第14話 選んだ大精霊は
お待たせ致しましたー
「ほんなら、行くで〜〜!!」
選んだのは……珀瑛様。
最初のもこもこのお姿もだが、今のお美しい男性体のお姿も……私の心に響き、女性体の方々がいらっしゃっても……その、離れがたかった。
ひょっとしたら……これは、『一目惚れ』かもしれない。
精霊もだが、大精霊と婚儀を迎えた記録などは……特に必要がないからと、あの城では教わらなかったが。
とにかく、珀瑛様の居住地に行くことになったため、龍羽様方とは一旦お別れとなった。
「またすぐおいでねー? いっぱい遊ぼ?」
「は……はい」
珀瑛様にまた抱きかかえられたので、私は不躾ながらも珀瑛様の腕の中で何度か頷いた。
「ちぇ〜。刷り込みかなあ?」
「仕方がなかろう? ミラの選んだことじゃ」
「そ……だね」
そして、他の御三方は私が選ばなかったことでいくらか落ち込まれていらっしゃった。
「んじゃ、行くで!」
珀瑛様がそう仰ると……地面を強く蹴り、空高く飛び上がった!?
また上空だと分かると……少し怖くなり、思わず珀瑛様の装束をぎゅっと掴んだ。
「おっと……怖かったか?」
「……す、こし」
正直に頷くと、珀瑛様は『はは』と笑い出した。
「かわええなあ? ま、すぐ着くからじっとしとき」
「すぐ……とは?」
「一瞬で済むなら、風を吹き荒らしたるわ」
と、珀瑛様が仰ると同時に……後ろから、物凄い強風が襲いかかり……私達を飛ばす勢いで叩きつけてきた!?
けど……痛くなかった。
「……え?」
風は、本当に追い風をとても強くしたくらいで……珀瑛様はしっかりと、私を抱えてくださっていた。と言うことは……これは、珀瑛様の魔法かなにか?
「陣風! かっ飛ばすでー!!」
その掛け声で、さらに風が強まり……私はまた舌を噛まないように気をつけながら、珀瑛様にもっとしがみついた。
(……少し、怖い。けど)
大精霊様と触れ合うのは初めてなのに……なんだろう、この安心感は。
やはり、私は……この方をお慕いしてしまったのだろうか?
装束越しに感じる温もりや香りが……とても、心を安らげてくれるのだった。
「ミラ! 着いたで!!」
「……え?」
ほんのひと時も経っていないはずなのに、もう珀瑛様の居住地に到着した?
目を開けてみると……龍羽様方はどこにもいらっしゃらないし、あの広大な花畑の姿もなかった。
代わりに、雲が地面すれすれに浮かんでいる不思議な場所に到着していたのだ。
「ここが、俺の治める風と地の里や」
「……珀瑛様の」
そう言えば、翠雨様は司る属性をおっしゃっていらした。
と言うことは、あの強い風は珀瑛様の魔法の一部なのかと少し理解した。
次回はまた明日〜




