装備を受け取ろうの儀式
一週間ぶりっすね。
「ウィー姉さん、まだライト来てないよね!?
ね? ちょっと今、光見ちゃって目が見えないんだけど…… うっそこれ状態異常なの!?」
光が収まる前から矢継ぎ早に耳を刺激するのは、ここ数日聞き慣れた声。視界に映るのは見慣れた赤髪。
おかえり、と言おうとすると、エルフ姉さんに何故か止められてしまった。
「お帰りなさい、ホノカ。ブラインドはギューッと目を瞑ると早く治るわよ。」
「わ、わかった! やってみる」
エルフ姉さんの言葉に従ってホノカがしっかりと目をつぶる。僕にはまだ気付いてないみたい?
そして、その間にエルフ姉さんが僕に
「ライト、今のうちにここから出るのよ! そして今来ましたー、みたいな顔して入ってきなさい!」
と囁く。
なるほど……
さっきも言ってた様に、ホノカに最初に装備の紹介をさせたかったのかな。
そっと翼で大きな丸印を作ることで了承の意を示し、僕はそっと工房の外へと出た。
と、同時に内側のドアノブを再び掴む。
「おヤ? お帰りですカ、お客さマ。……ン? また入られるのデ?」
店員であるメイディに怪訝な顔をされながらも、今度は少し大きく音をたてて扉を開き、工房へUターン。
そして如何にも今来たかのような表情で一言。
「お邪魔しまーす。装備できてます? 」
おぉ、我ながら素晴らしい演技力。
当然それにエルフ姉さんが反応してくれる。
「いらっしゃいライト。飛びっきりのやつが出来てるわよ! ね、ホノカ?」
「やっほー、ライト! 頑張って作ったから、楽しみにしててね!」
ホノカのテンションも良い感じに高い。流石エルフ姉さん、これが年の功か……
って
ヒエッ!
な、なんか怖い視線感じた……
心の中で失礼だったと謝っておく。微かに聞こえたオリジナル、なんて言葉は気のせいの筈だ。
「ウィー姉さん、ライト? 何黙ってるの!? ちょっと、装備見るんでしょ!」
すくんだ体をホノカの言葉によってほぐし、エルフ姉さんに向かって一礼。
すると気温がフッと元に戻った気がした。
「そうだね。それじゃあ…… 見せて貰ってもいいかな?」
「うん!」
そうしてホノカが持ってきたのは、赤い布を被った台だった。中に装備が入っているのだろう。
そっとホノカの顔色を伺う。うわー、めっちゃ目がキラキラしてる。
そして多分、僕もそうなってる。
「布、取っていい……?」
「うん、そのための布だからね。」
心の準備を整えて……
「行くよ?」
「うん!」
「全く…… 早くしなさいよ」
了解ですお姉さま。
布の端を持ち、グッと引っ張る。
ついに姿を現したその中身は……
黒く輝くシックな弓、矢じりが捻れた、これもまた黒い矢が一本、そして革製の胸当て。
「すっごい…… 綺麗だ……」
「ふふん!」
「ふふっ」
ホノカもお姉さんもとても自慢げなお顔をしておられる。そしてそれも納得な装備。
試しに弓を持ってみると、手によく馴染み、重さ長さ共に申し分ない。
これなら命を預けられる。そう確信できる逸品だった。
「すごい、完璧だよ! 有り難うホノカ、エルフのお姉さん!」
「どういたしまして! いやー、我ながら頑張ったよ! それにレベルも上がったし、こちらこそ有り難うって感じ!」
「そうね。私も久々にレベルが上がったし、弟子も見つかった。良い仕事だったわ。でもね…… 私にも《エルフのお姉さん》じゃなくてウィルカンって立派な名前があるんだから!」
「あっ、ごめんなさいウィルフのお姉さん!」
「全くもう……」
はい、すみません。確かに言われてみれば扉にそんな事が書いてあった気も。
「ライト、そういうのは良くないよ!」
ホノカにも叱られてしまった。
「まぁ良いわ。気を取り直して装備の説明行くわよ!」
それから10分間程、装備の説明を聞く。
うん、知れば知る程良い装備だなぁ……
胸当てはテツウチ、ウィルカンさんに並ぶ3人目の工房共同経営者の皮職人の方が作ってくれたらしい。今度会ったらお礼をしとかないと……
それから制作過程のことや、ホノカのやってて楽しかったこと、驚いた事などのストーリーを聞いたりして雑談していると……
「そろそろね。ライト、精一杯やってらっしゃい!」
「私も大分レベルが上がったから、支援として参加するよ! 頑張ろう!」
遂にレイドの受付の時間になった。
「ホノカ、大丈夫? 死に戻りするかもしれないんだよ?」
「大丈夫だよ! ライトが守ってくれるでしょ?」
「それは…… 勿論そうだけど……」
「それだけで私は安心だよ。」
そう言われてしまえば、後には引けない。
「危なくなったら逃げるんだよ。」
「分かってるって!」
心配だけど、本人が行くって言うなら仕方がない。
「いってきます」
「いってきまーす!」
ウィルカンさんに別れを告げ、僕たちは並んでギルドへの道を歩いていく。
守るべき人がいる。倒すべき敵がいる。
そんな状況で冒険者がすることなんて一つしか無いじゃないか。
さぁ、決戦はすぐそこだ。
読んで頂きありがとうございました。面白かった! 続きが気になる! 等々思われた方は、良ければ『評価』『ブクマ』『感想』お待ちしております!
この後、装備の説明を別で一話投稿し(今話だと読み辛そうだったため)2~20話くらいまで改稿を行い、その後連続でレイドを投稿しようと考えています。
そこで、連続と言っても一日一話を毎日or一日で最後までのどちらかがいいか、是非感想で教えて頂きたいです。




