第45話 聖女への魔力循環
お待たせ致しましたー
「抜け駆けはいかんぞ、リョク」
「……僕ら、もいた」
私がぐずぐずと泣いてしまっていると、今度は凰華様や翠雨様も空から降りて来られた。昨日初めてお会いした方々だが……どことなく、御顔に艶があるような気がした。
よく見れば、緑斗様に珀瑛様も。
「お、おはよう……ございます。皆様」
「うん! ミラ、おはよう!!」
そう言えば、朝のご挨拶がまだだったと最敬礼で告げると……本日も緑斗様に抱きつかれた。力いっぱいなのと、ふくよかなお胸が顔に当たって……とてもドキドキしてしまう。生みの親との記憶はあまりないが、このように柔らかなのか……と同じ女でもドキドキしてしまうのだ。
「これ、リョク。一人だけ抜け駆けはいかんと言ったであろう? 妾らにも触れさせよ」
「オーカはあっついじゃん!」
「昨日も言ったが、加減はするわ! 後々の事も考えて、早う」
「ちぇ」
「あとあと?」
よくわからないでいると……温かなものに包まれる感触が。
「ほうほう? 魔力はあまりじゃが、気力の回復は早いの?」
温かいだけでなく、またふわふわとしたお胸の感触……これは、今度は凰華様に抱きしめられたと言うこと!?
ただ、温かくて……気持ちよくて、昨日から好きになったお風呂のような感じがした。つい、凰華様の装束の端を掴んでしまうくらいに。
「……あったかい、です」
「ほっほ。母のようではないじゃろうが……妾の熱さもいいものじゃろ?」
そして、法衣の上から何度か手でさすっていただくと……体の奥に、何か力が溢れる感じがしたのだ。失った魔力が、満ちていくような。
「……今のは?」
「妾の中の……炎の魔力を与えたのじゃ。安心せい、昨日お主からもらった……あの珍味なゴミから循環させたのを一部返しただけじゃ」
「? 何故?」
「見たところ、ミラは一部精霊化しておる。より一層馴染むには、大精霊の魔力を循環させるのが良い」
「んじゃ、私もー!!」
「……僕、も」
よくわかっていないが、緑斗様や翠雨様にも同じようにしていただくと……さらに、魔力が体に満ち溢れていった。
そして、最後に……珀瑛様にもしていただけたのだが。
(い、いい匂い!!)
まるで、壊れ物を扱うような優しさに……これまで以上に、離れがたいと思ってしまうほど。
珀瑛様からの魔力が……一番体に馴染んでいく気がした。
だからこそ、私はここで。
皆様方に、私の召喚魔法を披露したいと言うと。
「ミラのご飯〜!!」
「い、いの……?」
「無理はしておらぬか?」
「せやで?」
「私が望んでいるのです。おまかせください!!」
今なら……皆様方に満足していただける、とても大きなゴミかガラクタを出せそうだ!!
次回はまた明日〜




