第34話 夢の正体
お待たせ致しましたー
ミラが起きる少し前。
俺は……『視て』しもうたんや。
ミラ自身が抱えとる……真っ黒でドロドロしたもんを。
「……こりゃあ」
ミラをあてがう部屋のベッドに寝かせて、すぐやったわ。
ミラの身体から、黒い靄が出現して……ミラを包み込むように広がっていく。こんなどキツいもんを、こんな幼いヒトの子供が抱え切れる量やない。
何か……『憑かれ』させていたっちゅーことや。
「……考えられるのは」
龍羽様がくれた情報や。
ミラの居った……一応故郷とも言える、モーディアス王国。その国で、ミラから絞れるだけ絞りとった……異界の財宝とかが、全部土くれに変わったという事実。
それに加えて、神からの処罰があったとくれば……まだ死んでいないそいつらの……怨嗟とかなんやらが、ミラに降り掛かってしもうたんや!?
「……くそっ。どこまで性根が最悪なんや!」
こんなか弱い女の子に……どんな重荷を背負わせ続けるんや?
親からも引き離し、満足のいかない奴隷……いいや、それ以上に最悪な環境でしか育てず、自分らに都合の良いことだけさせてきた。
必要なものがないと解れば……さっさと捨てる薄情さもだが。
俺は……ほんまに怒ったで!?
「フー! 来てや!!」
【……これは大変】
天井からすり抜けるように出てきたフーに、俺はミラから満タン以上に与えられた魔力を。それを自分のに変換させて、フーにも手を繋ぐことで少し分け与えた。
「龍羽様には、ちょぉ済まないが……先にあのアホンダラらに仕返ししたるわ!」
【了解。この靄……全部送り返せば】
「ミラも楽になると思うわ」
フーと協力して、靄に魔力を送り……小さな球となったら、そいつを窓を開けてくれたフーに目配せして。
【とーんでけー!!】
ボール投げのように、薄闇の空に向けて投げつけた。
すぐに靄だった玉は見えんくなったが……あの速さだったら、神からの処罰に上乗せされるやろな?
因果応報という奴やで!
「う……う、ん……」
ミラが起きそうになったが、俺らはどうすべきか。
フーは、泡風呂だけでなく花風呂の準備もしてくると……さっさと行ってしまい。
俺は俺で……適当に本でも読むことにしといた。のは建前で、ミラの様子を観察したわ。
(…………風呂で綺麗になったせいか、精霊並みに美人な嬢ちゃんになって)
肌は純白に近い陶器のよう。
ちっちゃい唇は綺麗なピンク色やし……なんや、触ってみたい思ってん。
なんてことを考えた時に……俺は気づいてしもうた。
(……あれ? 俺もしかして)
精霊になりかけかもやけど……ヒトの子に惚れた?
俺みたいな奴が!!?
気づくと、自覚まであっちゅーまで……ミラが起きた時には、顔面取り繕うのにえらい忍耐力使ったわ!!
次回はまた明日〜




