第11話 魔力増幅は触れ合い
お待たせ致しましたー
精霊王様に……何故か、お会いすることになったのだけれども。
どうして……私はこのようなことになっているのだろうか?
「は……珀瑛様!? 何故、このように!?」
「しゃあないねん!! 忘れとった俺も悪いけど、緊急事態なんや!!」
どう言う状態かと言うと、精霊王様のところへ向かうと決まった(決められた)途端……珀瑛様が、いきなり私を抱きかかえて、他の大精霊の皆様方と共に……空を駆けていくことになった。
珀瑛様はまるで早駆けのように、速く……私を落としもせずに、他の御三方を置いていく勢いで空を駆けていくのだ。
私は少し舌を噛みそうにはなったが、何故これが一番早い方法なのか良くわからなかった。
「馬鹿ぁあ!? ハクの馬鹿虎ぁ!! 早い早い!!」
「ほんに、加減を知らんのお?」
「……わから、なくもない。急ぐ」
凰華様方は、なんとか珀瑛様のあとに続くようについて来られていた。それでも、距離がそこそこあるため……声もほとんど緑斗様の、珀瑛様への暴言しか聞こえないでいた。
「見えた! あそこや!!」
ほんの少しだけ、速さが緩まると……私も前を見れたので、そこを見下ろしてみると……。
「……酷い」
地面だろうか?
美しいままの部分と比較すると……とてもではないが、美しいと言い難い場所だった。雷雲のように黒ずんでいて、まるで湖のような大きさに広がっていたのだ。
その中央に……上から見て、少しわかったが……何かがうずくまっているのが見えた。まだ遠いのでよく見えないが、あれがもしや。
「まだ大丈夫やと思うわ! ミラ、しっかり掴まっとき!!」
珀瑛様がそうおっしゃるので……私が頷くと、今度は下に飛び降りるような風の勢いを受けた。
放り投げられないとはわかっていても、振り落ちないように……珀瑛様の装束を掴んだ。柔らかく触り心地がとても良いが、今はそれを堪能している場合ではない。
降りていくのは、あっという間に終わりを迎え。
気がついたら、珀瑛様があの黒ずんだ地面の上に立っていらした。珀瑛様は私を下ろすかと思いきや、しっかり抱えたままだった。
「……珀瑛様?」
「あかん。侵食がやばいわ」
見上げた時の横顔には、焦りが浮かんでいらした。
「……精霊王、様?」
珀瑛様が向いていた方向を見ると……あの上から見た人影のような部分がよく見えた。
珀瑛様方がとられていた仮の姿ではなく……とても大きな、岩石のようなモノがそこにあった。何の姿かはよく分からなくても、この方こそが……精霊王様だと言うのは、珀瑛様の焦り方で理解は出来た。
「ミラ。下ろせへんけど……召喚出来るか?」
「か、可能だとは思いますが……その、魔力が」
先ほどの『キャンピングカー』とやらで、かなり消費してしまったのだ。あの王族らへの召喚魔法では……日に三度が限界だったので、それも珀瑛様にお伝えすると。
珀瑛様は少し考え込まれてから……何故か、私に顔を近づけてきた。
何が起きるのか、お美しい御顔につい見惚れて、固まっていると……珀瑛様が何故か、私の額に……口づけられた!?
「これでどうや?」
珀瑛様がそうおっしゃったと同時に……キャンピングカーを召喚する前に感じた、魔力が満ちた感覚を得た。
と言うことは……つまり。
(も……もふもふの時も……珀瑛様に、口づけられた!!?)
人生で初めての事だったが……今は、悦に浸っている場合ではないと、私は召喚魔法をすることにした。
次回はまた明日〜




