表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/147

第26話 クッキー作りに嫌な記憶

お待たせ致しましたー



「料理したことないんやったら、簡単やけど綺麗なもん作らへん?」


「綺麗な?」


「クッキーはクッキーや。けんど、仕上がりがキラキラしとんねん。飴を使うんよ?」


「……あめ?」


「……そこもか。ちょぉ、待ち」



 説明の途中で、珀瑛(ハクエイ)様が奥に行かれてすぐに戻ってこられると……宝石のような緑色の玉を私の手に握らせた。



「……これは?」


「宝石ちゃうで? 甘い食いもんや。口の中に入れて、転がしてみ?」


「……はい」



 宝石のように美しいが……食べ物らしいそれを口に含んでみた。


 蕩けるような甘さで、噛めないがころころと口の中で転がすと……どんどん口の中に甘みが広がっていくのだ。


 終わりがみえない……と思ったが、飴はどんどん小さくなっていく。



「美味いやろ? これとクッキーを合わせて作るんや。ステンドグラスクッキー言うんよ」


「ステンドグラス……礼拝堂などにあるような?」


「一応聖女やったから、そう言う場所は教えてもろたんか?」


「はい。そこで召喚していたので」


「あのうんまいゴミ……そういや、俺らには飴みたいな感じやなあ? ……また明日とかに、出してくれへん? 龍羽(リュウハ)様の快癒で循環が始まっとるやろうけど、食わせてやりたい精霊らがおんねん」


「! お任せください」



 珀瑛様方のお役に立てるのであれば……嬉しくないわけがない!


 とは言え、今日は無茶をしてはいけないからと、クッキー作りの続きをすることに。クッキーの生地……と言うのは既にあるらしく、そこに型というので生地を抜いていくのが楽しかった。


 このまま食べれるのかと思った時は、珀瑛様方を盛大に驚かせてしまったけれど……。



【びっくりした。本当に……知らない?】


「……申し訳ありません」


「ま。これからいっぱい教えたる! こっちの生地は先に焼いとこ。ミラに次してほしいのはコレなんや」



 と、珀瑛様に渡されたのは……麻の袋と同じ色の飴。


 あと、何かの太い棒。


 珀瑛様が袋に飴を入れて……棒で叩いたのだ。



「……あの。そのように?」


「こんままじゃ、窯ん中ですぐに溶けへんからなあ? ……って、ミラ? どしたん??」


「……その」



 ある日から……ガラクタなどしか召喚出来くなった頃に。


 つい先日もだが……王妃と呼ばれていた女性から、叩かれていたことを……思い出してしまった。



『お前なんか、役立たずだ!! あのようなガラクタと同じだ!!』



 と言われたのも思い出してしまい……堪らず、頭を抱えると……温かなものに体が包み込まれた。



「……すまん。やな事思い出させて」



 頭も撫でていただけくと……私は単純なのか、あの頃の仕打ちが……少しずつ薄らぎ、珀瑛様の温もりで頭がいっぱいになった。



(……ああ、やはり)



 私は、この方をお慕いしているんだなと……はっきり自覚出来た。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ