第36話 朝日を浴びる大精霊
お待たせ致しましたー
夢のような一日を過ごした翌日。
私は……目を開けても、粗末なあの城での部屋ではなく……大精霊・珀瑛様のお屋敷で目を覚めたことが出来た。
寝巻きもだが、寝ている布団などは肌触りなどがとても素晴らしく……本当に、あの城ではないのだと、心から安心出来た。ふかふかで、ゆったり沈む感じがとても心地よかった。
(……ああ。もうあそこではない)
日々、怯えた気持ちを抱く必要はない。
精霊界に来て……私は私なりの役割を与えられたのだ。
精霊の方々には……私の召喚出来る、ガラクタやゴミが命の糧になるのだと言う事実。
それを昨日だけでなく……今日も行うことで、お役に立てるのだ。嬉しくないわけがない。
【ミラ、おはよう】
壁から、すーっと中に入ってこられたのはお屋敷の精霊殿……風珀様だった。
「おはようございます、風珀様」
【よく寝れたようだね?】
「はい! ……向こうにいた時は、明日が来るのは嫌でした。また、何も役に立たないからと罵られるばかりで」
【ミラはそんな子じゃない……私達を救ってくれた。さ、朝ご飯食べるのに身支度しよう】
「……はい」
可愛らしく怒って下さった風珀様に、朝の身支度の作法を教えていただき……また、昨夜着たのとは違うワンピースに袖を通すように言われ。
聖女だった法衣は、出かける時に着替えるように……とのことだったので、きちんとベッドの布団も直してから食堂に行くと。
私は……一枚の絵画を見てしまったかと思った。
(……お美しい)
先にいらっしゃった、珀瑛様だ。
椅子に腰掛けられ、何かお茶を飲まれているようだが……窓から差し込む朝日が、あの方の銀の御髪をさらに輝かせて……とても、神秘的に私の目には見えたのだ。元気な方だが、やはりお美しさは大精霊そのものだと……私が想いを寄せているのが、畏れ多いと思うくらい。
だけど、でも。
私はその想いに、枷をかけることは……もう出来ないでいた。
「ん? おお、おはようさん。ミラ」
「……おはようございます、珀瑛様」
私に気づくと、まるでお日様のように元気に微笑んでくださるのも……また好きだった。
「今日もよろしゅうなー? たくさん、朝飯食おうや?」
「ありがとうございます。……あの、珀瑛様」
「おん?」
「その。ゴミは召喚しなくても良いのでしょうか? 精霊様方の糧はそちらだとお聞きしましたが」
そう。
昨日、珀瑛様には一度しかゴミは口にしていない。
他の方々を助けた後は……私に合わせているかのように、普通の食事しか口にしていないのだ。
「あー。大丈夫や。あれは魔力を補填する方が主な目的やねん。腹満たすんなら、ヒトの食事でも大丈夫なんよ」
「……ご無理、なさっていませんか?」
「大丈夫大丈夫。ミラも何回もは無理やろ? そっちの方が無茶やし」
「……わかりました」
実は、私のわがままだが。
あのもふもふのお姿……もう一度、拝見したかったの、だ。
次回はまた明日〜




