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under 500 Ⅱ

血が世界で一番美しい

血がヒザから流れた。


じんわりと、じんわりと。


真っ赤というより、褐色に近い。


生きている。


私はここに生きている。


そう思える赤だった。


黒を生きてきた。


ずっと色の無い世界を生きてきた。


微動すら僅かしかない、そんな世界を歩いてきた。


だから、ヒザに赤がいることに喜びを覚えた。


ふわふわした感覚にいる。


雲の中心に似た、新世界にいるみたい。


胸が、落ち着きを引き摺りながら、騒いでる。


ああ、私は地球人だ。




「本当にありがとうございました」


「いえ」


「娘を助けていただいて、本当にありがとうございました」


「いえ」


「あなたがいなかったことを考えると、すごく恐ろしいです」


「ああ」


「急に道に飛び出しちゃダメと、言い聞かせてはいたんですけどね」


「はい」


「なんてお礼していいか、本当にありがとうございました」


「はい」




沈みゆく太陽に照らされた血の赤は、麗しくキラキラと揺れていた。


今まで見た赤の中で、一番美しいと感じた。

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