第29話 緑と天の大精霊は
お待たせ致しましたー
「あ〜〜、バカバカ。ほんっと〜に、馬鹿だなあ?」
私は、今自分の領土に向かっている。
精霊王様である龍羽様が無事に快癒したことで、精霊界の循環はゆっくり行われるだろうから。
かと言って、私も自分の領土に行って、自分の配下の子らを快癒させなきゃだけど。
それでも、私達を助けてくれた『ミラジェーン=アクエリエス』って女の子に何かをしてあげたかったのにー!!
「神が先に動かれていたんだもん〜。私らの出る幕ないじゃん!!」
ミラを痛めつけていたらしい、バカなヒトの子らをギャフンと言い聞かせたかったのに!!
神!!
ずるい!!
私も何かしたかったのにぃい!!
龍羽様の水鏡越しに見てたけど……末代まで続く呪詛をかけていたんだもん。ありゃ、私らの出番まるで意味無しになるよぉ〜。
「それに……ハクに持ってかれたぁ」
誰って、ミラ。
あんなかわい子ちゃん、私の手を取ってくれたら緑の恵みをこれでもかと食べさせてあげたのにぃ。
結局は、刷り込みのせいなのか……単純にハクが良かったのか、あのバカ虎の手を取って……あいつの領土に行っちゃった。
そりゃ、ハクは面倒見が良いし……いい奴ではあるけど。
「女としてはショックぅ〜」
まあ、これでお別れじゃないし、遊びに行けばいい。
そのためにも……私は自分の領土に着いたら、枯れかけている地の上空に浮かんで、両の手を上に上げた。
『我が力……広がれ、広がれ。この地に、世界に』
ミラからもらった、あのガラクタを食べたことで得た魔力。
それを私の魔力に変換させ……綿毛にして、地上に降り注いだ。
綿毛って言っても、小さな花じゃなくて拳ひとつくらいの大きさ。
それが枯れかけていた緑に触れると、すぐに元の美しい緑へと変わっていく!!
(やっぱり、ミラは凄い!!)
簡単に、大精霊の魔力を満タンにしてくれたんだから!
この魔法を使っても、ちっとも疲れないんだもの!!
「あ〜……あのゴミ、また食べたいー」
ちょっと固いけど、口に入れると蕩けて……まるで、砂糖とか果物を食べた時のような甘さを感じた。
あの時は、凰華とかと食べたけど……出来たら独り占めしたかった! なんてね?
「さーて! お土産作るためにも、屋敷に行こう!!」
待ってて、ミラ!!
次回はまた明日〜




