表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/147

第59話 神の処置

お待たせ致しましたー

 狼狽えるでない、と精霊の子らには告げたものの。


 この変化は仕様がない。


 愛し子の内に……溜まりに溜まった、『膿』のようなもの。


 あの愚かな、王族から受けた……謂わば、『呪詛』。




 妬み



 恨み



 辛み



 苦しみ



 蔑み




 それらが……精霊になる前に、この子が受けてしまった繋がりだ。


 まだまだ、この子は無垢ゆえに。


 純真過ぎるゆえに。


 我の予想をはるかに越えてしまうくらい……優しくて、愛おしい子だ。


 風の精霊は、厭わずに触れてしまったが……急がねば、またこの子の身体は蝕むのを止めやしない。


 消滅させるのは簡単だ。


 だが、一度やならず二度もこのようになった。


 であれば……あの王族が受ける枷を増やせばいい。


 未だに、反省の色を一向に見せようとしない……愚かな人の子。末代まで呪うことは簡単だが……子はこれ以上増えることはないだろう。


 なら、あの者らに還すまでだ。



【…………()け】



 我は手を愛し子にかざし……靄を払った。


 払った靄は、愛し子から剥がれていくが……予想以上の量だった。それだけ、この子が抱え込ませていたものも……あの王族から受けた仕打ちということ。


 どこまで……愚かなことだ。


 滅ぼすだけでも生ぬるい。国民は全てとまではいかぬが……あの国を埋めてしまおうか?


 それだけでも、生優しいかもしれぬが。



「……み、ら……」



 精霊らが我の行動を見ておるようじゃったが、うちひとつが靄の影響を受けておるのを思い出した。そちらも払ってやれば……風の精霊は、すぐに我の前に膝をついた。



「……神よ。ミラは……この愛し子は、助かるのですか!?」



 己とて、辛い目に遭ったのに……愛し子を優先するとは。


 それほど……この愛し子を、本来の意味で愛おしく思っておるのだろう。


 だから、我は強く頷いた。



【案ずるでない。峠は越した……今なら、手を握ってやると良い】



 まだ目を開けぬと言うことは……余韻があるかもしれぬが。


 風の精霊は、すぐに愛し子の手を掴み……優しく、しかし強く握ってやっていた。


 他の精霊らも囲んでやっていたが……それほど、この愛し子はこの子らを救ってやったのだろうな?



「……神よ。我々の力量不足でした」



 虹の目と翅を持つ王の称号を与えた精霊は……深く、深く我に腰を折った。



【お主らのせいではない。あの王族とやらが……どこまでも、愚かなだけよ】


「……そうかもしれませんが」


【今頃……苦しみ以上のモノを味わっておるだろう】



 さて、あれらはどうなっておるか。


 思念で、ひとつ探ることにした。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ