第28話 炎と地の大精霊は
お待たせ致しましたー
ほんに、阿呆よのお?
精霊王でいらっしゃる、龍羽様の快癒にならびに……我らの快癒も済んだ後。
妾は、自分の領土へ向かうのに飛んでいた。
せっかく、龍羽様が乗り気でヒトの阿呆共に処罰を降そうとしたが……それは既に為されていた。
他の精霊どもではなく、妾らを生み出した『神』からの処罰。
あの腐った王もだが、王太子などもいずれ順に掛かるであろう。神から与えられた……天罰と言う呪いを。
でなければ、ミラが報われん。
「……ハクのところへ行くと決めおったが」
あれは……確実に、惚れておるのお?
男は翠雨もおったが……龍羽様でもなく、あの者は珀瑛の手を取った。
悔しがっていた緑斗も言っていたが……おそらく、刷り込みもあったじゃろう。あやつは、懐が大きい。受け入れたものはとことん甘やかすことはあるが……それが、逆にミラにはこの上ない喜びじゃったのだろう。
今までが、ある意味奴隷のような扱いを受けていたのだから。
「……妾を選んでも同じように甘やかしておったが」
それでも、ハクについて行けばと後悔したやもしれん。それほど……ミラはハクを信頼し切っていた。妾らを助けるために、わざわざ精霊の世界へ連れてくるほどじゃからな?
「……さて。妾も妾で」
領土に着いた。
岩肌と溶岩が目立つが……ちょこちょことうずくまっている精霊達がおる。
あの者らに、ミラから頂戴したガラクタからの魔力を循環させねば。
『我が力……広がれ、広がれ。この地に、世界に』
両の手を上に上げ……炎を顕現して、その地に降り注いだ。
一瞬、火事のような光景になったが……問題はない。
『『『凰華様〜〜!!』』』
その中から、何体もの精霊らが……妾の前にまで飛んできおった。魔力に満ちて、とても生き生きとしておったわ。
「うむ。大事ないか?」
『はい〜。このような魔力……どのように?』
「妾らを助けてくれたヒトの子が居てな? 其奴はハクの領土におるが……龍羽様も滞在を認めたものじゃ。見かけたら、丁重に扱うのじゃぞ?」
『『『もちろんですとも〜〜!!』』』
屋敷に降り立つと、顕現してきたのか伊織が妾を出迎えてくれた。
【主。ご無事で】
「うむ。間に合ったわ。今から祝杯ぞ! 酒を集めよ!!」
【……飲み過ぎ、ないように】
「それは約束出来んのお?」
いつでも会いに行けるが……妾は妾なりに、ミラを気に入っておる。
手は取られなかったが……何か褒美に近い品を届けてやろう。あのような幼い見た目であるから、酒はいかんな?
であれば、馳走がいいかもしれん。
どちらにしても……これからが楽しみじゃ。
次回はまた明日〜




