第39話 聖女の好きなもの
お待たせ致しましたー
その精霊は……のろのろと岩場から降りて来られ。
ちょうど、私の前まで来ると……パッと私が手を広げれば、ふわんと私の腕の中に入って来られたのだ。
『んふふ〜。良い匂い〜〜落ち着くぅ〜〜』
すりすりとすり寄ってこられるのが……ふわふわの鳥の羽も触れてくるので、その……物凄く!!
(さ、触りたい!! わしゃわしゃしたい!!)
けど……この方は間違っていなければ、大精霊様かもしれない。珀瑛様には……散々触れてしまったのに、今更な部分もあるが。不敬に思われることは……したくない。極力!
でも、ふわふわの羽の誘惑が!!
『……おい。璐羽』
と、いきなり珀瑛様の不機嫌そうなテレパシーが聞こえたと同時に。
私の腕の中から、大精霊様が忽然と消えてしまった。
慌てて、珀瑛様を見ると……物凄く不機嫌そうでいらっしゃる珀瑛様が大精霊様を、咥えていらしたのだ。
『なぁに〜? あ、ハクぅ?』
『なぁに? やないわ!! これ幸いにっちゅー感じでミラに擦り寄るな!! この女タラシ!!』
『え〜? 良い匂いするし、いいじゃん? 減るもんじゃないし〜』
『減るわ!!』
珀瑛様が……怒っていらっしゃる??
私は特に不快に感じていないのだが……何か、珀瑛様が怒る要因があったのだろうか??
だけど、思い出したことがあったため、私は珀瑛様に大精霊様を離すようにお願いした。
「珀瑛様! この方に……召喚魔法のアレを」
『! ……せやな。けんど、龍羽様の循環でだいぶマシのようやけどな?』
『え? なになに?? 何かくれるの??』
「はい。すぐにお出ししますね!」
本日二回目ではあるが。
体に魔力が満ち溢れている今なら……何回でも出来そうだ。
とはいえ、無茶は出来ないので……まずはいつも通りの召喚魔法を披露した。
【遺跡の石灰石。蒼の世界では、価値のないガラクタです】
と、鑑定結果にはあったが……消えた魔法陣のあった場所には……龍羽様に最初の時出したのと似た、瓦礫のようなものがたくさん出てきたのだ。
『うわ〜〜!? なにこれなにこれ!? 自分が食べて良いの〜〜!?』
『全部はあかん』
と、珀瑛様が飛び出しそうな大精霊様を押さえて……空いている前足で、ちょいちょいと手招きのようなことをされると……瓦礫の一部が消えたのだ。
「……今のは?」
『今日は何箇所も回るんや。一部を他の連中に渡せるように、魔法で収納したんや。……ほら、ええで』
ジタバタされていた大精霊様を離されると……大精霊様は『わーい!』と声を上げて、瓦礫を食べ出したのだった。何度見ても……不思議な光景だ。
最後のおひとつを口に入れた時に、ふわふわの体が光り……人型になられた大精霊様は、羽根に覆われた美しい青年の御姿に!!
「ありがとう〜!! 美味しかったよ〜〜!!」
簡易体の時と同じ話し方で私のところに来られると……いきなり、私を強く抱きしめてきた!?
びっくりしたが、すぐに人型になられた珀瑛様に引き剥がされたので……そちらにドキドキしてしまった。だって、完全にではないけど抱き止められる腕の回し方だったから!?
次回はまた明日〜




