第35話 話を聞いて気になった
お待たせ致しましたー
珀瑛様とのお話は……とても、『楽しい』ことばかり。
龍羽様のところで別れた大精霊の皆様方のことや。
この精霊界の成り立ちなどを。
教養などが、ほとんど無い私にも……わかりやすく教えていただき。
私はベッドで横になっていたが、珀瑛様が面白おかしく身振り手振りされるのに……何度笑ったことか。
あの城にいた頃とは、大違いだ。私なんかに……まだ笑顔が出来ることが残っていただなんて。
「……まあ。そのようなことが」
「リョクはああ見えて、結構アホやで? そのフォローに回るんは、いっつもスーや」
「頼もしい方だと思っていました」
「そりゃ場合によってはな? 一応、天を司る大精霊の一角やし」
珀瑛様のお話によると。
普通の精霊はともかく……大精霊には、通常の属性以外にも『天』と『地』を司るようになるようで。
『天』はお空の状態や、さらにその上……私に分かりやすく言うと、お星様の属性に連なるところに部類するそうだが。そこに関与する特別な属性だとか。
逆に、『地』。
地面だけでなく、さらにその奥底の地底火山など。炎の属性である凰華様の補助をされるのが、珀瑛様の司る地の属性だそうで。
かなり簡単に教えていただいたが、精霊から大精霊になる時に……その属性は決まっているそうだ。
一瞬……その。
凰華様と珀瑛様が、良い仲だと思ってしまい……。
「……珀瑛様は、凰華様と……ご夫婦なのですか?」
などと、聞いてしまった!?
「……へ? オーカと?? なんでなん??」
しっかりお耳に届いていたようだが、珀瑛様は手をパタパタと左右に振られた。
「……違うのですか?」
「ちゃうちゃう! 大精霊の属性云々で番になるわけやないで? 大昔の場合はあったかもしれへんけど、今の俺らはないわ」
その事実を聞くと……少し、ほっとしてしまった。凰華様には大変申し訳ないが……その、珀瑛様がお独りだとわかって……嬉しくなってしまったから。
「その。凰華様はお美しいですし」
「あんなババアは嫌や」
「ば!? え?」
「ちょぃ、言い過ぎたけど……あーゆーのは好みちゃうねん。俺的には、ミラみたいなかわええ子がいいわ!」
「わ……たし、ですか?」
「おん」
それは……その。
期待をしても……いいのだろうか?
まだ出会ったばかりでも、お互い……などと。
あの城にいた時に、何も口出し出来なかった……すべてに怖がっていた私には出来なかったことを。
今なら……と、起き上がって口にしようとした時に。
【花風呂の準備、出来た】
風珀様が壁からするりと出て来られたため。
お話は……一旦、中断となってしまった。
「しっかり温まってきぃ?」
「……はい」
珀瑛様はずっと笑顔でいらした。
そのお隣に……少しでも近づけるのであれば。
明日からの……あの召喚魔法でまたお役に立てるのなら、頑張ろうと……私は強く心に決めた。精霊の方々に出会ってから……私は少しずつだが、心から力が溢れるようだ。
何も出来ないわけじゃないから……とこの目で見たからだろう。
とりあえず、風珀様ともう一度お風呂に向かえば……泡だけでなく色とりどりのお花が浮いていて……本当に贅沢な、とため息を吐いてしまった。
次回はまた明日〜




