第25話 こちらはティータイム
お待たせ致しましたー
たくさんの料理を口にした後。
食休み……と言うものをしようと、珀瑛様から手にすっぽりと入る器を渡された。
中身は、美しい赤茶のお湯が入っていた。
「これは、お茶。中身は紅茶言うんよ」
「……コウチャ?」
「こう言うのも、飲んだことないんやな?」
「……はい」
泥水のようなものしか口にしていなかった。
だから、料理を食べさせていただいている途中に飲んだ……澄んだ水なども、おそらく初めて。それを言うと、珀瑛様は大きくため息を吐かれた。
「そんな扱い……聖女ちゃうやん。ただの奴隷や」
【激おこ!】
風珀様も怒ってくださり、可愛らしいお顔の頬を膨らませていらした。
コウチャ……と言うのを、ゆっくり飲んでみると。不思議な味がしたが、甘味もあり……とても美味しかった。
「……奴隷、ですか?」
「せや。衣食住が普通の人間の扱いやない!! ほんま、俺らんとこにこれて正解やわ」
次にこれ、とテーブルに置いてくださったのは……模様が美しい四角の何か。
これも食べ物なのだろうか?
なんだかもったいない気がしてきた。
「……こちらは?」
「これはクッキー。菓子や」
「……クッキー?」
今、思い出せたのだが。
うっすら、と……父と母と一緒に暮らしていた時に、『クッキーよー』と母が私に言ってくれたような記憶があった。
このように美しいものではなかったが……ひとつ、食べてみようと手を伸ばした。
サク……サク。
口に入れてみると、たしか……パイと言う濃い味付けのアレと似て違う音がした。
甘くて、ほんの少しほろ苦くて……でも、それがとても美味しくて!
もうひとつ……次、と手を伸ばしていくと……喉に詰まったので紅茶をひと口。
その時の、口が洗われる感じがなんとも言えなかった。
「はは! 気に入ったんやな?」
「……とても」
【もっと種類はいっぱいある。それか……一緒に作る?】
「……作れるの、ですか?」
「せやで? これはポフムに作らせたもんやけど……自分で作るのもなかなか楽しいわ」
「! では……」
差し出がましいかもしれないが……珀瑛様方のために、自分でも作りたいと思った。
希望を伝えると、珀瑛様が私を立ち上がらせるために手を取った。
「ほんなら、今からやろうや!」
「はい!」
初めての……料理を作る。
うまく、出来るだろうか??
そのために、今度はエプロンと言うものと……髪が邪魔にならないように、風珀様から髪紐がわりのリボンで身だしなみを整えることになった。
「厨房がこっちや」
整ってから、再び珀瑛様に手を引かれ……食事をしたところとは少し離れた場所に案内していただいた。
中には……見たことのない道具。おそらく……魔導具がたくさんあったのだ。
次回はまた明日〜




