえ、どんな形であれ……彼らが生きているのなら。今はどうなっているのか。


 心残りがあるとすれば、それくらいだった。


 皆様が起きてから、それを聞こうと心に決めると……まだ手は珀瑛様の尻尾に触れていたようで。


 決意と同時に、思わずぎゅっと握ってしまったのだ。



「うひゃっひゃっひゃ!?」



 珀瑛様が驚かれ、起きてしまわれた。


 私はびっくりして、さらに強く握ってしまった。



「ちょっ!? な、なんや!!?」


「も、申し訳、ありません!!」



 すぐにパッと離せば、尻尾がびたんびたんと左右に動いて、花を軽く叩いた。


 どんな仕組みがあるのかはわからないが……珀瑛様が大きく肩を上下させているのも気になった。とりあえずは、謝罪したけれど。



「……ミラ?」



 こちらに振り返ると、珀瑛様の目端にうっすら涙が浮かんでいた。



「は、はい」


「今……何したん?」


「え…………っと…………尻尾、触って」


「あー……俺だけやしなあ? こん中でこれ生えとんの」


「す、すみません! 可愛らしくて、つい」


「……かわええもんちゃうけど」



 涙を軽く拭ってから、何故か頭を軽く撫でられたのだった。それだけで、焦っていた気持ちなどが落ち着く気がした。



「……珀瑛様?」


「せや。ミラも大精霊になったんや。なんか、姿が変わるはずやけんど……まだ成り立てやから無理か?」


「私もですか?」



 まだゴミなどは食べれないだろうけど……皆様のように、やはり姿が変えられるのだろうか?


 どうすればいいのか、わからないけれど。

次回はまた明日〜

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