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39/63

テンプレートはLv.5 vs Lv.30

  矢が24本になったのは乗算されたせい。

  ボスが弱かったのは、ここは本来普通の金角兎を倒した直後に訪れるはずのダンジョンだったせい、などゆっくりと頭の中で整理していく。


「うーん、他のプレイヤーに申し訳無くなる程の馬火力…… 」


  レイドで見られたときの面倒臭ささと、自分の術への誇らしさがせめぎ会い、なんとも言えない気持ちになってしまう。


「っと、こんな暗い所で悩んでても仕方ないか。切り替え切り替え!」


  自分にそう言い聞かせて、ボス跡地の前方宝箱に眼を向ける。

 

  何が入ってるかな?


  ドキドキしながら箱に手を掛ける。

  宝箱を開くことはや千余回の僕であっても、未だに開ける時は緊張する。

 まぁ15年ぶりって言うのもあるんだろうけど。


「えーっ…… 両手剣、かぁ……」


  開いた瞬間箱が溶け、どうやってそこに入ったの貴方? と言いたくなるほど巨大な両手剣が地面にその身を横たえた。


「これは使えない、よねぇ……」


  両手剣使いは知り合いに生憎居ない。

  ……というかプレイヤーの知り合いがホノカと木工ヤバ目男しか居ない。

  あれ? こんなんでレイド大丈夫かなぁ……

  いきなり参戦した僕が火力出しまくったらチートを疑われちゃうかも。


「仕方ない…… 売却するしかないっか。」


  現在の皆が攻略しているステージの更に一つ向こうに位置するこのダンジョンのボス製の両手剣なら、喉から手が出ても欲しがる人は多いと思われる。


「あっ、でもなぁ…… これに見合う金額を払える人いるかな……?」


  この大きすぎる戦利品の処分を考えつつ、重量オーバーインベントリに入らなかったので肩に担ぐ。

  ステータスが僕を助けているけど、気を抜けば殺されてしまいそうだ。

  そんな感じで僕は、重さに潰されそうになりながらえっちらおっちら、宝箱を開けると同時に現れた魔方陣に乗った。


  すると一瞬光によって視界が真っ白になり……


「うわっ……」


  ワイワイガヤガヤワイガヤ


  僕は町の出入口である門の前に立っていた。


  流石ダンジョン。予想通り転送陣が存在していたようだ。

 

  これから狩りに出るのであろう人々の間を縫って前屈みになりながら街を目指し歩いていく。


  うっ……赤蛾の両手剣おっもいなぁ……


  ヨタヨタ歩いていく。


  が、しかし!


「げふっ!! 」


  50m程歩いた所で、とうとう重さに耐えきれなくなり潰れてしまった。


「クスクス、あの鳥人自分の得物もちゃんと持てないだなんて! 」

「レベル1で鳥人なのに両手剣なんて選ぶから…… ヌーブだなぁ ハハハッ!」


  ぇっ、こゎ、めっちゃ嘲笑してくるぢゃん。ぅち涙がでちゃったょ。


  周り中のプレイヤー達が僕を見て笑ってくる。えっ、ちょっと民度ヤバくない?

  そんな事を思いつつイソイソと剣を回収して、また歩き始める。


  しかし、大柄なプレイヤーが僕の前に仁王立ちをして、道を塞いで来て……


「おい、坊やいい剣持ってんなぁ。お兄さんもな、両手剣使うんだよ。"剛剣"のソードマスとかなんとか呼ばれてるお兄さんがその剣もっと有効に使ってやるから…… それ渡してくれるかな?」


  こっちがガキだと思って世迷い言を放り投げてきた。

  まぁここら辺で他のプレイヤーにもこんな事が起こらない様に、僕のことを印象付けたかったし……


  "剛剣"さん、いっちょやりますかね?


「ん? これが欲しいのお兄さん? じゃあ上げるよ。お会計銀貨30枚に銅貨20枚となります!」


  取り敢えず吹っ掛ける。

  今の武器の価値はよく分からないから、ギルマスに偵察の報酬として貰った分と同額を請求してみた。


  「おい! 嘗めてんのかお前? 無料(タダ)に決まってんだろ無料に…… 寄越せよ!」


  ぐっと体が引かれ剣を奪われた。


  と同時にウィンドウが発生する。


  『略奪行為が確認されました。報復が可能です』


  ふーん…… 結構ゆるゆるな設定なんだね……


  さて、どうしようか……

  できるだけ殺したくはない。前回で結構割りきったけど…… やっぱり、ね。


「うん? 犯罪行為により報復対象となりましただって? 何をおっしゃるんだ運営さんは。なぁ、坊やこれはプレゼントだもんなぁ……? 」


  いや、違います。


  周りのプレイヤーも『やりすぎだ!』『子供相手にそれはない!』なんてこっちの味方に周りだした。


  アッ、デモボクジュウゴサイデス。コドモジャナイヨ。

 

「あぁん? いいだろこんぐらい! 俺が使った方がレイドでも役に立つぞ?」


「何言ってんだレベル5がよー!」

「「そーだそーだ!」」


  おう、鑑定的なスキル持ちが相手を鑑定したらしい。僕も鑑定されて弱々しい皮が剥かれる前に、決着をつけないと。

 

  あと皆優しくなった? クソザコ民度の癖に泣かせやがって……


「クソ共がっ! 一緒になって笑ってたくせに掌返しやがってよ…… くそっ、どうせコイツには報復なんてできねぇだろ? 俺はもう狩りに行くぜ。」


  そう言うと、大男君は振り替えって草原の方に向かっていってしまう。

  誰も止めてくれないのかよ。やっぱクソ民度ダゼ……


  えー…… 逃げられたら困るし取り敢えずやりますか……


  ブチッ


「痛っ!【エンチャント黒金(兎)】!」


  牽制用簡易武器HANEを引き抜いてエンチャントしてみる。

  おぉ、青い羽に装飾が付いてカッコいい。あっ、兎の顔が浮かび上がってる。えぐカワやんな。


  そのままゆるーく投擲。


  相手の顔数mmの所を通過し、髪の毛が何本かパラパラ落ちる。


  おぉ、できたぞ例のカッコいいやつ。


「はっ!? 」


  おぉ、振り向いてくれた。流れは完璧だぜ!

読んで頂きありがとうございました。面白かった! 続きが気になる! 等々思われた方は、良ければ『評価』『ブクマ』『感想』お待ちしております!



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