第30話 水と天の大精霊は
お待たせ致しましたー
あの子は……ハクのところへ、行っちゃった。
仕方がない、こと。
そのハクが……僕らのところに、連れてきてくれたんだから。
(けど……出来れば、選んでくれたかった)
それは……無理な願いだったかもしれない、けど。
ハクをすぐに選ぶくらい、ミラはハクに心を許していた。たしかに……僕と違って、ハクは親しみやすいし話しやすい。
ミラのこれまでは……ほんの少し聞いたけど……ヒトでもなんでもやってはいけない事ばかりの仕打ちを受けていたんだ。
僕も滅多に怒らないけど……あれは仕方がないこと。
ヒトとて、精霊とて……身勝手、に……痛めつけていい理由があって、良くない。
だからこそ……僕は怒った。
けどそれは……精霊王、様の龍羽様も同じだった。さらに、神も既に御怒りで。
僕らが……何かをする前に……既に、そのヒトの子らに処罰を与えられていた。
「……仕様が、ない」
ミラが、僕らには宝の山を召喚出来るのに……ヒトにはそうでないと断言して、痛めつけていた罰だ。それだけ欲深い卑しい心が……神の御怒りに触れたんだ。
今更……後悔したところで、遅い。
「……とりあえず。急ごう」
僕は今……自分の領土に、向かっている。
龍羽様が快癒したことで、次第に魔力の循環が行われるだろうけど……自分の領土は、とりあえず……自分でしなくては。
雲が地面スレスレ……の場所。
濁った大きな湖の上に浮かんで、僕は……両手を空に上げた。
『我が力……広がれ、広がれ。この地に、世界に』
ミラから……もらった、たっぷりの魔力を使って、僕の魔力に変えて……領土に浸透させていく。
さらに早く広がるのに、僕は僕が紡げる唄を使って……水を空を、綺麗にしていった。
少しして、空も水も綺麗になっていくと……僕の周りに、精霊達が集まって来た。
『『『スー様ぁ!!』』』
『凄いです! 凄いですぅ!』
「……よかった」
本当に、ミラのお陰だ。
あの子がいなきゃ……僕も、だけど。精霊達も元に戻らなかった。
選んではもらえなかったけど……何か、あげたい。
食べ物らしい、食べ物を口にしてないけど。
僕の得意とする水で……何かしてあげたいな。
皆を呼んで、水遊びとか?
それも……楽しいかもしれない。
事勿れだった僕に……楽しいって、思う気持ちは初めてだ。
まずは……何からしようかな?
次回はまた明日〜




