第52話 心配をかけた
お待たせ致しましたー
珀瑛様が、泣いていらっしゃる。
私のために?
私だけのために?
不謹慎ではあるが……とても嬉しく思えた。
痛みがなくなってからは、すんなりと起き上がることが出来て……まだ握っていただいていた、珀瑛様のお手を上を空いている手で包み込んだ。
「……ミラ?」
「ありがとうございます……珀瑛様。私はもう大丈夫です」
「痛うない?」
「はい。もうすっかり」
強く頷くと、いきなり目の前が真っ白になった。しかし、気絶とかではない。何か……もっと温かなものに包まれたような。
「ほんまか、ミラぁああ!? もうどこも痛くないん!? 身体は熱くないけどぉ!!」
理由はすぐにわかった。
珀瑛様に……抱きしめられたのだ!!
ヴェールの上に、少し冷たいがあたたかな水が落ちてきたけど……それほど、珀瑛様にご心配をおかけしたことに、だんだんと冷静になれたのだ。
「…………ご心配をおかけしました」
「……ほんま、平気?」
「はい。大丈夫です」
少し顔を上げて、出来るだけ笑顔になると……珀瑛様はさらに泣いてしまわれた。
「……馬鹿虎。早く離しなよ? ミラが涙と鼻水で汚れる〜」
「ほんにのお?」
「仕方……ない」
他の大精霊の方々にも、とてもご心配をおかけしたから……私は、珀瑛様に断りをいただいて、最敬礼で皆様に謝罪をした。
「ご心配をおかけしました……」
「ミラは悪くないよー?」
服を軽くつまみ、龍羽様が私に話しかけてくださった。
「龍羽様?」
「今ステータスも見たけど、ミラは完全に精霊化したね? しかも、大精霊のクラスまで進化出来た。だから、ずっと、ずーっと……この里に居ていいんだよ?」
「……本当ですか?」
私が珀瑛様と同じ大精霊に?
自分でもまだ信じられなかった。
だけど、龍羽様は強く頷かれた。
「しかも、属性も面白いね? 宙と地だよ」
「「「「宙!?」」」」
「これ以上にないってくらい、最高の同胞だよね?」
どうほう……つまりは、お仲間になれたと言うことだろうか?
それが本当なら……とても、嬉しい!
珀瑛様と同じ、大精霊になれたのなら!!
だけど、ひとつ気になったことが。
「龍羽様……私のステータスに、聖女の称号がまだあると言うのは?」
「あるよー? ミラ、自分では鑑定出来なかったの?」
「……以前は。けど、どうして」
「神が勝手に、愛し子から称号は取らないよ? それに、僕らを救ってくれたんだから……付与されたままで当然!!」
「……そう言うものなのでしょうか?」
「そうだよ」
まだ信じられないが……精霊となっても、聖女の役割を与えられているのなら。まだまだ、皆様のお役に立てると言うことだ!
次回はまた明日〜




